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研究者から見た、地球温暖化。目指せ、脱CO2!【問題編】

【この記事は構想 7日、まったり読むと 3分】

研究者の目線で、地球温暖化や脱CO2の実情を話そう。
僕の専門は、まさにその脱CO2技術だ。
長くなりそうなので、問題編と解決編の2回に分けてお届けする。

・地球温暖化の原因
化石燃料を大量に燃やすと、大気中のCO2濃度が上昇する。
CO2は温室効果ガスであり、太陽光の熱を吸収し、保持する。
これが地球温暖化の原因とされている。
異論を唱える人もいるが、ほぼ正しい仮説だと思う。
つまり、地球温暖化を抑制するには、大気中のCO2を減らす必要がある。
そして、その根源は化石燃料(石炭、石油、天然ガス)だ。

・なくならない化石燃料と脱CO2
20年ぐらい前は、化石燃料が枯渇するなんて噂もあって、そのために研究する人達もたくさんいた。
採掘技術が向上し続けていて、そんな噂は聞かなくなった。
この先100年以上は枯渇しないだろう。
とはいえ、あと100年化石燃料を燃やし続けたら、地球の気候は大変なことになる。
そして、10年くらい前からか、低CO2や低炭素を目指そうと声が大きくなってきた。
さらに、異常気象が頻発したのを受けて危機感が高まり、最近は、脱CO2や脱炭素社会が叫ばれている。

・脱CO2に投資したいのに、投資先がない?!
実は、脱CO2はかなり後押しされている。
身近なニュースでは、パリ協定、SDGs、グレタ・トゥーンベリ現象などが話題だ。
一方、脱CO2業界では、投資先の不確実性が増している。
つまり、資本家・投資家は脱CO2に投資したいが、何に投資すればよいかわからない状態だ。

・なんで、脱CO2投資先がないのか?
専門の研究者として、自虐的に解説しよう。
以下、3点だ。
①脱CO2はみんな求めている。(ニーズはある!)
②化石燃料よりも安い再生可能エネルギーを、誰かに開発してほしい。(クリアすべき課題もわかっている!)
③化石燃料が安すぎて、それより安い再生可能エネルギーが作れない。見通せてすらいない。(誰も、経済的に成り立つ解を見つけられていないと思う。。。)

・再生可能エネルギーが普及しないワケ
ここで、疑問に思うかもしれない。
太陽光パネルがそこら中に普及しているではないかと。
このまま増やしていけばいいのではないかと。
確かに、国内外を問わず、固定価格買い取り制度(FIT)などの政策のおかげで、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの普及が一時的に進んだ。
発電コストも下がってきた。
実は、国民の電気代が増えてはいるのだが、これはいいことだと思う。
しかし、太陽は昼間のみ、風は吹いたり止まったりなので、不安定な電源だ。
発電(供給)と消費(需要)が釣り合わないと停電が起こる。
発電が足りない時だけでなく、実は多すぎても停電するのだ。
不安定な再生可能エネルギーが一定量まで増えたため、電力会社から系統への受け入れ拒否が相次いでいて、これ以上の普及が難しい局面に入っている。
蓄電池などに電気を貯めておければいいのだが、残念ながらコストが高すぎる。
不安定な電気エネルギーを、水素などの化学エネルギーに一旦変換して貯めておくこともできるのだが、こちらもコストが高すぎる。(←僕も研究中)
国内外を問わず、この壁にぶつかっている。

・脱CO2への経済的な支援の難しさ
安い化石燃料と、安定化を含めた高い再生可能エネルギーの価格差を埋めるためには、炭素税などの経済的な支援が必要になる。
僕もこれに期待し、10年以上の間、脱CO2技術を研究開発してきた。
しかし、リーマンショック、東日本大震災などの緊急事態に直面するごとに、炭素税のような政策は後回しにされてきた。
今回の新型コロナウイルスも大きな影響があると思う。
このように、短期的な危機が度々起こると、長期的な視点で、経済支援をする政策はすごく難しいことだと何度も痛感した。
こういう不確実性が脱CO2への投資をさらに難しくさせている。

・問題編の終わりに
ここまで、脱CO2技術が割高であり、国からお金の流れが絶望的であるという説明をしてきた。
だからこそ、研究者として、やりがいはものすごくある。
技術だけでなく、経済、人の心理、将来予測など様々な知識が必要で、それらを学ぶ知的好奇心を楽しんでいる。

次回の解決編では、僕なりの希望を示したい。
読んでくれて、ありがとう。

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