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【ZM/米国株銘柄分析】巣篭もり需要爆発で2020年に大相場をつけた進撃のハイパーグロース株「Zoom Video Communications(ズーム)」の概要, ビジネスモデル, 今後の株価見通し(将来性/成長性)を直近決算とオニール流CANSLIMの観点から考察。

このマガジンは取り上げた企業の投資を推奨する意図は全くないことを改めて確認いたします。企業の業績チェック、ビジネスモデル、新着ニュースをシンプルに定点観測する読み物です。

とうとう「Zoom Video Communications(ズーム・ビデオ・コミュニュケーションズ)」を取り上げる日が来てしまいました。

最新決算の詳細は以下目次記事に掲載しています↓↓


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どうも、「(元)ハイパーグロース秀次郎」です!2020年はZMで爆益、2021年はZMで爆損。Zoomネキに翻弄される日々ですじゃ。メンヘラすぎてもはや好き。ズーム姫大好き。結婚して。

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Zoom Video Communications」はクラウドコンピューティングを使用したWeb会議サービス「Zoom」を提供する企業です。筆者自身も仕事で活用していますので、ある意味愛着のある企業の一つです。最近の株価は冴えませんがね。


Zoom株といえば、2020年に大相場入りしました(2020年はハイパーグロース株は全て大相場なのですが...、$OKTAとかSQもそうですね)。

Zoom株は1年で株価は約+406%の上昇を見せました(株価:年初$66.630→年末$337.320)。2020年10月19日には$588.840まで上昇していたので、年初来+784%まで、一時的に記録。


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Covid-19による巣篭もり需要の大きな波に、最前線で乗っていった銘柄でしたが、ワクチン普及・経済再開期待の逆風で2021年5月19日時点で株価は$310.46となっています。

実に、2020年10月19日に記録した最高値$588.840から-47.3%となっています。


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このボラティリティはわらわよりメンヘラじゃな。幾千の男を振り回しすぎじゃ。

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絶世の美人女優 エリザベス・テイラーを彷彿とさせますな。(なんの話これ?)

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今回の記事では、「Zoom Video Communications(ZM)」の会社概要・ビジネスモデルと今後の「株価」の成長性を、決算結果(Q4-2020)とオニールの成長株発掘指標である「CANSLIM」の側面から掘り下げていきます。


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2021年6月1日にZMの決算発表が行われますので、そのレビューとして捉えていただければ幸甚じゃ。

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秀次郎(Twitterアカウント)が担当者として随時更新していく予定じゃ。フォローしておいてくだされ。

中身は目次から知りたいところだけジャンプして読むと良いぞよ。全部読むのは大変じゃし、まじで疲れる故に投資を検討した時に「そういえば」的に活用していただけると有難いぞよ。わし自身も活用しておる。

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会社概要


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
・企業名:Zoom Video Communications, Inc.($ZM、ズーム)
・本社:米国カリフォルニア州サンノゼ
・設立年月日:2011年4月
・IPO:2019年(NASDAQ)
・事業概要:クラウドベースのP2Pソフトウェアプラットフォームを通じて、ビデオテレフォニーとオンラインチャットサービスを提供(電話会議・在宅勤務・遠隔教育など)■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


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PayPalSquare、とTESLAと同様、またまたみんな大好きスタートアップの聖地・シリコンバレーの会社じゃ。

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会社の歴史

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■ 20011〜2019年(〜創業からIPOまで〜):

・2011年4月:エリック・ユアン氏がCiscoを退職し、複数のエンジニアを引き連れ「Saasbee, Inc.(後のZOOM)」を設立。
・2011年6月:WebExの創業者であるSubrah Iyar氏、元シスコSVP兼ゼネラルカウンセルのDan Scheinman氏、VCのMatt Ocko氏、TEEC Angel Fund(TSVC)、ベンチャーキャピタリストのBill Tai氏から300万ドルをシードで調達。
・2012年5月:Thacher Hurdの児童文学『Zoom City』に影響を受け、社名をZoomに変更。


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・2012年9月:最大15人のビデオ参加者による会議を開催できるベータ版発表。
・2012年11月:Stanford Universityと契約(初の顧客)。

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初顧客がスタンフォードは痺れますな。ちょっとアガった。(なんで

