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その感情、5秒後も残っていますか?

向き合うものが多すぎる現代社会。情報が次々と流れ、文章ではなく動画、それも短いコンテンツ、反射的なコンテンツが愛でられる傾向にある現代。自分たちは一体、どんな感情で毎日を過ごしているのか、見えなくなってしまうリスクを背負っていると思う。あまりに反応、反射すべきものが多すぎて、沸き起こった感情を認知する間もなく、どんどん流れてしまうようなイメージである。

美味しいものを食べた時、ちょっと嬉しいことがあった時、その感情が、5秒後も持続しているだろうか。スマホでSNSのタイムラインを眺めていて、とても穏やかな気持ちになったと思えば、次のスクロールで、腹が立ったり、批判的な感情が沸き起こるものを目にして、イライラしていないだろうか。

食事中に、食事以外のことを考えていて、今食べたものの味を忘れていないだろうか。ちょっとオトクな買い物をして喜んでいたときに、人とすれ違いざまにぶつかりそうになって、舌打ちしていないだろうか。

今の話はすべて日常的に見かけた光景である。電車や街を行き交う人々の様子を見ていると、正負の感情が同時発生的、数秒スパンで連続する人が少なくない。

人間の感情も、SNSのタイムラインのように、どんどん流れて行ってしまう。ジワジワ、じっくり、自分の感情や感覚と向き合う時間を、きちんと確保できているだろうか。それができないと、人は悪い記憶を残しやすく、上書きされてしまいやすいので、良い感情、ポジティブ・楽観的感情が、逆のものに上書きされてしまう。

手にした感情を自分の中で温めたり、加工したりせずに、すぐに次のものに上書きしてしまうと、残飯のように、ゴミに捨てるだけになってしまう。大切に温存すれば、思い出して穏やかな気持ちになることもあるのに、それよりも今持っていない次のもの、新しいものに手が伸びてしまう。

叶った途端にどうでもよくなる欲望や願望、叶った後に楽しむはずの対象物だったはずなのに、叶うまでにそれを味わうことを忘れてしまう。とてももったいないことだと思う。「嬉しい」「美味しい」「楽しい」「面白い」「清々しい」こういう感情が起こったときに、5秒でも持続するか考えてみて、持続しないとしたら、その5秒の中に、感情を自ら破棄している瞬間がある。それは、自分自身で幸福を放棄しているのと同じことだと思う。

二度と戻らない今という瞬間。私も、あなたも、全力で大事にしていきましょう。

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