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「難病、だからこそ舞台に立ちたい。」国指定難病SLE。それでも諦めなかった女優として生きること。俳優・ゆかりさんの話。

こんにちは、ショウヘイです!今回は…

俳優・モデルとして活動
・noteでは演技表現などを発信
難病SLEについて書いたマガジン「女優と難病を両立したい話」を更新中

と活動されているゆかりさんのインタビュー記事です。

【インタビューの背景】
僕がnoteを始めたばかりの頃からコメント欄などで交流があったゆかりさん。演技や表現についての投稿、難病についての投稿などにいつも勇気づけられ、ずっと応援していた存在でした。今回念願が叶ってインタビューをさせていただくことができました。

ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!

【ゆかりさんプロフィール】

ゆかり:兵庫県出身。俳優・モデル業を中心に表現活動をしている中、数年前国指定難病である全身性エリテマトーデス(SLE)の診断を受ける。現在は俳優・モデル業と並行しながらnoteやYouYubeでも発信を行なっている。

ゆかりさんnote
ゆかりさん
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■歌うこと、演技すること。ゆかりさんが「表現する楽しさ」に出会うまで



──俳優業をされているゆかりさんですが、どんな舞台に立っているのですか?

説明しようとすると難しいんですが、一般的な舞台とは全く違うものをやっています。どういうものかというと、ほぼ喋らないで、身体表現だけで物語が進んでいくようなお芝居なんです。なので、かなり抽象的な表現をするような舞台です。舞台上に俳優がいるだけで、セリフも小道具もありません。



ゲーテ作の詩劇『ファウスト』を元にした作品に、ヒロインとして出演したことがあります。主人公との恋模様や、精神を病んで自殺してしまう様子をセリフなしで演じました。そういう削ぎ落とした中でどういう表現をするか、そんなことをやっています。


──すごくストイックな世界ですね。演技や表現をやろうと思ったきっかけは何かあるんですか?

高校2年生になったときに、突然学校に行けなくなったんです。体調不良、朝起きれない、電車に乗れない、教室に入ったら過呼吸になるなどの症状が出ました。それで保健室登校をするようになりました。大学も入学したんですが、結局体調不良で休学してしまいました。

そんな中、まず休学中に始めたのがでした。既存の歌を歌ったり、作詞作曲をしてライブで歌ったりもしました。それで、表現することの面白さに気づいて、次に挑戦したのは演技でした。演技を学べる場所を探していて、今も師事している先生と出会いました。



その先生の演技のレッスンは、自分自身にひたすら向き合うことを要求されます。でも、それが今まで心に溜めていた色々な感情を外に出せるきっかけになりました。

どうしても、俳優自身が今までの人生で余計なものを溜め込んでしまっています。普段私たちは社会に馴染むように生きていて、思っていることをストレートに言ったりはしませんよね。だから、役として与えられたセリフでも、突っかかりがあって言えない時がある。そういうものを取っ払って無地のキャンバスの状態にならないと演じられない。だから、無地のキャンバスになるように自分を解放するんです。

「この役どんな人生を選んできたんだろう?」と役のことを考えている時が楽しいです。役として生きる、それが叶った時が一番幸せです。



■初舞台に出演するタイミングで難病SLEが発覚。それでも、演技をやりたい。



──難病SLEのことについてお聞きしてもよろしいですか?

はい。はじめて舞台に立つというタイミングでSLEが発覚し、初舞台を降板しました。

【SLEについて】
私たちの体には、自分の体を守るために細菌やウイルスなどの外敵を攻撃する「免疫」という働きが備わっています。ところが、免疫の働きになんらかの異常をきたすと、自分自身の体の細胞や組織を攻撃してしまうことがあります。そのために起こるのが、「自己免疫疾患」という病気です。
全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)は代表的な自己免疫疾患の1つです。
SLEでは、発熱や全身倦怠感のほかに皮膚症状、関節炎などの様々な症状が全身に現れるという特徴があります。

SLE.jpより

👆このサイトにはゆかりさんの体験談も載っています。


初めの頃は症状が特にひどく、寝返りも打てないほどでした。体調のことを考えると俳優やモデルは諦めるという選択をすべきだと思ったこともありましたが、私は「だからこそやりたい」という気持ちが強かったんです。一時期は病気があっても、自由に自分の好きなことで活動できると証明したいと思っていた時期もありました。しかし、今は「なかなか身体がいうことを聞いてくれない…」という現実に直面しています。


──SLEと診断を受けて、変わったことや気付いたことなどはありますか?