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・2013年1月:600万ドルをシリーズAラウンドで調達(Qualcomm Ventures/Yahoo! 創業者Jerry Yang氏/WebEx創業者Subrah Iyar氏/元Cisco SVP and General CounselのDan Scheinman氏)。


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スタンフォードを口説き落とした後だと資金調達も捗りそう(笑)

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2013年1月:サービス本格ローンチ、初月末までに40万ユーザーを獲得。
2013年5月:100万ユーザー突破。
2013年7月:RedboothLogitech(日本ではマウスで有名なロジクールの親会社)、VaddioInFocusとのパートナーシップを確立。
2013年9月:シリーズBラウンドで650万ドル調達(Horizon Ventures/既存投資家)
2015年:ユーザー数4,000万人、加入組織数は6万5,000、設立からの累計会議時間は10億分に到達。これを受けシリーズCへ↓。
2015年2月:シリーズCラウンドで3,000万米ドルの資金調達(Emergence Capital、Horizons Ventures、Qualcomm Ventures、Jerry Yang氏、Patrick Soon-Shiong氏など)
2015〜2016年:Slack/Salesforce/Skype for Businessとソフトウェアを統合。

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あれ?地味にスカイプと仲良し?スカイプCEOのブチギレ動画見たばっかりだけどね?(偽

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(本家はこちらです、米国のおもしろYoutuberの仕業でしたね。本当に面白いのでぜひ見てほしいです)


2015年10月:Version2.5で、Zoomは1つの会議で許可される最大参加者数を50人に増加。ビジネス顧客向けは1,000人へ。
2015年11月:RingCentral 元CEO/David Berman氏がZoomの社長に就任。Veeva Systems 元創業者兼CEO/Peter Gassner氏が取締役に就任。
2017年1月:シリーズD資金として1億米ドルを調達(セコイア・キャピタル)。
2017年4月:医師が患者との遠隔診察を主催できるスケーラブルなテレヘルス製品(遠隔医療向けビデオ会議)を発売。
2019年4月18日:新規株式公開(NASDAQ IPO/1株あたり$36/取引初日に72%以上の上昇)


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(source:Market Watch


■ 2020〜2021年(〜ウルトラハイパーグロース・ギアサード時期〜):

2020年2月:2020年のみで222万人のユーザーを獲得(この時点で2019年の実績を超える)
2020年3月のある日:Zoomアプリは1日で213万回ダウンロードを記録。

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ふぁっ!?1日で213万回?(2019年通年実績水準)

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2020年4月:毎日のミーティング参加者は3億人以上に増加(2019年12月は約1,000万人)。CEOであるエリック・ユアン氏はZoomの1日のユーザー数が2億人以上に膨れ上がったことを発表。
2020年5月:エンド・ツー・エンドの暗号化を専門とする企業であるキーベースを買収
2020年6月:ZMの時価総額は670億ドルを突破(IPO初日は160億ドル)。
2020年7月:Hardware as a Service製品を発表(手始めに「Zoom Rooms」と「Zoom Phone」の提供を開始)。
同年同月:同自宅で仕事をする人のために設計された家庭用製品ラインである「Zoom for Home」を発表。最初の製品が「Zoom for Home - DTEN ME(ソフトウェアがZoom、ハードウェアがDTEN)」。
2020年9月:ZMの時価総額が1,290億ドルに到達。

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2020年6月に時価総額670億ドルを突破したばっかりなのに・・・?2ヶ月で時価総額約2倍の1290億ドルは流石にワロタみが深い(笑)

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8月31日の決算発表で「To the Moon」したのじゃ。あの時ほど株チョロすぎワロタと思った時はありませんでした(遠い目)。安心してください、生きていますよ(遠い目)

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2020年10月:Zoomの時価総額は1400億ドルを突破(遠い目)。
2021年1月:普通株式の公募により20億ドルを調達。

(最近はスプラッシュマウンテン中。次の6月初旬決算で覇気を取り戻すか?)

