Garden of Remembrance

この作品は良いぞ

 きみの色の監督でもある山田尚子女史が監督・脚本をつとめたショートフィルム。
 台詞は一切ありません。

 解釈は人それぞれあると思いますけど、私は日常を大切にする山田さんらしい作品だなと解釈しました。

 毎日変わらない日々を送り続ける『きみ』。最初はただのモーニングルーティンを見せられているのかな?と思いきや、ところどころで情報が足されていく。

 そして徐々に部屋は片付いていき、ひとりの新しい生活がはじまっていく。

 だけど、捨てたつもりで押し込んでいった押入れの中に、実は自分の大切なものが詰まっていた。

空のビール缶・ウィスキーグラスが床に置かれ、部屋の端には画材やエレキギターが並ぶ、少し散らかった「きみ」の部屋。携帯のアラームが鳴って、ぼんやりと起き上がり「きみ」1人の朝が始まる。「ぼく」が好きだったアネモネの花、それは「ぼく」との思い出を繋ぐ大切な花。ある日部屋のクローゼットを開けると「ぼく」との思い出が「きみ」を包み込んでいき・・・これは「きみ」と「ぼく」、そして「おさななじみ」との”さよなら”を描く物語──。

動画説明文より

 一人称「ぼく」は終盤まで出てこない。

 私は1回目にこの作品を観たとき、「きみ」と「ぼく」が復縁をしたハッピーエンドだと思っていた。

いや、多分違う

 これは決別譚ですよね。大切な思い出に昇華できたからこそ、

♪今なら言えるよ『大好き』『さよなら』

 なんでしょうね・・・せつないなあ。だけど「きみ」は次への道を進んでゆき、住んでいた住処を引き払って、新たなパートナーと出かけていくシーンがラストに映り込みます。

 そのパートナーの顔が出てこないので、私は当初「ぼく」だと思ったんですよね。

「おさななじみ」は?

 うーん、「おさななじみ」に関しては解釈が色々考えられそうですよね。「ぼく」の好きなアネモネの花を花屋さんで購入して飾っているところを見るに、「ぼく」と現在進行系で関係性がありそう?

 「きみ」と違って感情が全然読み取れない「おさななじみ」は、人によって解釈がわかれそうですね。

 個人的には「ぼく」の現在のパートナーなんじゃないかなと思います。

フローレンスに似てるね

 この作品何か既視感があるなと思ったら、このゲームに似ていますよね。

 フローレンスも凄く良い作品ですよ。是非プレイなさってみてください。ゲーム機がない方は、実況プレイ動画などもオススメします。


 人によって解釈や切り取り方が変わりそうな作品を作る天才だな。山田さんは。

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