(米国株式市場5月24日〜28日)今週の合戦の振り返り!ダウ、S&P500、ナスダック、ラッセルそれぞれ上昇。FRBのテーパリング関連発言目立つ。アクティブファンドの積極性はやや回復。来週はZOOM、CRWD、MDB、WORKが決算。
今週の合戦(米国株式市場)の振り返りをします。
先週の合戦については以下↓↓↓。
OKTA、NVDAの決算もありました。
それではいきましょう。
1. 今週の合戦の要約
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・株価4指数上昇。(通信サービス・公益事業セクターが市場を牽引)
・先週から引き続き、現在の米国株式相場ステータスは「Uptrend Under Pressure(上昇相場頭打ち)」。
・FRBのテーパリングに関する発言増加。8月26〜28日にジャクソンホール会合、対面形式(世界の中央銀行首脳らを集めて開催する経済シンポジウム)。テーパリング・利上げについて何か発信するかどうか注目
・ブレークイーブンインフレ率は下落基調、長期金利は1.5%台に下がり、ボラティリティ縮小、落ち着きを取り戻している。
・先週のアクティブファンドの積極性は2020年3月コロナショック以降、最も低い水準に。今週はリスクテイクする動き多少見られる。
・来週はZOOM、CRWD、MDB、WORKの決算。WFH銘柄はガイダンスに注目。
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2. 代表指数動向(&強気相場 or 弱気相場判定)
今週は各指数が上昇しました。ナスダック、ラッセル2000が50日移動平均線まで回復しました。
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・ピンク:NYダウ
・ブルー:S&P500
・グリーン:ナスダック
↓↓↓
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□ 現在は強気相場?弱気相場?
現在は「Uptrend Under Pressure(上昇相場頭打ち)」です。先々週より「Confirmed Uptrend(確固たる上昇相場)」は終了しています。
累積売り抜け日はS$P500が6、ナスダックは4。先週から一つずつ減少していますが、積極的にポジションを立てていく場面ではありません。緊張感を持って、本当に株価上昇が見込める銘柄を厳選して投資していきましょう。損切りは早めに。ナンピン買いはNG。
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(※売り抜け日カウント数とは?)
前日比で0.2%以上のマイナスを前日以上の出来高ともなって記録した日を「売り抜け日」とカウント。4-5週間で4-5日あれば天井から下落の可能性あり。「フォロースルー日」を迎えたらカウントはリセット。「フォロースルー日」は下落局面で前日比プラスで引けた日から4-7営業日後に出来高を伴って大幅に上昇した日のことを指す。
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3.セクター別(5/21 close to 5/28 close)
NVDA+8.36%, TSLA+7.63%, AMAT+7.36%, CRM+6.97%
(参照元:finviz)
□ セクターETF騰落率 Highlight(1week)
・(Leverage/Direxion Daily Semiconductor Bull 3X Shares)SOXL+13.59%
・(Leverage/ProShares Ultra Bloomberg Crude Oil ETF)UCO+8.23%
・(Leverage/Direxion Daily Small Cap Bull 3X ETF)TNA+7.64%
□ 業種別 Highlight(1week)
・Communication Services(通信サービス)+2.50%
・Industrials(公益事業)+2.46%
・Financials(金融)+1.93%
(参照元:Fidelity)
4. FRB動向
(FRBの金利動向に気をつける)
過去を振り返ると、FRBの金利が引き上げられたことがきっかけで弱気相場が始まり不景気に突入した歴史がある。
弱気相場が終わるのは金利が下げられた時が多い。最も簡単で役に立つ金融指標はFederal Fund(FF)レート(政策金利)。
コンピューターによる自動売買や様々なヘッジサービスによってリスクの高い弱気相場で発生する株価の下落から資金を守るために、ポートフォリオの大部分をヘッジするファンドが現れた。金利が急騰する場面は相場が下落しやすい仕組みになっています。
□ 今週のHighlight
