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今だから考えたい「甲子園」のあり方、の話

おはようございます。せんとです。

今日は、夏の高校野球のことについて思うところがあったのでそのお話について書きたいと思います。(記事:4~5分程度)

夏の全国高校野球甲子園大会の中止が決まり各都道府県が色々な大体試合や、高校3年生を対象にした引退試合などを提案しています。地方自治体の関係者や監督/コーチが、変則的な情勢の中、何とかして夏の大会を形にしようと動いているのには頭が下がります。(Ex. 三重県は県内での代替試合を決定したようです)

僕も小学校の学童野球から捕手一筋で20年、野球に関わり続けています。

高校球児だった頃を思い出し、もしも夏の大会がなくなったら…と考えると本当に悲しい気持ちになります。僕の場合は、大学入学の際も野球部のセレクションを受けたので、夏の大会や甲子園での成績は、高校野球の集大成としてだけではなく、大学/プロへの進路選択にも関わる高校生活で一番大きなイベントでした。

今、「甲子園」を考え直したほうがいいと思う

今回のコロナウイルスの蔓延にともなう各自治体独自の「夏の大会」の開催は、甲子園を見直すための大きな第一歩だと思います。甲子園自体を否定したいわけではありません。ただ、高校生が夏の炎天下のもとで必死に頑張るストーリーという、誰かの苦境を切りとりエンターテイメントとして扱うことには多少なりとも、今考えれば違和感があります。

高校スポーツの中では、最も晴れやかな舞台ともいえる「甲子園」ですが、ご存知のように様々な負の側面があるとも言われています。特に炎天下の中で決勝まで行けば、地方大会含め10~13試合を3週間という短いスケジュールの中でこなしていくのは、アスリートの体へは大きな負担がかかります。

新潟県などの高野連では、投手の球数制限などを導入して、投手や選手を守ることを全面的に押し出していますが、このような動きはまだまだ限定的です。高校野球を通じて、怪我をしてしまったり、野球が出来なくなった、そんな選手も沢山野球人生の中で見てきました。

コロナウイルスは「甲子園」を見直すための大きな、第一歩に

各地方都市が様々な会場や場所で試合を行うことで、色々な意見/フィードバックが生まれると思います。都道府県によっては、夏ではなく秋の時期に開催するというような対応にもなると思います。

「9月に開催すると、暑さが和らいで選手の負担が少なかったよ」

そんなフィードバックがあるなら、通常の甲子園も季節をずらして検討することも可能なのではないでしょうか?

実はあまり知られていませんが、甲子園に行くには本当に沢山のお金がかかります。兵庫県のチームと北海道では、それは大きな差になることは容易に想像がつくかと思います。地方の高校だと1試合1200万円というような計算もあります。

地方から甲子園に行くことに対しての費用的な格差や、地域差によるディスアドバンテージなどは実はあまり見えていませんが、大きな問題だったります。

そんな中、今回のコロナの影響を受け、地域によっては、近県で集まり「地域No.1」を決めるような形式にすることを検討している自治体もあります。

「ベスト8までは各地域で選考して、本決勝の7試合だけを甲子園で行う」

やってみたらそんなアイデアも、あながち絵空事ではなく、現実的な提案になってくるのかもしれません。もちろん、全国のチームとの対戦ができない、など調整するべきポイントはあるかもしれませんが。

他にも、トーナメント制ではなく2チーム出場可能なリーグ戦の形式にしてみることで、

「チームを超えた繋がりが生まれてこれからも繋がる関係ができたよ」
「補欠メンバーも夏の試合を満喫して、笑顔で夏を終えられたよ」

なんていう、今までの一発勝負、1高校1チーム制度では得られなかったプラスの側面が生まれてくるのかもしれません。

「アスリート・フューチャー・ファースト」を野球にも

「Athlete Future First(アスリート・フューチャー・ファースト)」という言葉はファンシング日本協会会長の太田さんが仰っている言葉です。

私はアスリートの未来を第一に考えたい
フェンシングを通して人間的に成長した選手たちが
引退後もさらなる活躍をしてくれることが、競技団体にとっての成功だ

(太田さんのインタビューより)

