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「用の美」世界には美しいものが溢れている 親子でHSPの私たち

 今日から立春ですね。雪の天気予報は外れ、3月上旬のような日差しの温かさと、薄曇りの灰色がかった雲の合間からのぞく水色の空が気持ち良い。
文鳥の白ちゃんも起き抜けから求愛ダンスを披露し、部屋の中にも春めいた明るさが訪れました。あとはムスメの抱える精神的な面からくる体調不良を残すのみ。
 ムスメよ、もうすぐそこまで春が来ているよ。
車の排気ガスで汚れて固まった雪の残骸のようなやるせなさは、時が過ぎれば少しずつ溶けていくから、どうか絶望やあきらめに慣れ親しまないで。
高校生活という足元のレールは永遠に続いているようで、実際にはあと1年もすれば自動的に道は別れ、あなたは自由になる。その日を指折り数える
毎日はしんどいでしょうが、全日制の高校卒業と大学進学を目標にかかげたからには、初心を貫こう。
 誰かに強いられる我慢は、本人に好ましくない結果を生むけれど、みずからが選び取った忍耐であれば、良い結果につながるとママは信じています。早退でも登校したら出席扱いだもの、ぼちぼちと歩んでまいりましょう。

 文鳥・白ちゃんの看病とムスメの不調でアップアップしていた先々週、衝動的に冬物バーゲンに手を出し、カーディガンの色選びで失敗した話は前に書きました。その際に、実はストール(マフラー)も一緒に注文していたのでした。こちらは友人からお下がりでいただいたアイス・グレイと呼びたい白いコートに合わせるため、使用イメージを思い描いて購入したものです。
到着したストールは、ほんのり黄味がかっていたたけれど、色の誤差は許容範囲で良かった。首元に巻いてチェスターコートを羽織ると、寒色系のグラデーションコーディネートが完成。重心を上にあげ、かつ装いのアクセントとなり隙間風を寄せ付けない機能性と、英国製羊毛100%の素朴な美しさを備えたストールを手にすると、心身が満ち足りてくる。
姿見に自分を映したり、外出先での防寒効果を検証したり、1枚のストールを楽しむうちに、民藝運動の父・柳宗悦(やなぎ・むねよし)が提唱した
「用の美」の言葉が心に浮かびました。

こちらの文章、構成とライターさんの力量がお見事で、良いなあと読みふけりました。柳宗悦(やなぎ・むねよし)が雑誌『民藝』で語った趣旨を、JR西日本さんの記事から引用させていただきます。“「用の美」柳宗悦を魅了した出雲の民藝” (JR西日本 Blue Signal September 2005 vol.102)

「実用性(=鑑賞用ではないもの)」、「無銘性(=作家でなく無名の職人によってつくられたもの)」、「伝統(=先人の技や知識が積み重ねられているもの)」、「地域性(=地域の暮らしに根ざした独自の色や形)」、「複数性(=数多くつくられるもの)」、「廉価性(=誰もが買い求めやすい値段であること)」、「労働性(=繰り返し作業によって得られた技術の熟練を伴うもの)」、「分業性(=数多くつくるため共同作業によるもの)」、「他力性(=個人の力より、風土や自然の恵みによって支えられていること)」。

柳宗悦は日本の手仕事について語っているけれど、私のもとに来たストールも、広い意味ではこの解釈に該当するではありませんか。
考えてみれば、いつも自分は実直な職人魂を感じられる製品の、すべてに慕わしさを感じていた。ものづくりの現場で働く人の、暮らしや生き方を彷彿させる物語を持つ品物にたまらなく惹かれるのです。久方ぶりのバーゲンでの戦利品(なぜかバーゲンとなるとこう呼びたくなります)で弾みがついて、色々なサイトで鞄や靴もチェックしてみました。

株式会社ムーンスターの810s (エイトテンス)。日本語の“腹八分目”から名付けられたそう。料理人や看護師さんたちの足元を固めてきた靴などを、スタイリッシュに進化させた製品が並んでいます。自分には月星の名前のほうが懐かしいメーカーさん。明治6年に足袋作りを始められたとは初めて知りました。春になったら1足新調したい。
他にも日本製にこだわる革製品のお店など、見渡すと頑丈で美しく、毎日の生活のハッピーを底上げしてくれるものたちが溢れていたのでした。

家族の誰かが病気や心の鬱屈を抱えているとき、気を抜くと他の家族(この場合はわたし)までもが、陰鬱なムードに引きずられそうになりませんか。そんな心を引っ張り上げてくれるのが、日常の贅沢であり、自分が目にするたびに「好き」と思えるものたちなのだなあと今回実感しました。
ファッションは自己表現でもあるのだから、他者の目に心地よく、自分らしくいられる装いを、丁寧にしていきたい。
季節ごとに身づくろいを通して自分の変化をたどれる、四季のある国に生まれて良かった。白ちゃんの看病から始まった等身大のわたしのヴァージョンアップは、しばらく続きそうです。


 




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