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科学的思考法ワークショップについて

 こんにちは! SENZU Science Lab. です。

 私たちは、京都大学で研究活動をしていたメンバーを中心としたチームで、科学の面白さと考え方を広めることを目的として活動している団体です。
 私たちは、科学の考え方を科学的思考法と呼んでいます。科学的手法は、多くの思考のベースになる「最強の思考エンジン」であり、学術研究だけでなく普段の生活や仕事にも役立つと考えています。
 その活動の1つとして、科学的思考法にフォーカスしたワークショップを行っています。

科学的思考法とは何か?

 科学的手法は、我々人類が複雑な世界の仕組みを理解し応用するために、何千年も積み重ねてきた思考のノウハウです。

 その中身を簡単に説明すると……

「なぜだろう?」       問題提起
「こうなんじゃないか?」   仮説
「本当にそうなのかな?」   検証
「実際どうだったんだろう?」 考察

 という流れになります。

 仕事での企画立案、日常生活の疑問の解消においても、無意識にこのような流れで考えている人は多いのではないでしょうか?
 いま書いたことは大雑把な流れに過ぎません。実践を交えながら体系的に学ぶことで、より洗練させていくことができます(注1)。

「それって科学と関係あるの?」と思われた方もいるのではないでしょうか?

 科学ときくと、思考法というよりはむしろ、数式を使ってボールの飛距離を計算したり、元素記号を覚えたり、といったことが思い浮かぶでしょう。
 しかし、数式に従って結果を予測したり、元素について学ぶ、というのは科学の一面にすぎません。学校で習う理科はこの一面に重点が置かれたものなのです。

 科学的思考法は、数式や元素を一歩引いて見つめるところから始まります。
 そもそも、数式や元素がどのように発見されてきたのかと考えると、小校の理科で学ぶ簡単な法則から最先端の科学の成果に至るまで、すべて科学的思考法に沿って生み出されてきたものなのです。

注1)例えば、仮説の立て方にもいくつかパターンがあります。知りたいことの大事な部分を定めるというところから始まり、そしてモデルを立て、法則性を見出し、どのような実験を行えば仮説が間違っていないといえるか、まで考えます。
 検証プロセスも、定量化、相関関係に着目するなど、様々な方法が存在します。

科学的思考についてのよくある誤解

理系だけが使うノウハウでしょ?

 科学的思考法には「科学」の二文字が入っています。
そのため、「理系の人だけが身につければいいもの」といった印象を受けたのではないでしょうか?

 決してそんなことはありません。
 法学や歴史学などの文系科目に興味がある人にも大事な考え方です。自分が考えをいかに説得力のある形に組み立てて人々に受け入れてもらうか、そのような立場に立つと、実は科学的思考法が文系科目でも非常に重要になってきます。

研究者以外には役に立たないでしょ?

 科学的思考法はアカデミックな研究以外にも応用範囲は広いです。

 例えば、ビジネスにおいても重要な考え方です。商品開発やセールス過程は、複雑に絡み合う要素を切り分け、仮説を立て、最適な打ち手を打つ、といったものであり、これは科学的手法の実践です。
 ビジネス上の課題を解決するコンサルティング業界では、学術研究に携わっていた人たちが多く活躍しています。科学的手法を学んだことがビジネスで役立っていることの証であると言えます。

 また、日常生活においても非常に有用です。例えば「洗濯物に臭いが残ってしまう」という現象は身近によくある困りごとかと思います。いろいろな洗剤をやみくもに買って試してみるのもよいですが、科学的思考法が身についていれば、臭いの原因を突き止め、それを解決することができます。

難しい数式を解く力のことでしょ?

 数式は必ずしも科学的手法に登場するわけではありません。
 実際、私たちの提供するワークショップには難しい数式は登場しません。

ロジカルシンキングのことでしょ?