5月27日:リバースレポ・ファシリティーの取引額が過去最高の4,850億ドルを記録(これまでの最高は2015年12月31日の4,746億ドル)。
5月26日:クオールズ副議長が量的緩和の縮小(テーパリング)に向けた議論を始める用意があると表明。
5月25日:サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁「われわれはテーパリング(量的緩和縮小)の議論について話し合っている」と述べた。
今後の予定:8月26〜28日にジャクソンホール会合、対面形式(世界の中央銀行首脳らを集めて開催する経済シンポジウム)。テーパリング・利上げについて何か発信するかどうか注目です。
参照元:米FRB特集
□ ドットチャートの動き
3月時点でのドットチャートは以下の通りです。現状は2021年での利上げは見込んでいません。次回は6月です。
□ 米雇用統計
米雇用統計については、コロナショック後一旦マイナスに沈む局面もありましたが、経済再開期待が高まり実際に雇用者数も再び増加を始めています。
但し、先週のレポートでも述べたように、FRBは5月の米雇用の伸びに対する予想を引き下げ始めました。企業の採用意欲は高いものの、就職が可能な、または就職する意思のある人が引き続き少ないことが要因となっています。ジレンマですね。
4月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+26万6000人(予想100万人)でした。失業給付上乗せ失効の9月まで、雇用統計は軟調かもしれません。次の雇用統計発表は6月4日です。
□ FRBのバランスシート(BS)拡大・縮小動向
FRBは金利を引き上げる前に、まずはバランスシート(BS)の縮小(テーパリング、資産買い入れプログラムの変更)を実行することを見込まれています。
BSが拡大するということは、市場に流通する資金が増大して、景気を加熱させることに繋がります。
(2002/12/18-2021/05/28)
(2020/01/01-2021/05/28)
現状はまだまだBSの拡大は継続しています。
※資産買い入れプログラムについて、現在では米国債を月800億ドル(約8兆4千億円)、住宅ローン担保証券(MBS)は同400億ドルのペースで買い入れています。こちらのペースを下げることを「テーパリング」といいます。
□ ブレイクイーブンインフレ率
ブレイクイーブンインフレ率とは、債券市場が期待するインフレ率を意味します。
この1年間「5年ブレークイーブンインフレ率」と「10年ブレークイーブンインフレ率」は上昇基調で進んできましたが、5月に入り一服感を見せています。
(2020/01/01-2021/05/28)
(2021/05/21-2021/05/28)
先週に引き続き、市場が期待するインフレ率は下がってきています。経済回復のピークを織り込み切った段階といえるでしょう。FRBが「一時的に」インフレ率は高騰すると考えていた段階が過ぎようとしています。
□ 長期金利(5・10年債利回り)
長期金利の動向は株式市場関係者は非常に注意深く見ています。10年債利回りと株式のバリュエーションはシーソーゲームの関係にあるからです。金利が上がれば(債券が売られれば)株の評価は下がります(あえて、非常に簡易的に表現しています、評価が下がるのはそれだけではありません)。
(2021/01/01-2021/05/28)
2020年3月のコロナショック後から長期金利は低下し、2021年の3月以降、大きく利回りは上昇しました。直近は落ち着きを取り戻し、一時は1.7%台まで上昇した10年債利回りも、1.5%台まで下がってきています。ハイパーグロース株などへはポジティブな状況です。
5. プットコールレシオ
ここでは年初来からの比率(%)を観察します。直近の投資家心理を確認。
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・プット(Put)=投資家が株式相場下落を期待(%が高い時)
・コール(Call)=投資家が株式相場上昇を期待(%が低い時)
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・S&P500は0.74%(投資家は上昇を期待)
・NASDAQは0.43%(投資家は上昇を期待)
6. Volatility index(VIX指数/恐怖指数)
VIXとは市場で取引されている価格から逆算された「株式市場のボラティリティ」のことを指します。株価指数は上昇時は緩やかに上昇し、下落時は急落します。市場参加者が高いボラティリティを見込んでいるということは、市場に対して不安を抱いていると想像できます。
S&P500指数とNASDAQのVIX指数の推移は以下となります。
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・S&P500(ブルー、VIX)
・NASDAQ(レッド、VXN)
