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④あ、死ぬ。



浣腸と毛の処理も終わり、
手術着に着替え、点滴をつけた。
これもまた人生初だった。

手術までの時間を雑誌読んだりして潰す。
テレビも見れるし個室でよかったなと思う。
そして13:30前。
看護師さんが迎えに来た。
「行きましょうか」
手術室が上がる階へ上がる。緊張が高まる。
看護師さんと世間話はしたがあまり覚えていない。可愛いなーと思っていたのは覚えている。え。

手術室の前には複数の看護師さんがいて
その1人に「では名前をお願いします」と言われ名前を言う。頭に水色の帽子を被る。
歩いて手術室へ入る。
そこは医療ドラマで見たことのある世界が広がっていた。
真ん中にある手術台へ座る。
まずは麻酔だ。
腰椎麻酔。下半身を麻痺させて手術する。
下半身だけ感覚なくなって、
上半身は動かせて意識はある状態で手術を受けるのだ。

腰椎麻酔をダイレクトで打つと痛いから、
まずはそれをするための局所麻酔。
これが1番痛かったかもしれない。
そして腰椎麻酔。
背中の真ん中のちょっと下から。
自分の前には看護師さんが2人いて、
動かないように肩を押さえている。
先生が麻酔を入れる。
「身体大きいから少し増やそうか」
的なことが聞こえた。そう、巨人なんです。
その15秒後くらい。急にぼーっとする。
そして一気に気持ち悪く、
前がぼやける、体が支えられなくなる。
あ、死ぬ そう思った。

看護師さんがすぐに気がつく。
「気持ち悪い?」
「かなり…」
と言ったら先生か看護師さんが何かを支持して
点滴に何かを入れるのがうっすら見えた。
そしたらすぐに気持ち悪さは無くなり、
意識もはっきりと。
生き返る、と言ってもいいあの感覚は
恐怖でもあった。
すぐに殺せるし、簡単に治せるのか…と。

「ちょっと麻酔が効きすぎたみたいだけどもう大丈夫だからね、また気持ち悪くなったらすぐに言ってね」
そう言われたときには気がついたら下半身の感覚は無くなっていた。全く動かない。
そして自分で上半身は倒し、
看護師さんや先生に下半身を任せ
手術台にうつ伏せになる。
その手術台が三角になっていく。
干されてる布団のイメージ。
その緩やかな三角バージョン。
手術台が動き、足が広げられるのが分かる。
すげえ恥ずかしい格好。
いつ手術が始まったのかも、
何がどうされているのかも分からなかったけど、恥ずかしい格好をしていることだけは分かった。

意識はあるから手術中YouTubeで
好きな音楽かけときますよ、と言われていて「そんなこともできるのか」と感動しお願いしたのは大好きなBackstreet Boys。
手術室に入ったときから4曲くらいは間違いなく彼らの曲が流れて、途中から誰かがカバーしたやつになってたけど。


手術時間30分。
BSBのおかげか、少し寝ていたのかあっという間に終わった。
そこからはこれまたドラマで見る
「1,2,3」でベッドに移された。
当然だが個室のベッドは移動式だったらしい。
そのベッドに乗る過程で間違いなく一瞬仰向けでスッポンポンになったけれど、
その時にはもう見られることに何も感じなくなっていた。笑

ベッドのまま運ばれていく。
廊下の天井を見つめる。
担当の看護師さんが途中で合流する。
なんだか少し泣きそうになった。
「お疲れ様でした」
「腰椎麻酔やばかったっす。死ぬかと思った」
「脈下がったみたいですね」
「意識無くなりそうでしたまじで笑」
「良かった戻ってきて」
好きになっちゃうじゃん。え?

14時過ぎ。
部屋に戻る。当然下半身は動かない。
3〜4時間かかるらしい。
16時以降しか水は飲んじゃダメ。
18時のご飯は流動食。
そして

「21時までに尿出ないと管通すことになるので…頑張ってください笑」

え。

続く


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