[VeriSM入門⑥]サービスライフサイクル
これまでご説明してきたVeriSMモデルの内容を改めて整理したいと思います。(VeriSM入門③、④、⑤)
サービス戦略立案では、「ガバナンス」「サービスマネジメント原則」に従って、組織全体のサービス戦略を立案します。その後、「マネジメントメッシュ」を活用して現状・あるべき姿、そのギャップを可視化し、実行計画を策定します。前回、ここまでの流れを説明させて頂きました。
では、実行計画策定からサービス運営について、VeriSMではどのようなアプローチが紹介されているかを今回は見ていきましょう。
全体像は以下の通りです。それぞれの内容を見ていきたいと思います。
定義する(Define)
Defineフェーズは、主に製品やサービスの設計に関連する活動やそれらの成果を支援する活動になります。
・顧客要望・提案に対する承認
顧客要望および提案からビジネスケース(投資判断をするための情報)を策定し、ステアリングコミッティで承認を得ます。
・顧客成果及び要件の収集
顧客が達成したい成果について要件(機能とパフォーマンス、法令及び契約の要件等)及び情報(既存ルール、設計等)を収集します。
・ソリューションの作成(非機能、運用面)
ソリューションを構成するパフォーマンス要件(可用性、キャパシティ、継続性、セキュリティ)、ソーシング計画、テスト要件、展開計画(トレーニング、コミュニケーション、マーケティング等)等を立案します。
・サービスブループリントの作成
顧客要望を実現するために必要なサービスを構成する要素を特定し、その詳細を視覚化します。(次フェーズのインプット)
生産する(Produce)
Produceフェーズは、Defineフェーズのアウトプットであるサービスブループリントをインプットに、サービスの生産、テスト、実装を行います。
本フェーズでは、製品やサービスが見えるようになってくることで、様々な変更が発生することから、特に「変更コントロール」の重要性に言及しています。ただ、詳細は様々なプラクティスで定義されているものを参照する形になっています。
・生産
サービスブループリントの仕様をインプットに、新しいサービスやそれをサポートするシステムを構築および調達します。
・テスト
テスト要件(パフォーマンスパラメーター)やガバナンス、サービスマネジメントの原則に従ってテストを実施および評価します。
・導入と評価
サービス展開計画に従いサービスをリリースします。リリース前には、機能面、パフォーマンス面、運用面を含めたリリース判定を実施します。
提供する(Provide)
Provideフェーズは、製品やサービスが消費者に提供され、利用できる状態です。サービス提供者は定期的に合意されたサービスレベルを満たしているか、サービスのパフォーマンスを可視化します。
製品やサービスが消費者に利用されるためには、まず消費者がその存在を認知して、実際に利用方法や手順などを理解する必要があります。よって、本フェーズではマーケティングの重要性についても触れられています。
・保護
サービスの継続的な提供を保証するために、セキュリティ管理、リスク管理、サービス継続性管理等を実施します。これは基本消費者には見えない活動となります。
・測定と維持
日々の運用の中でサービスパフォーマンスを継続的に測定し、合意された品質に対する結果をステークホルダーに報告レポーティングします。
・改善
日々の運用の中から発生する新規または追加のサービスに対する要件を識別し、優先順位に従って改善活動を実施します。
応答する(Respond)
Respondフェーズは、消費者の接点として双方向のやり取りをする活動です。サービスに対する問い合わせや不満、サービスに対する要望などが該当します。
これらの振る舞いを実施するためには、顧客満足を重視するサービス文化が組織や人に浸透していることが重要となります。本フェーズではそれらの重要性についても少し触れられています。
・記録
サービスデスク(SPOC)等が、サービスに対する問い合わせ、クレームや依頼事項等を受け付けて記録します。これらはサービス改善のインプットとして活用されます。
・管理
問い合わせや依頼事項に対する対応を透明性をもってコントロールします。サービス消費者には想定解決時間や現状のステータスなど解決にむけたコミュニケーションを双方向に実施します。
VeriSMの全体概要は以上になりますが、概要から派生する具体については個別トピックとしてご紹介したいと思います。
本日は以上です。ありがとうございました。
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