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CEOの経歴


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ZoomのCEOはエリック・ユアン氏。中国系アメリカ人です。山東省泰安市出身です。Chinese Born Americanです。CBAです。父は鉱山技師。渋い。

山東科技大学で応用数学の学士取得、中国鉱業大学で鉱山工学の修士号を取得。渋い、渋い、渋い。


Eric Yuanは、チームをまとめて、より効率的な作業とスムーズなコミュニケーションを可能にするビデオ環境を提供するために、2011年にZoomを創設しました。Zoomによるビデオを主とする統合通信プラットフォームは、今もなお主要グローバル企業のコミュニケーションの方法を大きく変えています。Ericのリーダーシップの下、2019年には優れた結果を出したTech IPOの一つとなりました。EricはZoomを創設する以前に、Ciscoの技術部門の副社長として、Ciscoのコラボレーションソフトウェア開発を担当していました。EricはWebexの創設者・技術者の1人であり、技術担当副社長も兼任していました。1997年から2011年の間に、彼は技術者チームを10人から世界全体で800人以上の規模にまで成長させ、ゼロの状態から8億ドルを超える収益の達成に貢献しました。Ericは、Business InsiderのEnterprise Tech部門で最も影響力のある1人として紹介されました。2018年にはGlassdoorにより米国大企業のNo.1 CEO、そしてノーザンカリフォルニアの EY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー (ソフトウェア部門) に選ばれました。さらに2019年には、グローバルビジネスを変えたリーダーとしてBloomberg 50にEricの名前が入りました。彼はリアルタイムコラボレーションに関して11件の特許を取得した発明家であり、現在も20件の特許を出願中です。(引用:弊社のチーム

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自社HPに詳しいCEO経歴あるの初めてで感慨深い。エリック氏出身の山東省といえば青島市(チンダオビールであまりにも有名)を想起してしまいます。しかし泰安市出身とは、「成り上がり幅」が大きすぎて吃驚しています。成り上がり幅が大きい人間ほどその器は計り知れない。

要するに惚れた、結婚したい。そういう話をしています。

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(なんとなく青島ビール↓↓ 山東省青島が発祥の地です。中華食べに行きたくなってきた。東京は赤坂見附の同源楼がオススメです。料理が辛くて客みんな咳しながら団欒しています)

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山東省泰安市といえば東京は八王子市と交流が深いのじゃ!!!

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八王子市:中国・泰安(たいあん)市

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どうでもよくてワロタ

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エリック氏は2021年5月現在、フォーブス長者番付で133位。圧倒的資産家です。


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Forbs:Eric Yuan & family


2021年5月17日現在、総資産は推定136億ドル(日本円で1.36兆円)。アメリカンドリームを掴んだ実業家といっても良いでしょう。シリコンバレーで成り上がるために2年で8回もVISA取得に失敗しても全く心が折れないだけあります。ついでに英語も話せなかったみたいです。

米国に移住した理由は、ビルゲイツの講演を見て「Tech Big Wave」に乗るためだそう。


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#とりあえず行動しろ」というハッシュタグをSNSで流行らせたくなるようなバックグラウンド。


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ソフトバンクグループの孫正義氏が推定4.8兆円。2位がファーストリテイリングの柳井氏の4.6兆円、3位がキーエンスの滝崎氏2.8兆円。4位がサントリーの佐治信忠氏、1.7兆円。5位が日本電産の永守氏9,920億円。エリック氏は日本に来れば4位の資産規模ですな。

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エリック氏はCisco出身ですが、元々はWebexでシリコンバレーエンジニアキャリアを開始しています。Webexの創業者も中華系、エンジニアも多数の中国人。

ここでアメリカの生活に徐々に慣れていったのでしょう。Webexはウェブ会議スタートアップ。後にCiscoに買収されます。

日本の優秀な若者がシリコンバレーで活躍する日本人CEOの元でキャリアを開始したような感じですね。


実は、ZOOM(ビデオチャットアプリ)のアイデアを思いついたのは大学時代に遠距離恋愛をした経験がもとになっているそう。


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ロマンチックかよ。ドラマ「リッチマン、プアウーマン」を彷彿とさせる。

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I first envisioned Zoom when I was a freshman in college in China and regularly took a ten-hour train ride to visit my girlfriend (who is now my wife). I detested those rides and used to imagine other ways I could visit my girlfriend without traveling — those daydreams eventually became the basis for Zoom.(引用:The Inspiring Backstory of Eric S. Yuan, Founder and CEO of Zoom

