施策の優先順位決定や振り返りにも使える「NPSアンケート」の活用方法
みなさんはNPSをどのように使っていますか?
今回は、サービスの満足度の指標だけでなく、施策の優先順位や振り返りとしても活用できたというお話しです。
優先順位決定で使う
私のいるチームではエンジニア、デザイナー、ディレクター全てのメンバーでチーム施策のロードマップを決定しています。
決定時いつも悩ましいのが、施策の順番です。
課題感は共感できていても、その優先度具合が、職種や立場によって変わってしまいます。
そこでNPSアンケートを活用しました。
実施したNPSアンケート
いわゆる一般的なNPSアンケートでは0-10段階評価で顧客の満足度を測ります。ただそれだけでは何に満足していて何に不満を感じているのかわかりません。知りたいのはサービスへの満足度に影響を大きく与える要素が何であるのか、です。
そのため、今回ではこのような設問形式にしました。
まず最初に顧客満足度を聞いてから、カスタマージャーニー内の各アクション時の体験について、それらがどのくらい満足度に影響を与えたのか影響度を聞いていきます。チーム内で懸念事項として上がっていた要素があればそこも入れます。
各項目の影響度は5段階評価です。
NPSのスコア
アンケート冒頭のNPSの1-10の平均スコアが幾つであったか、がサービスのヘルススコアとなります。
一般に下記のような評価となります。(自分は、日本人は割と辛めに点をつける傾向があるので、実際のところ6-7が中立くらいなのではと思っています)
スコアがかなり低い状態にあるのであれば、早急に課題を解決しなければ、チャーンレート(解約率)が上がり、利用者が減ってしまう恐れがあります。
次に改善を行うために、各項目がどのような値だったかを見ていきます。
項目の見方
影響度を数字に変換します。
影響度の合算値を出して、それぞれの項目を評価します。
各項目がプラスに影響しているかマイナスに影響しているか、及びその度合いを数値で判断します。
施策の優先順位決め
まずは項目ごとに、現状ある施策を並べます。
該当する施策がなければ新たに施策を追加していきます。
施策の優先順位で見る場合は、マイナスポイントの高い順から並べていきます。その後、効果が高いと思われる施策に、チームメンバーがそれぞれ投票し理由なども聞きつつ、項目内での優先順位を決めていきました。
もちろんNPSでのヒアリングは全てを吸収できているわけではありませんが、ユーザーにとっての優先順位をメンバーがそれぞれ想像するよりは、個人の思い込みに左右されにくい「リアルな指標」が得られます。
多数のユーザーが感じているマイナスポイントが優先施策から漏れないようにするだけでも、効果があると思います。
施策の振りかえりで使う
施策後NPSアンケートで同項目がどのように変化したか、振り返りをします。ページ内容の分かりやすさ、情報の過不足など、ユーザーの行動データのみでは、計りしれない部分をリサーチすることができます。
実際に、サイトの表示スピードに関しては低いスコアが出ており、スピード改善を行ったところ、表示スピードの満足度スコアが改善しました。
毎回NPSの結果はチーム内で共有しており、施策の振り返りとしても活用できます。
このようにNPSアンケートと施策のPDCAを行いながら、サービスのヘルススコアを上げていく方法は、チーム内でも納得感があり、改善施策には有効だと思いました。
項目設定と改善方法
アンケートではどのような項目についてヒアリングをすれば良いのでしょうか。カスタマージャーニー内の各アクションがあると思いますが、それぞれの行動時に複数の項目で評価が可能です。
自分はUXハニカムとマーケティングファネルを混ぜたチェック項目を活用しています。ジャーニーのフェーズによって、入れるべき項目は変わります。
あくまで、視点というふうに捉えてもらうと良いと思います。
必ず各アクションごとに下記を入れる必要はありません。
見つけられる - findable
この項目の数値が低い場合は、導線やタッチポイントが適切でない可能性があるので、そこを見直します。
理解できる - understandable
ユーザーの理解度を把握します。難しい用語を使っている場合だけでなく、サービス独自の名称・言葉の理解度を知ることも重要です。
複雑な構造などで分かりにくいケースもあるので、ユーザーテストで確認しながら改善を試みます。
比較できる - comparable
比較しやすいかというのもコンバージョンには重要な視点なので、マーケットプレイスなどの場合はこの項目を入れています。
自社の各商品・サービス同士での比較、他社サービスとの比較がしやすいかを測ります。
比較を容易にする情報がそろっているか、比較しやすいUIであるか、などが改善ポイントとなります。
使い方がわかる / 使いやすい - usable
利用手順の分かりやすさはもとより、管理画面の使いやすさ、画面表示スピードなども入ります。
ここが低い場合は、利用プロセスが複雑すぎないか、面倒な作業(複数回のログインなど)がないかなどを検証します。
価値がわかる - valuable
盲点になりやすい項目です。価値があったとしてもユーザーがそれに気付けなければ意味がありません。
例えば、あるアプリケーションを導入したとしてそこ経由の売り上げがいくら上がったのか、といった場合には計測ツールが必要となります。ユーザーがそもそも知覚しえる仕組みがあるのか、あるいはそのツールがわかりやすいUIなのか、気づきやすい場所にあるのか、なども含めて改善施策を検討します。
掘り下げた質問
項目で追加で質問したい箇所があれば、少量であれば付随して聞いてしまうのも良いと思います。
すでに改善施策が想定されている場合は、どのような改善をしたら良いか、掘り下げた質問を追加していたりします。
あまり質問が多くなってしまうと回答負荷がかかるので、バランスを見る必要はあります。
改善ポイントの抽出はもちろんですが、施策の優先順位決めや、振りかえりにも使えるNPSアンケートは、重宝しています。
まだ活用されたことがない方は、試してみてはいかがでしょうか。
以上、NPSの活用法のお話でした。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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