せきせつおのひと息小説4
せきせつおのひと息小説4
肥料は多くを語らないと言われるが
ここでは大いに意に反する。
ここ、東京の一流ホテルの宴会場に
集った東京なでしこ女学院の同窓会
でのことである。みんなが集まって
いるのが華やかなドレスに身を包んだ
恵子という40代前後の奥さまのところ。
二人息子の恵子には、上の兄は東大に
入学し、この春には下の息子が名門
中学校に合格した話でもちっきりだ。
さも自分のお陰で合格した自慢話で
花が咲いている。毎日、送り迎えを
しただの夜食には苦労しただの話の
話題には事欠かない。
昔から綺麗な花を咲かせた肥料は
寡黙であると言うが、ここでは
少し勝手が違うようだ。
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