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S&P500&NASDAQ共に、2021年3月の下落相場からVIX指数は急落。
S&P500は20を下回る水準で推移しています。ナスダックは20を上回り、少し投資家心理は不安定です。両指数共に、5月13日前後のCPIサプライズ時の水準から落ち着きを取り戻しています。
VIX指数は株価の先行きにどれほどの振れ幅(ボラティリティー)を投資家が見込んでいるかを示す「株価変動率指数」のうち、米国株を対象にした指数。通常、株安が懸念される局面で上昇し、20を超えると不安心理が高まっていると解釈される。その場合、「株価が今後1年間に約7割の確率で上下20%の範囲で変動する」と投資家が予想していることを示す。 2008年の金融危機の際にVIX指数が80超に上昇して注目を集めた。18年2月と10月にもVIX指数の上昇をきっかけに米国株が下落する場面があった。VIX指数の上昇に連動して機械的な株売りを出す「リスク・パリティ」などと呼ばれるファンドが存在するからだ。(引用:日経新聞)
5年の推移↓↓
3ヶ月の推移↓↓
7. 空売り比率 (Short Volume)
空売り比率・ショートボリュームはNYSE(ニューヨーク証券取引所)で空売りされている株式の数をNYSEの総出来高との割合で示したものです。
この比率が高ければ投資家が市場をネガティブに見ていることが読み取れます。(「空売残」はShort Interestです。ここでは触れません)
特に暴落局面で注視するのが有効で弱気相場が底をつける時というのは空売りの急増を示す数値の上昇が通常二回か三回現れるとオニールは言及しています。
それではまずS&P500指数の空売り比率は以下となります。S&P500指数で最も取引Volumeが多いETFであるSPYで見ていきます。
特段、今週空売りが大きく出ていた兆候は見受けられません。
次にナスダックです。ナスダックはVolumeがあるNASDAQ100インデックスに連動するQQQの空売り比率です。SPY同様、特段大きな空売りは見受けられていません。
8. 機関投資家やアクティブファンドマネージャーの動向
センチメントインジケーターは、個人投資家、機関投資家、海外投資家の過去12か月の株式ポジションと比較したもの。スコアが1を超えていたら、ポジションが増大していることを示し、-1を下回るとポジションが縮小していることを示しています。
5月24日更新「0.2」(5月15日は「0.2」)。先週から変更変わらず、ポジションは特段大きくなっていません。但し、NYダウ、S&P500、NASDAQ、そしてラッセル2000。これらの代表指数に5月27日に大きな出来高が確認できました(各指数、特段大きな上昇はなく)。
次回更新でこの数字がどう動いてくるかは要チェックです。
Sentiment Indicator and Stock Positioning
次にNAAIM Numberです。NAAIM Numberはアクティブファンドの投資動向です。100を超えるということはアクティブファンドがレバレッジをかけていることを意味します。
1、2月はアクティブファンドの積極的な買いが入っていたことがわかります。3月は50%くらいまで引き下げ。4月は再び100を超えました。4月に比べ、5月は大きく下げています。
先週まで今のアクティブファンドの積極性の無さは2020年3月のコロナショック後以来、最も弱気な水準でしたが、今週は多少リスクテイクを開始したといったところでしょうか。
9. 注目経済指標の動向
次の雇用統計発表は6月4日です。
10. 米国企業決算スケジュール
来週注目決算はZM、CRWD、MDB、WORKあたりですね。
ズームビデオ、クラウドストライクについては事前レビューしておきましょう。
11.まとめ
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・株価4指数上昇。(通信サービス・公益事業セクターが市場を牽引)
・先週から引き続き、現在の米国株式相場ステータスは「Uptrend Under Pressure(上昇相場頭打ち)」。
・FRBのテーパリングに関する発言増加。8月26〜28日にジャクソンホール会合、対面形式(世界の中央銀行首脳らを集めて開催する経済シンポジウム)。テーパリング・利上げについて何か発信するかどうか注目
・ブレークイーブンインフレ率は下落基調、長期金利は1.5%台に下がり、ボラティリティ縮小、落ち着きを取り戻している。
・先週のアクティブファンドの積極性は2020年3月コロナショック以降、最も低い水準に。今週はリスクテイクする動き多少見られる。
・来週はZOOM、CRWD、MDB、WORKの決算。WFH銘柄はガイダンスに注目。
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