まず「あなたはSLEです。」と言われても、もちろん聞いたこともありませんでした。それで、色々調べたんですが、SLE以外にも知らない病名にたくさん出会いました。

SLEは見た目ではパッと分かりにくい疾患です。「SLEのように、見た目で分かりにくい疾患を抱えている人が世の中にはたくさんいる。」「自分の知っていることって、本当にごく一部でしかない。」ということを痛感しました。SLEという難病にならないと分からないことがたくさんありました。



また、同じSLEを抱えて生きている人の気持ちが分かるようになったというのも大きな変化でした。

数年前、同じSLEの患者の方がツイッターで「自己注射*、刺すのがこわくて失敗しちゃった。一本数万円するのにベッドにばら撒いちゃって号泣してる」と投稿していたのを見ました。その投稿を見た時、その人の悲しみ、孤独、悔しさ、自己嫌悪などが痛いほどわかって、涙が止まりませんでした。

「自分は病気だ」っていうだけでも精神的にしんどいんです。それなのに、薬を飲んだり、病院に行ったり、日常生活にしんどいことが、山のようにある。そういうひとつひとつの制約がなんとか改善されて欲しいと思っているし、そのために小さなことでもいいから私にできることはないかなと模索しています。

いつか私はこの病気が治るって信じています。難病が治るということを証明したいし、いつか同じSLEを抱えて生きている人に「治ったよ〜!」って言いたいんです。

*自己注射…自分のお腹などに自分で注射を打つ治療法


■演技のこと、病気のこと。すべてが繋がっていて今の私がある。



──noteでの発信はどうしてはじめたんですか?

そもそもnoteは、詩などを発表する場にしようと思ってはじめたんです。でも、書いているうちに「自分の中にあるものを記しておきたい」「SLEのことも書いておきたい」と思うように変化していきました。演技のこと、表現のこと、病気のこと、すべてが繋がっていて今の私があると思うんです。


でも「今の私から病気を切り離すことは出来ない」ことにようやく気づいたのです。

難病でも女優をやっている私、これからもっと上手に病気をコントロールして仕事の量も幅も増やしていきたい私、日々もがきながらも必死で生きてる私…

これらを発信していくことは自分自身が病気を認め受け入れることに繋がると思いました。

ゆかりさんnote『女優と難病を両立したい話』より



なるべくありのままの自分を出していますが、自分のマイナスな気持ちをそのまま書くのではなく「ちゃんと表現に昇華できているのか?」「読んだ人が前向きになれるような表現になっているのか?」ということには気をつけています

noteやYouTubeなどの発信を通して、共感してくれる人がいると嬉しいです。「普段周りには言えないような自分の病気のことも、私のコメント欄には書けるのかな」と思ったら、書いて良かったなと思います。
違う病気であっても、病気がなくても、お互いに励ましあったり、元気や勇気を与え合えたら。noteがそういう場所になったらいいなと思っています。


■ゆかりさんのおすすめ映画




さいごにゆかりさん
おすすめの本・映画を紹介!


📗病気は脳がつくっていた 「動物脳」を解放すれば、健康になる! 田中一著

お医者さんが書かれた本で、人の体に元々備わった「治る力」を目覚めさせて病気を克服する方法を紹介しています。書いてある内容は、演技訓練と通ずるものがあり、自身の経験から間違いないものと思っています


🎞️英国王のスピーチ


演技も、演出も、すべてが素晴らしいと思いました。コリン・ファースのこの映画の演技を見た時、「時代を背負う演技とはこれだ」と思いました。

■ゆかりさんのnote


🔖ゆかりさんnote


📖マガジン「女優と難病を両立したい話」



ゆかりさん
読んでいただいたみなさま
ありがとうございました!



いつも応援してくださり、ありがとうございます😗