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小澤メモ|SENTIMENTAL JOURNEYMAN|おっさんの旅。

22 おっさんの旅  WEIRD編 PDXスケートエトセトラ。

10年ぶりの再会。
ポートランドのバイクとスケートボードと酒をこよなく愛する人々が集ってくるバー。それがキャット・ポー・サロン。オーナーは、スケートのメッカ、サンフランシスコ発の老舗スケート・ディストリビューションの幹部、ミッキー・レイズ。ノーカルのスケーターで知らない者はいない、泣く子も黙るといわれる武勇伝を数多くもっているスケーターだ。そのバーで待ち合わせたのは、フォトグラファーのジョー・ブルック。彼がスケート・ツアーで来日したとき以来だから、実に10年ぶりの再会となった。彼は、スケートマガジンの最高峰『スラッシャーマガジン』のスタッフ・フォトグラファーとして活躍していて、90年代に初めて出会ったときは、兄弟誌『スラップマガジン』のフォトエディターをしていた。「センさーん」、「ジョーさん」と、相変わらずのふざけた掛け合いをしながらハグして、(2人ともアルコールは控えているので)コーラで乾杯したのだった。

ポケモン・ゴー??
ジョー・ブルックとは、こちらが持参したスケボーマガジンSbを見ながら、撮影の思い出話などで盛り上がった。なぜなら、そのスケボーマガジンSbで、彼がヘッドライナーを務めた特集があったから。こういうときに痛感する。(写真はすばらしい)と。こちらの拙い英語なんかどうでもよくなるほど、写真は多くを語ってくれるし、翻訳コンニャクなみのツールになってくれるし、なによりもその人物の好みや感性をごまかすことなく浮き彫りにしてくれる。そんなジョーには、彼の地元であるポートランドのおすすめをリコメンドしてもらった。まずは翌日のランチ。おすすめされたのは、POKE MONなる店。あえて、何屋なのか調べずに行ってみた。ポケモン系か? 行って納得、それはハワイ名物のポキ丼の店だった。2018年当時、ポートランドでは空前の麺と丼のブーム。加えて、アメリカ人はごま油が大好きだそうで、それが効いたポキ丼は大人気。ちなみに、食堂オリジナルのスケートデッキも作っている。それは、もれなくオーナーがスケーターだったりするからだ。

ポケモンの次はジャイアントロボ。
ポートランドでのランチで、オススメがもう1つ。それがロボタコというタコス屋。こちらもスケーターが経営していて、ソフトタコスがオススメ。ブリトーは、日本のアニメのジャイアント・ロボットを敬愛するオーナーだけに、ジャイアント・サイズ、とんでもない。ひとりでは食べきれない。食いしん坊万歳で、タコスもブリトーもオーダーしてしまい悪戦苦闘していたら、昨日行ったスケボーショップ・シュランケンヘッドのスタッフがレジに並びながら笑っていた。こちらもポーズをつくると、ポケットからショップのステッカーをがっつりと出して、プレゼントしてくれた。昔からアメリカのスケートショップやカンパニーに行くと感じていたけれど、オリジナルのステッカーはがんがんにくれる。なので、こちらも負けじとマガジンのステッカーなんかをがんがんにバラまくようになった。他ブランドのステッカーは売り物でも、オリジナルはひたすらキッズや出会ったやつ(気に入らないやつだけスルー)にまく、これが基本。ステッカーすら高く売りつけてたら面白くない。それはスケートの世界共通な気がする。

ガーリー・スケーターもクリエイティブ。
スケーターのリンジーが主宰するジュエリーブランド、Maple XOがある工房ミルショップ。ここもジョーがオススメしてくれた。ミルショップは、リンジーたち以外に、ネオン管アーティストやペインターなど7つの製作者がシェアしている。ポートランド全般にいえることだけれど、もちろんここでもゴミを出す発想がなかった。ゴミを捨てるにもお金がかかるのは当たり前。だから、リンジーたちのクリエイティブと手によって、スケート廃材から息を吹き返したアクセサリーには説得力があった。そういうストーリーを含めて、ステディへのお土産にするのもいい。べらぼうに高い、誰もが知ってるハリー・ウィンストンのジュエリーはさておき、既視感あるアイテムをブランド名だけで買うくらいなら、こういったスケーターのクリエイティブに一票を入れたい。リンジーは言う。「高校生からスケートしてるから、自分にとってはスケートからつくるジュエリーに意味がある。ただの木じゃなくてね。私にとって大切なものは、スケートボードと、スケートのマイ・アイドルのジョン・カーディエル。そして、ドリルプレス1951デルタが最高に大事なマシーンよ」。
年季の入ったドリルマシーンによって、ジュエリーが形作られていく。よく見ると、彼女の腕には1951デルタの刺青が。キテレツ。22
(写真はドリルプレス1951デルタとリンジー(左)/2018年)

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