これからのスポーツは「アスリート・ファースト」だけではなく、彼らの未来に対しても責任を果たす「アスリート・フューチャー・ファースト」に変わっていくべきだと思います。

以前のように、体育会出身だから、ある程度企業でも使い物になる、というような古典的な考えが通じる時代ではありません。その時代に合わせたスキルや能力をスポーツを通じて獲得できる、そんな環境を整備して行かなければいけません。余談ですが、フェンシング協会では、日本代表への英語スキルの獲得を代表選考の基準の一つとして採用し、海外でのプレーヤ、引退後、様々な国でコーチ職につけるようなサポートをしています。

「甲子園はもっと高校生の未来のためにできることがある」

コロナの影響で甲子園がなくなってしまったことは本当に悲しいことだと思いますし、なかなか受け入れられない高校球児も多いと思います。

「インターハイがなくなったんだ、「甲子園」だけが特別ではないんだよ」
という意見もあります。しかし、「甲子園」がどれだけ特別だったのか、
分かるのは、汗水垂らして目指していた本人たちだけだと思います。

ただ、そんな思いが強い場所だからこそ、本当に「甲子園」を目指すことで、全ての高校球児の将来が明るくなるような場所であって欲しいと思います。

アメリカで感じた「アスリート・フューチャー・ファースト」

自分自身、アメリカのNCAAに所属しているワシントン州立大学でスポーツチームのマネージャーを務めた経験があります(2014年~2015年の1年)。

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米国代表のショートストップとして活躍する選手もいれば
Microsoftのマネージャーや高校教員まで幅広いキャリアに就く友人達
(せんと|前から3列目の左上)

NCAAでは、高校生のリクルートから試合の出場、スポンサーシップ、練習と勉強の時間まで厳しい規定があります。

ある一定の成績をパスしていないと試合に出場できないような規定や、奨学金から外れてしまうような仕組みになっており、学生は効率的に練習し、その空いた時間を勉強に当てています。

成績が優秀な生徒などは、それによって表彰されたり様々な名誉を受け取ることができたりします。それは就職活動にもとても評価されアスリートであることがその後の社会でも活かされる仕組みになっています。

チャンピオンを目指すプロセスが
将来の自分の人生やキャリアにもプラスになる

甲子園とは、夏の予選をするだけではない、そんな未来志向の場所であって欲しいと思いました。

1試合 ...だけ?...負けて終わりではない、終わり方を

あと、これはすごく個人的なことですが、負けて終わるのって、嫌じゃないですか?なんか、結果的にですが、負けるために練習をするような気がしていて。3年間の積み重ね的なものがたった2時間程度のたった試合1試合で終わってしまうなんて、呆気なすぎる気がします。

敗者復活制にせよ、リーグ戦にせよ、色々なやり方があるのではないのかと思います。

私の高校では、甲子園が始まる前の時期に高校3年生に向けた「引退試合」があり、そこで笑顔で高校野球を終えるというものでした。(残念ながら僕は大学の野球部のセレクションのために出場できませんでしたが...)。

コロナがなくなる?でも、来年、同じ形でできるのかな?

コロナウイルスは、再度この冬に感染が拡大し、春の甲子園が中止になってしまう、なんてことも十分に起こり得ると思います。

これだけ世界が新しい行動様式に移り変わっている中で、甲子園だけが変わらない様式で開催されるというのには、無理があるのではないでしょうか?

継続的に甲子園を続けていくのであれば、時代に見合ったような変化をしていく必要があると思います。感染対策などはもちろんですが、根本的な大会運営の仕組みや形式を変更するというのも、今だからこそ勇気を持ってできることだと思います。

...

ということで、「今だから考えたい、これからの甲子園の形」、というお話でした。

みなさん、熱い思いを持って高校野球を観戦したりしていると思うので、ぜひ、多様な意見や感想、思いを聞きたいな、と思います。

甲子園が高校球児のために素敵な場所であり続けることを祈って。


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