 ロジカルシンキングは科学的思考法の一部にすぎません。
 疑問を持ち、その疑問を確かめるための総合的な思考体系が科学的思考法です。

 以上のように、科学的思考法は様々なシーンで応用できる思考法である、というのが私たちの結論です。

 加えて、一度身につけるとあらゆる分野で成長が早くなります。例えば、デキる人とそうでない人をよく観察して重要な考え方や言動の違いを見抜いたり、ある分野で学んだことを他の分野にアジャストして上手く適用するための能力も科学的思考法によって身につきます。

 そして、今の時代の流れを考えると、これからますます科学的思考法が重要さを増していくでしょう。
 現代社会では、あらゆる人がネットに接続し、いつでも情報にアクセスできるようになりました。それによって、単なる知識は価値が低くなってきています。一方で、大量の情報について、その真偽を確かめられる能力が必要とされていくでしょう。
 さらに、今後はAIの能力がさらに発展し、単純作業の価値は低くなっていくでしょう。これからは主体的に問題意識を持ち、それを解決する能力がより一層もとめられる時代になっていきます。

 このように、名前に科学という言葉が入っていながら、非常に多くのシーンで活用可能なのが科学的思考法なのです。
 そのため、私たちは科学的思考法は最強の思考エンジンであるとみなしています。

具体的にどうやって身につけるの?

 突然ですが、「餌を探しに行ったアリはどのように巣に戻っていくのか?」とか「月はなぜ満月になったり三日月になったりと毎日形を変えていくのか?」と疑問に思ったことはないでしょうか?

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 科学的手法は、このような身近な疑問をテーマにして、専門家の意見をもらいながら、繰り返し実践することによって身につけていきます。

なぜ私たちがやるのか?

 最強の思考エンジンを多くの人に広めたい、という思いからです。

 科学に対して漠然としたハードルを感じる方も多いかと思います。そのためか、科学的手法の習得は大難しいものだと思われているようです。実際、本格的に科学的思考法を学ぼうと思ったら、大学院に進学し研究に取り組むというルートをたどる必要があります。
 しかし私たちは、前提知識がなくても小学生から科学的思考法を学ぶことが可能であると考えています。むしろ、法則を知らないところから法則を見つけ出すことができるのが科学的手法の強みですから、前提知識のあるなしは関係ありません。

 様々な事情から、大学院に進学できる人は限られています。そのため、科学的思考法を学べる機会が、一部の人にしか提供されていないというのが現状です。
 私たち SENSU Science Lab. は、大学院で最先端の科学研究に打ち込み、その後企業などで働いているメンバーから成っています。メンバーは学術活動以外の様々な場面で科学的思考法を応用して活躍しており、その過程で思考をノウハウとして蓄積してきています。
 そこで、私たちのノウハウを結集し、多くの人が科学的思考法を身につけられるような体験型講座を設計しました。

他の科学実験講座との違いは?

 私たちのワークショップ特徴は以下です。

・思考法に焦点を当てていること
・専門家からのフィードバックを受けながら実践できること
・高度な専門知識を前提としないこと

 一般向けの科学実験講座や、テレビや YouTube で見ることのできる科学実験などで、科学の知識を得たり体験したりという機会は増えてきました。
ところがその多くは実験結果の意外性やビジュアル的な楽しさに重きを置かれており、その裏側にある思考法には焦点が当てられていません。
「科学の楽しさを知る」というのは確かに大切なことです。私たちのワークショップにおいても、実験そのものが楽しい!と思ってもらえるよう工夫しています。しかし私たちは、ただ実験をして楽しかったという体験の先の世界を伝えたい、科学で使われている考え方を知ってほしい、と考えています。

 一方、本屋に行けば、様々な思考法について書かれた本であふれています。それを読んだだけで思考法身につけばよいのですが、自然と使えるようになるには何度も実践して適切なフィードバックを受ける必要があります。

 さらに、私たちの伝えようとしている科学的思考法を提供してくれる機関である大学院は、高度な専門知識を前提としており、機会に恵まれなかった人が大学院に行くのは大きなハードルがあります

 そこで前提知識なしでもできる実験をしていただき、そこから科学的手法でつかわれる考え方を学んで、専門家からフィードバックを受けながら身につけていく、という場を私たちは提供します。

どんなひとに受講してほしいか

・将来研究者になりたい! という子供、学生たち
・疑問や問題意識を持っているが、どうのように解決すればよいか困っている人
・子供の素朴な疑問にどう答えたらよいのか困っている大人
・「頭がいいひとの考え方」を知りたい人
・仕事や日常生活の問題を解決するための便利な考え方を身に着けたい人

さいごに

「科学」と聞くと敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、科学はもっと身近であり、そして誰しもが科学者になれる才能を持っています。実践によってその才能を伸ばし、科学的思考法という最強の思考エンジンを手に入れましょう。

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