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「CANSLIM」は成長株発掘法の著者、ウィリアム・オニール氏の成長株の見極めに用いられる判断指標です。

オニール氏の理念は以下です。

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・CANSLIMを満たすかどうかで真の成長株かどうかを見極める。
・株価チャートで売買のタイミングを測り大きな利益の獲得を狙う。

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CANSLIMとは以下の頭文字です。これら全てを満たすと「大化け株」となります。(満たしていなくても有望銘柄として売買はOK、投資家の技量が試される)


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C(=Current Quarterly Earnings=当四半期のEPSと売上)

A(=Annual Earnings Increase=年間EPSの増加、高いROE水準)

N(=New Products, New Management, New Highs=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値)

S(=Supply and Demand=株式の需要と供給)

L(=Leader or Laggard=主導銘柄か、停滞銘柄か)

I(=Institutional Sponsorship=機関投資家による保有)

M(=Marker Direction=株式市場の方向)

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今回は「L」(=Leader or Laggard=主導銘柄か、停滞銘柄か)について詳しく取り上げます!

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CANSLIMの「L」とは?

主導銘柄」を捉えよ。というメッセージが込められているのが「L」です。

例えばコンピューター関連の株を買う場合、「業界内で」最高の業績を記録している銘柄を正しいタイミングで買えば、大きな株価の上昇が期待できるとしています。

活力に満ちた銘柄を探せということです。その方法は以下です。


業界内で上位2-3銘柄を狙う


業界上位1-3銘柄は、残りの企業が全く株価が振るわなくとも、信じられない成長を見せることがあるとのこと。

業界全体を牽引する、その専門分野でトップを走る銘柄を我々投資家は購入しなければなりません。


上位企業とは?


業界内で以下のような銘柄を指します。


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・最高の四半期EPS増加率
・年間EPSの増加
・最大のROE
・利益率や売上増加率もずば抜けている
・株価の動きも活発
・独創性のある優れた商品やサービスを生み出す
・革新的になりきれない企業のマーケットシェアを奪っている

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買ってはいけない株式銘柄 「共振株(=おこぼれ企業)」


先導株として上昇している銘柄と同じようなビジネスモデル、製品を提供している企業(共振株)がまだ割安で放置されていても、オニールはその株は買ってはいけないとしています。


過去に経口避妊薬の開発企業、シンテックスの株価は大きく上昇し、ほとんどの投資家が手を出しにくい状況でした。

この銘柄の代わりに、共振株として、G.D・サールをウォール街の投資会社数社は推奨しました。G.D・サール株はまだ上昇しておらず、シンテックスに比べると割安でした。

しかし、この株は上昇せず。


他にも1970年代の卸売事業主導銘柄のレビ・ファニチャーは900%上昇しましたが、同じような事業を展開するウィックスコーポレーションは停滞するなど。

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カーネギー兄貴の「先頭を行く者がカキの実を手に入れ、二番手はカキの殻を手にする」ですな♫

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直近の2020年〜で考えると、テスラ (TSLA)は完全なる先導株でした。共振株といえば、NIOでした。

テスラが大きく上昇する横で、NIOはまだまだ割安だった時期がありましたが、その後に暴騰しました。

本来であれば共振株であるNIOを買うのはオニールのセオリーには反します。しかし、2020年の相場はロビンフッダーの集中買いなどが相次ぎ、NIOにも大きく資金が入りました(実際にNIOは60ドル台から半値の30ドル台まで調整局面で一気に下落しました)。



先導銘柄と停滞銘柄を見分ける方法


上記で述べた↓は個人で整理するには非常に大変です。


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・最高の四半期EPS増加率
・年間EPSの増加
・最大のROE
・利益率や売上増加率もずば抜けている
・株価の動きも活発
・独創性のある優れた商品やサービスを生み出す
・革新的になりきれない企業のマーケットシェアを奪っている

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そこで「レラティブストレングス指数」を使います。

レラティブストレングス指数とは、オニール氏が運営する「Investors Business Daily」が独自に開発した評価法です。


ある特定の銘柄の値動きを市場の残りの銘柄の値動きと、過去52週間にわたり比較するものです。

そしてその評価として各銘柄に1-99の数値が割り当てられます。


レラティブストレングス指数が99の場合は、その銘柄の値動きは市場全体の99%の企業を上回ったことを意味します。

大きく上昇する株のレラティブストレングス指数は平均で87。レラティブストレングス指数が40-60の銘柄はオニールは購入を禁止しています。


最も安全な先導株の投資法


結論から言うと、「レラティブストレングス指数が80-90台でベースを形成している銘柄を選ぶ」ことがオニール氏は最も安全であるとしています。


その他にも、まずはレラティブストレングス指数80以上の企業を買うのも一つの手。

レラティブストレングス指数が80を超えており、正しく形成されたベースをブレイクアウトした銘柄を買うことに注力すれば、大きな利益をもたらす銘柄に出会えるとしています。


この「正しく形成されたベースをブレイクアウトした銘柄」については「N(=New Products, New Management, New Highs=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値)」でも触れていました。


非常に重要な着目点であることがよくわかります。

大きな利益をもたらす銘柄は、1回目や2回目のベースから上にブレイクアウトする時にレラティブストレングス指数は90以上になっているとオニール氏は述べています。


ちなみにこのレラティブストレングス指数は、プログラミング言語「Python」などを活用し、データを取得すれば出せますが、その手間を考えると、少々高いですが、「Market Smith」に課金してしまうのが早いかもしれません。


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(Market Smith:TSLAのレラティブストレングス指数は90)


「先導株」を探すにはマーケットの調整局面がベストタイミング


通常相場でマーケットの調整が10-15%であれば、グロース株は15-25%下落します。

強気相場では、最も下落の少なかったグロース株が最高の選択に、最も下落が大きかった株が最悪の選択になります。


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(例えば、ZMは2020年は先導株だったが2021年3月の調整でハイパーグロース銘柄の中でも下落幅が極めて大きかった。市場全体が回復しても株価は他に比べ出遅れている)


調整から最も早く新高値をつけるまでに回復した銘柄が正真正銘の先導株です。調整後のグロース株の値動きは真剣に見る必要があるのです。

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調整後こそ好機があるのじゃ。その他、マーケットが弱い日に、異常な強さ(出来高を伴い大きく上昇)を発揮する銘柄も弱気相場の中でも強い上昇を見せる可能性が高いとしています。

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-完-








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