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文化・観光・まちづくりの良い関係性とは?文化観光 高付加価値化リサーチが始動します。

はじめまして。私たちは、文化庁が推進する文化観光事業のうち”文化資源の高付加価値化促進事業”のリサーチを担当している民間チームです。

このnoteでは、文化と観光とまちづくりのあるべき“関係性”、そして、その関係性を高めていく上で鍵となる文化資源の“高付加価値化”について発信していきます。

文化・観光・まちづくりが相互に共鳴しあい、一体となって文化を未来に受け継いでいく。さまざまな地域で、文化・観光・まちづくりに携わるみなさんと一緒にリサーチをつくりあげていきたい。楽しく、創造的で、実験性に富むジャムセッションのようなプロジェクトにしたいという思いから、リサーチ・チーム名を“session”としました。

文化・観光・まちづくりは相容れない?

「観光と文化は相容れない」と古くからよく言われてきました。

観光産業による一方的な地域や文化への介入は、安易な観光商品化につながり、地域が培ってきた本質的な価値を損なってしまう。効率的にただ見るだけ・消費するだけの観光は、短期的には観光収益をもたらすかもしれませんが、オーバーツーリズムと言われる観光公害につながる恐れがあり、地域の生活・暮らしを圧迫してしまう。

また、機能性・合理性ばかりを追及した開発主導型のまちづくりは、地域の文化や暮らしと乖離していく。地域が中心に据えられていないまちづくりは、短期的な観光集客スポットとして賑わいをつくれても、結果的には地域の固有性が失われた均質的な場所となってしまう。

一方、保護されるばかりで触れることのできない文化は、観光やまちづくりの手の届かないところで、担い手や支え手の減少により消失に向かっていく。

文化・観光・まちづくりが対等で正となる”関係性”

私たちは、このような負の関係ではなく、文化・観光・まちづくりが対等で正となる”関係性”の構築が重要だと考えています。

地域文化を表面的な観光資源として消費するのではなく、その価値に新しい光をあて、支えていくための観光のあり方とは? 来訪者が文化に触れることができ、その価値を感じて地域のファンになっていけるような地域文化のあり方とは? そして、来訪者が地域らしさを感じることができ、地域固有の文化を育んでいくための、まちづくりのあり方とは?

文化、観光、まちづくり、それぞれ個別の推進策を追い求めるのではなく、それらの“関係性”に徹底的にこだわり、リサーチを進めていきます。

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“文化資源の高付加価値化”のあり方を皆で考える

そして、文化・観光・まちづくりの双方向で対等な正しい関係性を生み出すために重要な鍵となるのが、文化庁が文化観光事業で実施している文化資源の”高付加価値化”です。

文化資源の高付加価値化は、高単価な観光商品造成を意味するものでは当然ながらありません。観光消費増加という観点だけでは、文化・観光・まちづくりの正しい関係性構築はできないでしょう。

地域文化の本質的な価値を捉え、その価値を見立てて創造的に高めていく。それを様々な来訪者に開き触れられるようにすることで、文化の担い手である地域の熱量を高め、文化のファンや支え手を増やし、文化に還流する地域経済を生み出す。そして、この一連の文化資源高付加価値化のプロセスが、文化・観光・まちづくりの双方向で対等な正しい関係性を生み出していく。

このリサーチでは、地域での具体的な取り組み・事例を掘り下げていくにあたり、各地で実践している人たちへのインタビュー、データに基づく定量調査と指標づくり、また分野横断的なワークショップやトークイベントを行っています。こちらのnoteでは、そうしたリサーチの実践のプロセスを紹介していきます。

“session”というチーム名も、実はワークショップでの議論の中から登場したキーワードでした。より多くの方々にこのリサーチに関心をもってもらいたく、また参加してもらいたいと思っています。

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観光復興のプロセスのなかで考えたいこと

2020年から世界中を襲った新型コロナウィルスは、これまで当たり前だった移動や人との交流、文化活用や文化表現を困難にしました。これ程までに観光や文化、そしてその舞台となる地域の大切さを切実に感じたことはなかったかもしれません。

これからきっと観光や文化表現の場は少しずつ戻っていくことになるのでしょう。しかし、元の姿に戻ることが果たして日本の文化や地域にとって良いことなのでしょうか。

地域固有の文化の創造性、美しい景観、それを担い支える人々の営み、人や文化の交流、それらを支える血流として経済圏。これから始まるであろう観光復興のプロセスにおいて、文化・観光・まちづくりの関係性が負でない、正の関係性となるように、今このテーマについて皆さんと議論していけたらと考えています。

関心をもっていただいた方はぜひ本noteをフォローしていただければ嬉しいです。今後、記事の公開やトークイベント、ワークショップの参加者募集なども検討しています。ぜひ文化・観光・まちづくりのより良い関係性を探求するムーブメントに関わってください!

関連note紹介

文化観光についてのnote発信は、文化観光高付加価値化チーム「session」だけではなく、下記の2つのnoteでも行っていきます。

様々な視点・切り口から文化観光についての取り組みを紹介しています。noteで皆様に随時ご紹介していきますので、どうぞ楽しみにしてください。



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