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小澤メモ|SENTIMENTAL JOURNEYMAN|おっさんの旅。

21 おっさんの旅  WEIRD編 バーンサイド。

北米のまた北。ノーカルプライド。
ポートランドには大きなターミナル・ステーションがある。それに乗ればシアトルやシカゴ、サンフランシスコやニューヨークにだって行ける。ちょうどマリナーズのTシャツに手書きでイチローの背番号エリア51を入れたおばさんが、ホームに向かっていった。シアトルに行くのか、帰るのかな。日本から直行便が往復しているPDX(国際空港)もあって、どこへだって行ける。NBAの人気プロチームのトレイル・ブレーザーズのアリーナがあって、ナイキやアディダスの本社があるのもここだし、そのおかげか消費税免除だから、アメリカの他の地域よりもお買い得な町だ。日本ではお縄にかかってしまうジョイント関係も合法で、そして、ここにはなんといっても世界中のスケーターが知っている、ポートランダーお手製のスケートパーク、バーンサイドがある。

パラノイドパーク、バーンサイド。
雨がよく降るこの町で、いつでもスケートができるようにと高架下にイリーガルで造られたコンクリートのスケートパーク。改良に改良を重ね、世界中から人が集まるようになって、いつしか市が認める名所的リーガルな存在に。そこまでプッシュしたブレント・アチリーらローカル・ヒーローたちもさることながら、それを許容する当局がまたイケている。さすが、世界で唯一といっていい、自転車専用レーンならぬスケートボード専用レーンがある町だ。(スケートやってください)と言わんばかりの美味しい景観を造りながら、どこもかしこも“スケートボード禁止、ローラースケート禁止”の看板を掲げまくって、逆にそれが景観を損ねているんじゃないかっていう日本の●●とはワケが違う。このバーンサイドでは、いろいろな都市伝説があって、うっかりマナー違反しちゃうと、とんでもないことが待っているとかいないとか。そんな噂も当初はあった。それは、ガス・ヴァン・サント監督の映画『パラノイドパーク』を見ても、なんとなく伝わってくる。

リーガルなスケートパークとして。
しかし、世界中のパークと同じで、スキルやコミュニティによって滑る時間帯などの棲み分けがちゃんとできている。だいたい午前の早い時間は、マエストロやダースベーダーはいないもの。それはロサンゼルスのヴェニスビーチとかでも同じ。だから、ビギナーには午前中がオススメ。といっても、あまりにもアーリー・モーニングだと、夜通しでゴリゴリいったダースベーダーがいたりするかもしれないが……。とにかく、朝のバーンサイドには、我が子にコンクリートの醍醐味を味合わせたいサンデー・パパや、スケート的観光客がちらほらいる程度。まあ、そんな優しいサンデーパパの拳にはぎょっとするような墨が入っていたりするのだけれど。そして、ここの場合は、ジャスト・スケートボードで、土産屋や露店などは一切ないのだけれど、それがまたいい。とにかく、バーンサイドの佇まいは、まさにこの町を象徴していた。自由とマナー。ストリートでサバイブしていくための矜持を皮膚感覚で覚えるのに、もってこいの場所だ。そして、この町が、ストリートとアールのどちらもうまいプロスケーターをたくさん輩出しているのがよくわかる。21
(写真は世界に名を馳せるD.I.Y.コンクリートパーク、バーンサイド/2018年)

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