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海が私に教えてくれたこと。Vol.5



波に打たれながら
顔ギリギリの場所まで進むと

静寂と緊張が同時にやってくる

波を待つ間は
自分の呼吸音しか聴こえなくなり

波が動き出すと
息を潜めてタイミングを測りだす

それはまるで
狩りをする動物かの様で

余計なことは一切考えず
ただひたすら目の前のことに集中する


この海域は
だし(離岸流)と呼ばれている場所で

波打ち際から沖に向かう流れが
かなり強くて危険な場所らしく

気を抜こうものなら
波に引きずり込まれてしまうし

何か考えようものなら
自分より高い波が頭上から降ってくる

海に飲み込まれるような恐怖は
本気で命を奪われる危険をも感じさせた。

それでも私は
夢中で海に挑みつづけた

何度も何度も挑戦し
何日も何日も拒絶される

受け入れてもらえない悔しさは
ただただ、高揚感を増幅させた


何がそうさせてるのか
まったくもって理解不能だったけど

何かが私をつき動かし
海に向かわせているのは間違いなかった。



神々はいつだって正気じゃないな..


泳げない私に海へ入れと言い
押し寄せる波から逃げるなと言い

こんなことさせてまで
学ばせようとするのだから

けど、仕方ないか


私のこの細胞は
あなた方に似せられて

地球の最愛として
創られたのでしょう?

それなら


私がその意図に従い
命を賭けられる動きをするのは


どちらも疑ってないからだよね。



いいよ
やってやろうじゃないの

だからそこで見ててよ
私がどこまでやれるかを

異常なワクワクが
溢れ出てる恐怖心に勝り

すべての感情から
もう逃げないと決めた


そして


遂にその時はやってきた。




つづく





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