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漫画原作者が語る元ネタ集②(ヤングキング連載中「瀬尾と北中」)

元ネタ集です。
原作に追いつきたいので今日も更新です。

さて、今回は12号(第5話)の元ネタ解説です。
11号については、2個前の記事にて解説文章を記していますので、そちらをご参照ください。

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改めて思いますが、自分が漫画になっているというのは不思議な感覚ですね。
図書館にあった偉人の漫画やたまに漫画雑誌に載るアスリートの漫画等実在の人物をもとにした漫画は多々ありますが、何せ僕らは全くの無名芸人です。
こんな機会二度とないと思いますので楽しみつつもっとこの漫画と僕らのことが広まればいいなと思い文章を下ろしていきたいと思います。

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パフェです。
作中で瀬尾が学校をサボってファミレスで食べていましたね。
実際、僕も同じことをしたことがあるのです。

高校二年生の時。
その日はいつものように起きていつものように寝ぼけながら朝ごはんを胃に流し込んでいつものように自転車にまたがりいつものように学校に向かうはずでした。
ただ、その日はなぜか本来ならまっすぐ進むべき十字路を右に曲がって、気がつけば放課後によく行っていたファミレスにたどり着いていたのです。
学校が嫌いだったわけでもなく、本当にただなんとなく、僕はその日初めて明確に学校をサボりました。
MDプレイヤーから流れているのは大好きなロックンロール。
もしかしたら小さなことかもしれないけど、ロックをしてみたかったのかもしれません。

「制服のままだから入店できないかもしれない」なんて思いながら少し手に汗してファミレスのドアを押したのですが、店員さんはいつも通りに接客をし、席へと案内してくれました。
一ウエイトレスに学生のサボりなんて知ったこっちゃないし、サボりなんて誰だってやっていることなのだから当然です。

学校が始まる9時を過ぎても僕が座っているのは教室の椅子じゃなくてファミレスのソファでした。
そして注文するのは、クリームとチョコレートがたっぷりのパフェ。
人もまばらなファミレスで一人、学生服でパフェを頬張る僕はなんだか異質で、それはちょっとロックだったんじゃないかと思います。


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強がっていますね。
正直ビビっていました。
学校を無断でサボるなんて一度もしたことがなかったですから「先生が怒っているかもしれない」だとか「親から連絡が来て怒られるかもしれない」なんてずっと落ち着かなかったです。

落ち着かないでいるうちに、結局昼頃には学校に向かったのですが、なぜか誰にも咎められることはなく、拍子抜けに思った記憶があります。
僕にとっては大きな一歩だったのですが、周りからすれば何も気に留める事のない出来事だったのでしょう。
自分に起こる出来事なんてどれだけ重大であっても、実は大体がそういうものなのかもしれません。

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ちなみに僕がサボったファミレスは「ジョイフル」でした。
東日本の方にはあまり馴染みがないファミレスかもしれませんが、西の人間にとってはジョイフルはメジャーなファミレスの一つです。
土曜日の部活終わりによく行っていました。
ベタにドリンクバーのジュースを全種類混ぜたりしました。
ジョイフルこそが至高のファミレスだ、と言い切ったことさえあります。
都内ではなかなかないので少し寂しい限りです。

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分かる人は分かる元ネタですね。
アフロヘアーでフランクに芸術を教えてくれる男、ボブ・ロスです。
高校の時の選択授業で美術を選択していたのですが、唯一と言っていいほどの楽しみはこのボブのビデオを観る事でした。
授業内容の一つに、芸術をより身近に感じられるようにと先生がボブのビデオを見せてくれたのですが、芸術よりもむしろ僕はボブに強く興味を惹かれることとなりました。

ボブが描くのは油絵なのですが、30分足らずの間に真っさらなキャンパスに美しい風景画が描写されていく様は観ていてとても楽しいもので、自分にも簡単に真似できるのではないか、と思わせるものでした。
「ね、簡単でしょ?」とビデオのボブは言うのですが、実際にやってみるとやはり難しく、軽快なトークを交えながらスラスラと描いていくボブは流石はプロだ、と舌を巻くものでした。

ボブが使う画材も面白く、バンダイキブラウンと言う色はこのビデオでしか聞いたことがない色でどんな色なのかもよくわからないままでした。


第5話の元ネタ解説でした。
なんといってもボブですね。ボブ・ロスの絵画教室は本当に面白いので皆さんもぜひ調べてご覧になってください。

ではまた。


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