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尼僧の懺悔

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女は灰になっても女。 女であることは業なのか。 これは堕落なのか自我を取り戻す旅なのか。
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2018年9月の記事一覧

尼僧の懺悔7

転落のスタートは体が壊れはじめたことだった。 長引く咳と胃の不調で内科を受診したところ、…

尼僧の懺悔8

いつからだろうか、寺の太い梁を見ると首を吊りたくなった。 逆流症食道炎になって以降、瑣末…

尼僧の懺悔9

終わりの日は突然にやってくる。 それは実に些細なことが始まりだけれど、ずっと抱えていた小…

尼僧の懺悔10

実家に戻った私は、とにかく眠った。 この先どうなるのか、という不安が時々心を掠めるのだが…

尼僧の懺悔11

久々に自坊に戻っても、私はあいかわらず病人のままであった。 セクハラ加害者である兄弟子も…

尼僧の懺悔12

師匠と数回の話し合いを経て、一か月ほど後に私は再び実家へと返されることになった。 尼僧を…

尼僧の懺悔13

実家に再び戻った私は、絶望感とともに同じような生活を送っていた。 仕事もなく、社会の歯車から外れている人間は、責任も危機感もなく焦燥感だけが募る。 実家は自営業で、PCで文書入力の作業などを頼まれた時は、渋々ながらそれを手伝っていた。 年下の彼とは、細々とメールのやり取りを続けていて、時々電話などをしながら、それはそれなりに遠距離恋愛を続けていた。 たとえ無職でニートで毎日が失意のどん底でも、誰かに愛されているということは絶大な精神的支柱であった。 実家に帰って一年が過ぎ

尼僧の懺悔14

彼との別れも唐突だった。 遠距離の彼からある日電話が来て、見合いの話が来たから別れてくれ…

尼僧の懺悔15 最終章

かくして私は、尼僧を、酷く、いい加減にやめた。 大人としてこんな無責任な終わり方はどうな…