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フェアトレードって何?

 5月はフェアトレード月間に指定されています。そのため、この機会にセンズとしてもフェアトレードについてご紹介したいと思います。近年「フェアトレード」という言葉が一人歩きしてしまい、その名前を聞いたことはあるものの、実際にどういう意味なのかを詳しく知らない方も多いと思います。SDGsが重要になる世の中で注目されているキーワードであるため詳しく見ていきたいと思います。

●フェアトレードって何?

 フェアトレード(Fair Trade)とは直訳すると「公正取引」となります。その訳の通り、生産者が人間らしくより良い暮らしが出来るよう、つくられたものを適正な価格で取引きする貿易取引です。
 どの企業もコスト競争力を高めるため原価低減に向けて取り組みます。この活動自体は適正は企業運営に欠かせない要素ではありますが、その過程で過剰な搾取や不平等取引があると大きな問題となります。そのため、フェアトレードという貿易取引では私たち消費者が日常生活で珈琲、チョコレート、バナナ等の商品を適正な価格で購入することで、生産者の生活を支え、それが結果的に貧困課題の解決策の一つになるとして注目されています。
 日本での認知度も徐々に上がってきていますが、欧州や北米では既に明確な基準と監査に基づく「国際フェアトレード認証ラベル製品」と認識されるまで普及しています。今後もフェアトレードに取り組む企業、団体、店舗は増えていくことが予想されています。

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国際フェアトレード認証ラベル

●なぜフェアトレードでは生産者の生活が守れるの?

 もし非常に低い価格で製品が購入される場合、生産者は安定した収入が得られず、生活レベルも上がらず、新たな技術習得の機会も得られない悪循環に陥ります。これが仮に適正な価格での取引が行われた場合、生産者の手元に残る金額が増え、更により良い製品を作る原動力となります。そして何よりも重要なのは生産者が仕事を辞めず継続して働くことが出来る環境が生まれるということです。16-18世紀頃、大西洋で奴隷貿易が行われ、西アフリカから連れてこられた人々が巨大なプランテーションで綿やサトウキビを生産していました。この労働形態は言わば強制労働ですが、脱走や栄養失調で非常に生産効率が悪かったことがわかっています。これは極端な例ではありますが、生産者に長く健康的な状態で生産活動に従事して頂くことで生産効率も上がり、更には長く働くことで技術向上にも繋がり、消費者である私たちも恩恵を受けられるのです。

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●フェアトレードは環境に良いの?

 現状、フェアトレードで扱っている商品にはバナナやカカオ等の発展途上国で採れる農産物が多くあります。農産物の生産効率を安く多く上げるためには農薬や化学薬品を必要以上に使用され、結果的に農地が薬なしでは生産できない枯れた土になってしまいます。これは明らかに地球環境にとってはマイナスでしかなく、自然破壊以外の何物でもないです。
 しかし、フェアトレードで適正な価格で製品を購入することにより、生産者はそのような化学薬品の乱用は必要なくなります。きちんとした収益が上がる状態であるため、地球に優しい条件で育てた農産物を購入者に届ける意識が育まれると考えます。

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●フェアトレード品はどこで買えるの?

 インターネット上で「フェアトレード」と検索すると様々なECサイトがヒットします。中にはフェアトレード品を誤った認識で販売している企業もあるため、きちんとその製品の背景(どこで生産され、どのような認証を得ているのか等)を把握した上で購入することが必要です。
 欧州や北米では一般の店舗でもフェアトレード品は陳列されていますが日本ではまだまだ目にする機会は少ないです。そのような中、大手スーパーのイオンが「フェアトレードを活用して、イオンの店舗をより多くの人が気軽に国際貢献に参加できる場にしてもらえませんか?」というたった一人の主婦の声からフェアトレード商品を扱うようになり、2021年現在ではフェアトレード商品を販売するリーディングカンパニーになっています。

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イオンで展開しているフェアトレード商品

●フェアトレードの問題点はないの?

 当然フェアトレードにも問題はあります。大きな課題として、市場価格に見合わない価格設定になってしまうことです。通常、私達が購入する製品は市場の力が働き、購入者が手に取り、販売側も利益が確保できる価格で変動します。実際にスーパーの野菜も天候不良であれば値段は自然と高くなりますが、豊作のときに敢えてある会社が値段を吊り上げても自分たちの売上が落ちるだけですよね。その原則に従うと、フェアトレード品は基本的に生産者の生活を守ることを第一に考えているため、どうしてもその分のコストが上乗せされてしまいます。そのため、市場の力に合わせて変動している他製品と比べるとどうしても価格メリットは少ないです。
 あとはフェアトレードという認証を得るために認証機関への追加コストが上乗せされていたり、フェアトレードと謳いながらも実は間違って不当に高く販売していたりと様々な課題はあります。

●フェアトレード品は値段が高いのになぜ選ばれるの?

 消費者が製品を選ぶ基準は人それぞれです。単純に「値段が安い」という理由や「ブランドだから」等、一概には言えません。その中で、あまり流通していない、値段も高い傾向にあるフェアトレード品を敢えて選んで購入する人は、それが地球にとって優しいとわかり、そこに敢えて投資したいと考えるからだと思います。消費活動は応援したい企業、団体、生産者への投資と同じです。エシカル*に考えて何を買うのかはその人の倫理観によります。もし少しでも持続可能な将来を望むのであれば値段にとらわれずフェアトレード品に手を伸ばして頂きたいです。
*エシカルについては「エシカル消費って何?」を参照ください。

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●最後に

エシカル消費って何?」という記事でラナプラザ崩落事故について記載しましたように、発展途上国では劣悪な環境で低賃金で働く人が大勢います。そして社会構造上、それを助長する形になっていることは否めない事実です。しかし、今後より良い世界を目指していくためにも、生産者がずっと過酷な状況に置かれることは正しい姿ではないと思います。
 先進国に生まれた私たちが地球にとって、人類にとって、社会にとって何が大切なのかを考えて、それを作った人のことを思い描きながら消費活動を行うことが現在求められているのだと考えます。フェアトレード品を敢えて購入してみて、世界の平和に少し貢献出来たと思える体験はとても大切なことだと思います。是非ともインターネットで店頭で自分にあったフェアトレード品を選んでみて下さい!

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