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小澤メモ|SENTIMENTAL JOURNEYMAN|おっさんの旅。

23 おっさんの旅 WEIRD編 ローカルズ・オンリー。

雨がよく降る街のスケートオアシス。
おらが町のスケートヒーロー、サイラス・バクスター・ニール。彼は、ポートランドから世界へ飛び出し、その後プロスケーターとして名を馳せ、再びこの町で家族と暮らしている。一時は、日本で活動していたこともあり、奥様もそのときに出会った素敵な方だ。彼は、雨の多いポートランドで、常にスケートできるようにストリートセッティングのパークを仲間たちとつくった。みんなで出資して、スポンサー集めなどをしたので、メンテナンスや事故などの責任問題を考慮して、一般開放はしていない。このローカルズ・オンリーのパークは、グロトと呼ばれている。しかし、知り合いの紹介などで、そのドアは笑顔とともに開かれているというのも補足しておきたい。ちなみにサイラスは、町のストリートスポットをクリエイティブに魅せる、いわばストリートスケーター。そんな彼に、「このパークだったらどこがお気に入りのセクションか?」ってわざと聞いたら、「全部だよ」って笑った。

D.I.Yインドア・スケートパーク。
バーンサイドがD.I.Y.のコンクリート・スケートパークの元祖なら、グロトと呼ばれる、このプライベートパークは、ストリートセッティングのD.I.Y.インドア・スケートパーク。雨の日が多いポートランドにおいて、ここにくればいつだってご機嫌でスケートできるってわけだ。看板の代わりに、タギングだらけの古びたドアを開ける。出迎えてくれるのはスマイリーなサイラス・ファミリー。14歳になる愛犬Kipがまたすこぶるかわいい。なんていうか、犬がこちらに見せる態度というのは、その飼い主(家族)の心情をよく代弁していると思う。だから、Kipの歓迎ぶりを見て、彼らがオッサンの旅人たちをウェルカムしてくれているのがわかって、嬉しかった。

ポートランド、スケート・ストーリー。
ちなみに、サイラスがまだマチュアだった頃に、スケートマガジンSbに当時のことを寄稿してもらったことがあった。とびっきりのやる気に溢れたストリートスケートのグラビアとともに。そんな縁もあって、今度は旅人となったオッサンたちを出迎えてくれたというわけだ。今では、アディダスからシグネーチャーシューズ、ハビタットからはシグネーチャーデッキをリリースしている押しも押されぬプロスケーター。しかもポートランド出身のレペゼンスター。そんな彼がスケートパークをつくって、日々活動している。この還元というか、故郷へのフィードバックが、また新しいスケートの芽を育んでいるのだと思った。サイラスが滑って、それをジョーが撮る。そのグラビアがアディダスの広告になったり、ショップのディスプレイになる。そこにあるのは、彼のシグネーチャーモデル。手に取ったキッズが、偶然にパークやストリートで彼とセッションすることになる。そのすべてがこの町で起こるスケート・ストーリーであり、ポートランドのスケート事情。23
(写真は、グロトでのサイラスと愛犬Kip、14歳。Kipはサイラスのあとを追うようにパークを走る。そしてサイラスが好むライン取りやコースを知っていた/2018年)

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