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コールスロー・バスターズ!

世の中のほぼ全員が、各々の心の中に納得できないものを持って生きているはずだ。
隠してもムダだよ。
偽善者ぶっても情けないし。
恥ずかしくなんてないんだ。
さぁ自分に素直になろうよ。
誰にだってある納得できないこと、許せないもの。
あるよねーー。

そんなあたしはというと、
コールスローが絶対に許せない。


まずは、この名称。コールスロー? 名前からして、全くピンとこない。
おにぎり、かちわり、飲むヨーグルト。
彼らは、名前が体を表している素晴らしい逸品たちだ。
食べ物は自分を名乗るとき、謙虚でないと……。

しかし。最近と言えば、チュロス、キッシュ、おばんざい。
何のことか想像がつかんのよ。
もう、ホントいい加減にしてほしい。

コールスローだって同じだ。
名前から何が現れるか想像がつかないし。
なんかバスケットボールがちらつくし。

でも。
コールスローを許せない理由はそれだけじゃない。

あの見た目と味付けと存在感だ。

なぜか切り刻まれた野菜たち、妙な塩加減と鼻につく酸っぱさで和えてある違和感、そして何より――。

ファーストフードでポテトやチキンの代わりに選べる品に君臨していることだ。

このただのすっぱくて白い野菜たちがポテト様の役割が務まるワケがない。

なのに、うちの事務OLちゃんときたら…………コールスロー=女子の象徴だと思い込んでいる。もう! もう!

今日も総合職のあたしは、営業周りを終えてクタクタだ。そんな体を癒やすのは、ダブルチーズバーガーとLサイズポテトとチキンなのだ――。

つまるところ、コールスローは悪くない。
透明な容器も生意気だけど、本意じゃないはずだ。
ほんとはただのサラダでいたかっただけ…………。



あたしが疲れすぎて、どうかしているんだ。
コールスローと笑顔で出会える日を信じて、さよなら。


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