日本語訳↓↓

Zoomを最初に思い描いたのは、中国の大学1年生のとき、10時間かけて電車で彼女(今の妻)に会いに行っていたときでした。それが嫌で、旅をせずに彼女に会いに行く方法を考えていたのですが、その夢がZoomのベースになりました。


シスコ退職後、シスコの40人のエンジニアを引き連れユアン氏は41歳でZOOM(元Saasbee, Inc.)を創業。「シスコWebex」とほぼ同じ事業をZOOMで展開することになりました。

シスコがビデオ会議事業の拡大に真剣ではなかったからみたいです。

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Ciscoガチでやる気ないんなら外でやるわ〜いう感じやね。大企業目線では注力する事業と判断されなかったのね。

Covid19の猛威を読めていたら、シスコも真剣に拡大してたやろね(無理ゲー)。ユアン氏が見えているものは他人とは大きく異なるということでしょうか。

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しかし、40人のエンジニア引き連れて起業は吹いた(笑)Cisco側はブチギレなんじゃないかこれ?勝負師としてまじで優秀。ZOOMまた買いたくなってきた。

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ちなみにアーリーステージでZoomはWebExの創業者であるSubrah Iyar氏、元シスコSVP兼ゼネラルカウンセルのDan Scheinman氏などから出資を受けています。

ユアン氏のシスコWebexでの働きは、一緒に苦楽を共にした同僚から非常に高い評価だったことがわかります。


蛇足ですが、香港No.1の大富豪/李嘉誠氏も上場前にZOOMに投資をし、高いリターンを叩き出しています。

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米誌フォーブスが発表した2021年版の香港長者番付で、著名実業家の李嘉誠氏(92)がトップに返り咲いた。保有する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの株価が上昇し、純資産は前年比20%増の354億㌦(約3兆7000億円)となった。(引用:香港の李嘉誠氏、「Zoom」投資で富豪トップ返り咲き


ユアン氏、李嘉誠氏といい、天才は未来が見えるのでしょうか。ビデオチャットアプリと聞くと一般人の感想は「見通しは暗い」一辺倒ですからね。まんまと成功してしまっています。「俺たちには見える」ってやつでしょうか。


主要プロダクト(Meetings/Video Webinar/Rooms/Phone/OnZoom)

ビデオ会議ソリューションを提供する企業「Zoom Video Communications」。

提供しているサービスは大まかに以下のようなものがあります。


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・Zoom Meetings
・Zoom Video Webinar
・Zoom Rooms
・Zoom Phone
・OnZoom (β版)

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■ Zoom Meetings(ビデオ会議、Zoom飲み


「あらゆるデバイスでビデオ会議とメッセージングを簡単に」がコンセプトのプロダクト「Zoom Meetings」。多くの人が使っている、またはZoomといえば、と想像するプロダクトがこちらなのではないでしょうか?


驚きの使いやすさ・・・どのデバイスからでも簡単にミーティングの主催・参加ができ、素早いコラボレーションを実現します。
場所やデバイス問わず参加できる・・・Zoomをお使いのカレンダーと連携させることで、デスクトップからモバイルまであらゆるデバイスから、シームレスにミーティングに参加できます。
強力なミーティングセキュリティ・・・暗号化、役割別の操作権限の設定、パスコード保護、待機室などが使用でき、セキュアなミーティング空間を確保します。


Covid-19を追い風に企業のリモートワークが推進され、Zoom Meetingsは一気にユーザー数が増えました。企業の面談、商談も一時的にビデオ会議が中心になりました。(たぶん、今も)

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わいもZoomプレゼンしとるで。リモートプレゼン初体験時はちょっとナーバスになりますた(てへっ)。でもとっても便利。

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Zoom飲み」も流行りましたね。陽キャしか開催してなかったような気もしますが。

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家呑み用お取り寄せでオンライン飲み会 with Marisol美女組

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個人的にZoomいいなと思うのが、URL発行簡単、ワンクリックビデオ会議参加可能、海外との接続もスムーズ、落ちない、などなどがありますね。とりあえずTeamsはしんどかった。

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■ Zoom Video Webinar(ウェブセミナー)


