【備忘録】障害のある子供の教育支援の手引
本記事では、令和3年6月に文部科学省から出された「障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~」を読んで、個人的に気になった点をかいつまんで書いていきます。
(4)就学後のフォローアップと柔軟な対応
特別支援学校で継続的に支援を受けてきた児童生徒が特別支援学級に、特別支援学級で継続的に支援を受けてきた児童生徒が通常学級に、といったように、現場サイドから見ても困難さを克服し、学びの場を変えることが望ましい例は実際にみられることがあります。
逆に、通常学級に在籍する児童生徒が特別支援学級、特別支援学校に学びの場を変えるといったものも同様です。
学びの場が流動的なものである事は非常に重要です。
ただ、様々な事例を見る中で「全ての関係者の共通理解とすること」が十分でない場合もみられます。
特に共通理解が図りにくい状況としては、関係者の中で通常学級の性質、特別支援学級や通級、特別支援学校への認識が不十分である場合と考えます。
特別支援学級(特別支援学校)がどのような場で、どのような支援を受け、どのように進路等を決定していくかといったものを、どれだけの人が把握しているでしょうか。これは逆も然りです。
上記は経験則としてだけでなく、以下の記事からも事の重大さを窺い知る事ができます。
通常学級を経験し、特別支援学級を経験し、特別支援学校を経験し・・・、そのようにあらゆる学校に対して見識ある人が学校現場にどれだけいるでしょうか。
当然ながら、学校は孤立した機関ではなく関係諸機関とも繋がっており、情報共有もしながら、適切な支援につなげていく事を目指しています。
窓口となる在籍学級の担任が児童生徒の実態を適切に把握し、校内で共通理解が図られるとともに、学校として保護者にも十分な理解が得られるよう努めていくことが求められます。
難しい所も含みますが、最も避けたい状況は、入学(転籍)後に「(この学びの場は、)こんなハズじゃなかった」と児童生徒と保護者が感じてしまう点です。
仮に、保護者が再び転籍(元に戻る)を選択してしまった場合、その手続きが完了するまでの間、児童生徒は十分な支援を受けることができず、学ぶ機会を失ってしまう事となり、それは両者にとって大変な損失となります。
ここまでの内容は、「第2編 就学に関する事前の相談・支援,就学先決定,就学先変更のモデルプロセス」とも直接関係するところです。
(2)就学に関する事前の相談・支援の実施に当たっての留意点
就学に関する留意点としては、以下の6点を挙げています。
中でも、⑥が前項で取り上げた内容をより鮮明に表すものであり、
とあるように、学校側が児童生徒の就学や学びの場に対して十分に把握できていない状況がある事を示しています。
では、各教育委員会が教職員、特に管理職に対して特別支援教育への経験を重視しているかというと、そういった段階には入っていません。
管理職に特別支援教育に見識がある事は、部下に対する指導だけでなく、管理職がもつネットワークの強さにも繋がっており、それらによって適切な学校運営がされるものと考えます。
(4)就学先決定にあたり合意形成に至らない場合の調整
本記事の「(4)就学後のフォローアップと柔軟な対応」で取り上げた部分とも一部重複しますが、就学先決定で合意形成に至らない場合についてです。
教育委員会や学校が特別支援教育に対して十分な理解があった場合においても、保護者との共通理解を図っていく事は必ずしも容易ではありません。
各市区町村教育委員会や在籍校、体験先校、医療や心理の専門家などによって構成される支援委員会で、当該児童生徒の就学について検討したとしても、保護者からすれば一組織が出した結論にすぎないと判断することも考えられます。
その時、やはり様々な立場から意見を受けるに越したことはなく、より多くの人が関わって、保護者との合意形成を図っていく事が必要なのだと思います。
最後に
本資料では、最後に個々の具体例が記載されており、参考となるものが多くあります。
ここでは割愛しますが、「6 学びの場の見直しに当たっての本人及び保護者との合意形成 ~学びの場の変更の取組例~」をご覧ください。
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