新たな補助金事業を生んだ、勤続20年課長の問題意識と若手職員の想い
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新たな補助金事業を生んだ、勤続20年課長の問題意識と若手職員の想い

日本全国に何千件とある「補助金事業」。

そのなかでも、この春世田谷区でスタートした区内事業者のチャレンジをサポートする地域連携型ハンズオン支援事業「SETA COLOR(せたカラー)」の発端は、経済産業部の職員さんの静かな情熱にありました。

プロジェクトの中心にいるのは、中西成之さん(世田谷歴20年・世田谷区経済産業部商業課 課長)と、宮城正裕さん(世田谷歴10年・世田谷区経済産業部商業課)。

SETA COLORの“言い出しっぺ”ともいえるおふたりに、世田谷との個人の関係から事業誕生の裏側まで、事務局メンバーが根掘り葉掘りうかがいました👀👂

世田谷歴20年・10年のはじまりは…

――本題の前に、そもそもお二人はなぜ世田谷区で働こうと?

中西さん:
私は農学部環境学科出身で、就職活動では「環境行政」の仕事がしたいと思っていました。でも学生時代に住んでいた渋谷区は当時採用をしていなくて。友人もいたし、お隣だし、ということで世田谷区の採用を受け、ご縁あって今にいたります。

働き始めて印象的だったのは、「自分たちのまちを自分たちでなんとかしよう」という人の多さ。転入者もそういった人にいい意味で引っぱられて、地域全体に自治意識が高い人がいる感覚がありましたね。そうした方の意見を役所で聞きながら、一緒に汗をかくのは面白かったですよ。

もちろん今もそうした気風はありますが、ちょっと距離を遠く感じることが増えたかもしれない。いま大切な価値観や取り組みを活かしながら、私たち自治体からコミットしていって、住民の取り組みを支えたいと思っています。

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[中西成之さん(世田谷区経済産業部商業課 課長)、キックオフミーティングでの様子|Photo by Takayuki Abe]

宮城さん:
私は理学部物理学科出身で、物理学を医療福祉に活かしたい気持ちがありました。医療機器メーカーから内定が出たのですが、より広い関わりを志向していたため行政に進路変更。医療福祉は住民に寄り添う産業ともいえるので、人口が多ければ課題も多いのではと思い、世田谷区を受けました。

世田谷区には本当にいろんな人が暮らしていますよね。その混ざっている感じが好き。区の多くは「これ」という個性が出やすくて、それが魅力なんですが、私は世田谷区はいい意味でそれがあまりないと思うんですよね。まちに人が合わせるのではなく、住む人によってまちの色が成立するといいますか。

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[宮城正裕さん(世田谷区経済産業部商業課)、キックオフミーティングでの様子|Photo by Takayuki Abe]

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「それに私自身、もっと世田谷区のおもしろい人たちと関わりをもちたくて(笑)」

――おふたりの世田谷愛、受けとめました。「ハンズオン支援事業」は、以前からあたためられていたプロジェクトだったんですか?

宮城さん:
世田谷区は、飲食店や物販店、サービス業のような、お客さんとのやりとりで生まれるビジネスが多いんです。しかし新型コロナが発生して、お客さんとの関わりをもつことが難しくなり、「ここで商売しつづけるにはどうすればいいのか」という声を区内事業者の方から聞くことが増えました。

昔はご近所付き合いや商店会といった横のつながりがより強く、いろんな人に相談したり事業者通しで助け合ったりする面もあったと思うのですが、今はなかなかそうもいかない。

それに、行政の支援も講義型の支援事業が多く、情報把握やご自身の状況整理には有効ではありますが、もっと「相談しながら」「事業を組み立てる」ことができるようにしたいと思ったんです。それで、「ハンズオン支援」という伴走型の事業を世田谷区で初めてスタートしました。

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[Photo by Takayuki Abe]

――世田谷区初、なんですね。“前例がない”を突破するのは大変だったのではないですか?

