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さみしくて死んじゃうハムスターはtinderを片手に

昨日はさみしくて死んでしまう日だった。
さながらハムスターだった。
と、それっぽいことを言いたい私が顔を出すが、あんまり要点は掴めてない。文章そのものも、何を書きたいのかよくわかってない。
ハムスターに高度で繊細な文章は書けないので大目に見てほしい。

とにかく、リビングから色が消えて、音が無くて、何もする気が起きない日であった。


昔から、自家発電ができない。

一人行動は好きで、ニューヨークもサンディエゴも、一人で旅した。

お店もカフェも一人でよく行くし、一人で手帳に向き合う時間も愛している。


そのわりに、朝起きたあとの最初のスイッチが一人だと押せない。

人に押してもらう必要は別にない。

ただ、同じ空間に人がいると、その部屋が暖かい光を放ち、私は自分で自分のスイッチを押せる。

朝一番最初の私というプログラムの起動に、立会人が必要なのだ。

昔っからこの体質で、大学生の頃の日記などを読むと、こんな私に沢山会える。
どうしても気力が出なくて4限くらいまで家で寝そべり「学校に行かなきゃ、面倒くさいな。」をひたすら考えながら時間を過ごした私。その時間があれば行けよ、っていうツッコミは、私でも出来るから受け付けてない。

大学生の私も、昨日の私も、後悔を平らなペースト状にのばして、その上に寝そべりながら、夜になるのを待った。


旦那が出社日だった。

なんだかんだ、休職し始めてからの私の日々において、旦那が不在となるのは昨日が初めてだった。

私は、私の起動に失敗した。


もともと、できることの少ない私なのだ。料理もできないから、ご飯も一苦労しながら食べた。

そもそも食欲も湧かない私が、昼食や夕食のことを考えるのすら、難しいのだ。

一昨日はあんなに救われたカルチャーにも、救われる私になれなかった。本を読んでも手が進まなかったし、そもそも本を読む気にもあまりならなかった。救われるには、私の起動が条件らしい。ハムスターには読めない。


音の無いリビングは蒼くて、無機質で、思わずテレビを付けた。見たくは無いけど、テレビの音を流しておかないと、寂しくて死んでしまう気がした。

あちこちオードリーの過去の録画を3つも観た。

面白かったけど、私の起動はできなかった。


極端に落ち込んでいたり、沈んでしまったわけではなかった。単純に、やる気という概念がすっぽり抜け落ちてしまっていた。

そして、これは別に、現在の精神疾患とは関係ない。さすがに、全てを病のせいにしたくない。

昔から、人がいないと、自分は起動できない。ハムスターになってしまうのだ。


ただ、仕事のように、決まった時刻から始まり、決まった時刻からミーティングのあるものがあれば、起動される。

それもない1日は、言葉を発する必要がなく、夜になり、虚無となって、そのまま空気になって窓の外へ流れ出す。


寂しさが絶頂に達し、tinderをやった。

もし、今すぐこの近くで会ってお喋りできるなら、身体をゆるすから、誰かに会いたいと思った。

10代の孤独な女子の気持ちがわかった。

不倫する妻の気持ちもわかった。

平日、こんな無機質なリビングに置いていかれると、寂しくてたまらないのだ。

それでも、なんだかんだで会う勇気もないし、そもそも会う前のチャットのやりとりが必須。チャットで時間をつぶした。

マッチするたびに、何の言葉も発しない私という存在が、歪んだ形で、1mmずつ承認された。


めんどくさくてたまらかったが、スーパーに行った。さすがに気合を入れた。

歩きながら、もしかして復職できるのでは?と考えた。

頭がぼーっとしてしまうことが、休職の原因だった。それはもしかして、おさまっているのではないか?このまま休職を続けると、私はtinderを片手に、夜の町を逆さまに散歩し続けてしまうのではないか。

しかしながら、スーパーで鶏肉を選べなくて、やっぱりまだ現職への復帰は難しいかもしれない、と思った。書類を沢山読み、作り、大量の判断をする仕事だから、鶏肉を選べない私にその仕事は難しい。

自分でも、戻りたいのか、戻りたくないのか、全くわからない。

戻った場合のメリットとデメリット、新しい仕事をするメリットとデメリットを、整理する必要がある。

新しい仕事のデメリットに、旦那のいない日にハムスターになってしまうことを入れておこう。

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