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コロナ禍で見る日本の「同調圧力」

 コロナ禍の2020年、2021年、連日ニュースでは前週もしくは前年に比べてどれほど街中での人出が増えたのか報道されています。街頭インタビューでは「なぜ外出しているのか?」、「不要不急な用事ではないのか?」、「自粛慣れなのか?」等のある程度回答者の答えが読める質問が繰り返されています。更に2021年4月23日に発出された3度目の緊急事態宣言では対象地域の飲食店での酒類提供停止が要請され、ニュースでも路上飲みをする若者やお酒を提供する飲食店にスポットライトを当てた報道が増えています。これらのニュースを見ていて改めて日本の「同調圧力」の存在を認識しました。

●日本の小学校での「同調圧力」

 筆者は幼少期を海外で過ごしており、小学校5年生の時に日本に帰国しています。海外の現地校に通っていた筆者が日本の小学校に入り、最初に大きく躓いたのが何事にも皆と歩調を合わせる空気を感じ取ることでした。日本にずっといる子どもからすれば筆者完全にKYな存在だったと思います。例えば、一週間に一回外遊びの日があるのですが、筆者は本が読みたかったため教室に留まっていると突然電気を消されて教室から出るようにと促されました。また、箸を使い慣れていない筆者は給食を食べるスピードが他の人に比べて遅いのですが、給食時間の後はすぐに掃除の時間が始まるため、給食を食べ終えていない筆者は一人で皆の掃除の邪魔になりながらも食べないといけませんでした。
 このように、皆と同じ行動、同じスピードを求められる機会が非常に多く、筆者は何度も日本では暮らしていけないと考えたことを覚えています。

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●日本の社会人の「同調圧力」

 日系企業に就職した人は少なくとも一度は上司へ「NO」と言えない場面に出くわした経験があると思います。筆者も上司よりも早く帰れないという心理に陥る場面が何度もありました。実際に早く帰ろうとすると「体調不良か?」と聞かれたこともあります。結果的にあまり生産性のない長時間労働に繋がります。また、業務後に上司から誘われた飲み会に対して「NO」とは簡単に言えないです。「飲み会も業務の一環」という圧力があり、そこを欠席すると翌日冷たい態度で対応されることが容易に想像できます。

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●日本社会に存在する「同調圧力」

 長期間外国に住んでいた身として、日本には人間関係のバランスを気遣って「YES」とも「NO」ともはっきり言わず、物事を曖昧なままに濁す文化が確かにあると思います。「出る杭は打たれる」ということわざは正に日本社会を現しています。何よりも社会の枠組みを崩さないことが大切で、創造性や強い個性に対して拒否感が強いと感じます。
これは決して悪いことだけではないです。農耕をメインで行う村社会では一人の突飛な行動で大災害に直結することもあります。きちんと社会性、協調性があるからこそ大きな問題に発展することなく、安定した社会を築くことができます。
 しかし、一方でイノベーションは生まれにくいです。イノベーションがなければ、大きな生産性が生まれず、国際競争力は低下して、リストラを行い、非正規雇用を増やして人件費を減らすしかありません。これはイノベーションで大きくなっている現代の外国企業とは真逆の構造です。

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●「同調圧力」と貧困問題

 筆者も実際にそうでしたが、日本の学校でも社会でも可能な限り周りに合わせよう合わせようという意識が強く働きます。小学校のときに一度遊びを断ったら二度と誘われませんでした。社会人で飲み会を断ったらどういうわけか「仕事のできないやつ」というレッテルを貼られたこともあります。周りの空気で異分子を排除する動きは創造性を減じますし、結果的に「余計なことはしない方がいい」という考えを醸成することになります。コロナ禍でも明確なルールが無い中でも「普通、マスクするでしょ」、「普通、外出しないでしょ」、「普通、お酒飲まないでしょ」という空気を理解して生活しないといけません。これは本当に息苦しいです。そして新しいことに挑戦する気持ちを大きく損なわせます。
 先にも少し触れましたが、空気で押し込む社会では新しい発想やイノベーションが非常に生まれにくいです。それが巡り巡って正規雇用の減少に繋がっています。そして元々社会的に苦しい立場にあった人たちはコロナ禍で一気に表出しました。現代社会では周りとの馴れ合いで継続する「現状維持」のビジネスは漸次的に衰退して、新しいアイデアがそれを大きく凌駕する時代です。日本が今後雇用を守っていくためには、新鮮な考えと新しい発想でビジネスを行っていかないといけないと思います。

●最後に

「貧困問題」と「雇用」はどうしても切っても切れないつながりがあります。その「雇用」を大きく脅かす遠因として日本の「同調圧力」があると感じて文書を記しました。誰でも出る杭になることは大変ですし、反感を買うとわかっていながら行動することには勇気がいります。しかし、その勇気が結果として日本の「貧困問題」解決の一助になるかもしれません。センズとして、そのような大きな一歩を全力で応援していきたいと思います。

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