中西さん:
冒頭でもお伝えした「自治体からコミットして住民の取り組みを支えたい。取り組む人も増やしたい」という私の長年の思いと、柔軟な志向とアイデアをもった若手職員からの事業案がちょうど合致したんです。

宮城さん:
案を出した私たちと、長くまちを見てきて課題意識をもっていて、かつ背中を押してくれる課長をはじめとしたチームメンバーがいたから、今回実現できたんだと思っています。

――なんて理想的な! 保坂区長も「チーム世田谷」の側面に期待してくださっていますね。

宮城さん:
当初は、正直単に優秀な専門家を迎えようと考えていたのですが、世田谷区にはいろんなスキルや経験・つながりをもった人がいるし、地元同士で関係性をつくれたら継続性も見込めると思いました。それに私自身、もっと世田谷にいるおもしろい人たちと関わりをもちたくて(笑)。

結果、事務局や伴走者にも地域人材を活用するという、ローカル感が特徴的なプログラムになりました。前例がないからこそ、「世田谷らしさ」を存分に追求していきたいと思います。


コロナ前からの課題を、今こそ改善するには

――コロナ禍という「今」の困りごとを越えて、「これから」にフォーカスを当てた理由とは?

中西さん:
世田谷区の産業をずっと見ていて、その土地だからとか、このお客さんたちに愛されてきたからとか、「そこにしかない価値」をもつ「場」としての事業者がたくさんいるんです。

そういった伝統的な場所こそあり続けてほしいと思う一方、時代の移ろいに対して商売のやり方が変わらないことで、まちに埋没してしまっている状態が長く続いているのが気がかりでした。もともと気になっていた課題が、コロナによってより強度をもって露呈したんです。

――例えばどんな事業ですか?

中西さん:
わかりやすいのは銭湯でしょうか。銭湯ってランニングコストが非常にかかるのに、入浴料が基本的に固定されているなど業種の構造が大変で、経営改善が難しいんですよね。家族経営で必死に経営なさっているところが多いのは、そういう背景もあると思います。

宮城さん:
私は商店街が気になっています。店じまいが続く“シャッター通り化”は地方都市だけの問題でなく、世田谷区でも年間に1つくらい商店街がなくなってしまっているんですよ。

その要因は複数ありますが、まちの問題はみんなの問題で、行政も事業者さんもお客さんも、みんなで問題意識をもってまちをつくろう、となるのが理想だと思っていて。

事業者さんはニーズの変化を汲みとり新しいことにチャレンジする。それに合わせて行政は現場を理解しながら支援する。お客さんもそのチャレンジを知り、利用し、時にはアドバイスや応援をしていく……といった多角的な新陳代謝が生まれていくことが、商売を継続していくには必要だと考えています

また、多様な業種の事業者やスタートアップが生まれていくことも、まちの化学反応や豊かさに繋がっていくと感じています。


伝統とトレンドは共存できる

――SETA COLORはその突破口となりそうでしょうか?

宮城さん:
SETA COLORの特徴のひとつはローカル感ですが、ローカルのなかでも、事業者さんにとって普段関わりのない人ともっと関わる機会になればいいなと思っています。
長く経験を積んできた事業者さんと、フレッシュな視点や技術をもつ人で良いチームを組めたら、世田谷がもつ価値を未来につないでいけるはず。伝統とトレンドは共存できると思います。

商店街って、シャッターのおりた店が増えたあと、工事が入って住宅地になるところまでいってしまうと、そこから建て直すのはなかなか難しいです。そうなる前にSETA COLORを変化の機会として活用いただきたいコロナのずっと前から続けてきたものの新たな価値が、外部の人によって再発見されたり、何かポジティブな変化が起きることを期待しています。

中西さん:
「コロナショックの対応で大変なのに、そこで新しいことをなんて酷なのでは?」という批判も確かにありました。でも、コロナ支援も「しながら」、将来に向けた取り組みを同時に進めないと、もともとあった課題が深まってしまう。
今だからこそ、「新しいことへの挑戦」の機会として活用いただけたらうれしいです。

――最後に、応募を検討されている事業者さんに一言お願いします!

中西さん&宮城さん:
世田谷のまちで頑張っていきたい、挑戦したい、そのために事業に変革を起こしたい! という思いをおもちの方は、若手の方からベテランさんまで、ご応募をお待ちしています!

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聞き手・文=SETA COLOR運営事務局

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SETA COLOR(せたカラー)は、世田谷に拠点を置く事業者の挑戦を、補助金+専門家+ネットワークでサポートし、事業の成長を支援するプログラムです。(実施:世田谷区、運営:三茶WORK) https://setacolor.tokyo/