「プレゼンテーションのスライドではなく、プレゼンターを主役としたウェビナーを主催」がコンセプトのプロダクト「ZOOM Video Webinar」。


パーソナルな方法で人とのつながりを築く・・・コンテンツの後ろに隠れるのではなく、本当の自分を前面に押し出しましょう。 ライブ HD ビデオを共有することで、社内外のオーディエンスとのコミュニケーションを図ることができます。
自信を持ってプレゼンできる・・・バーチャル背景、スタジオ効果、バックグラウンド ノイズ抑制を活用して、どんな場所でも最高の映像とサウンドでプレゼンテーションを実行できます。 体験をコントロールし、​オーディエンスによる中断を最小限に抑える
大規模なオーディエンスにも対応・・・​ライブ ビデオ ウェビナーでは、5 万人まで確実かつ安全に拡張 YouTube Live、Facebook Live などのカスタム ストリーミング サービスでイベントをライブ配信することで、外部の視聴者を増やす


個人的にこの「ZOOM Video Webinar」も革命を起こしたと思っています。リアルの会場で特定人数にセミナーをするよりも、「ウェビナー」という形で不特定多数にリーチできるのは主催者側として費用対効果が格段に良くなったのではないでしょうか。


以前より「ウェビナー」は存在しましたが、今回のCovid-19騒動で市民権を獲得したように感じます。筆者の周りの経営者の話の中でも。、ウェビナーを活用して受注が前年比の倍に増えたという話もよく耳にします。

このウェビナー市場も、「ZOOM Video Webinar」が大きく後押ししているように思います。


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これからの時代はビデオ会議、ウェビナーで如何に効果的なプレゼンテーションをするかが肝になってきます。秀次郎は元Evernote創業者が立ち上げているビデオ会議サービス「mmhmm」がとても気になっています。

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Coolすぎる。mmhmmのフィルター、アニメーションを使ってエンタメ性高いプレゼンしたい。



■ Zoom Rooms(会議室の問題点を解決するハードウェア)

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こちらはハードウェアですね。「Zoom Rooms」を使えば会議室が抱える最大の3つの難点、①ミーティングの開始、②ミーティングの予約、③コンテンツの共有を解決できます。


■ Zoom Phone(クラウド電話ソリューション)

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電話アプリですね。企業の既存の固定電話をクラウド電話ソリューション「Zoom Phone」に一気に置き換えてしまおう、という試みだと思います。黒船到来です。TAM(Total Addressable Market)は2024年まで$23Bの拡大です。


電話、ビデオ、ミーティング、チャットを一元化するアプリ

Zoomのデスクトップおよびモバイルのアプリから、通話の発信/着信をシームレスに行い、コンテンツを共有し、ビデオミーティングに参加し、チャットメッセージを送信します。

参加者が通話を終了し、別の会議ブリッジにダイヤルインしなくても、通話をZoomミーティングに簡単に昇格します。
Windows、MacOS、iOS、Androidのネイティブアプリは、音声とビデオのサービス品質を最大化しながら簡単に使用できるように設計されています。


ハードウェア(HaaS, Hardware as a service)も展開していますね。

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既存の社員一人ひとりに充てがわれる固定電話をDestroyできるのか、こちらは非常に見ものです。

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あの内線と外線は音が違うとか、「◯◯は外出中なので帰社次第折り返します」とかのクソなやりとりってもう現代社会ではなくなったんですかね?

ワイは会社員時代、バックオフィスからの電話は外出してるフリして居留守しまくってたんやが、Zoom Phoneになるとなんとなくだけど捕獲されそう(笑)

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■ OnZoom(β版)

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「イベントプラットフォーム」と「マーケットプレース」の機能を兼ね揃えたウェブサービス。

アーティスト系Youtuberが輝けるプラットフォームではないかと思います。サクッとライブを開催、チケット販売が出来そうです。もちろん、著名人ではなくとも、アーティスト活動をする個人などにもとても使い勝手の良いプラットフォームを提供するものと考えます。


以下がOnZoomの特徴の一部です。


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・最大1,000人の参加者を対象としたイベントをスケジュール、開催
・チケットの出品・販売
・電子メールやソーシャルメディアでイベントを共有し、宣伝  など

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クリエイティブ・エージェンシー、メディア、エンターテインメントの総合企業であるBeautiful DestinationsがOnZoomを活用して作った動画が以下です。



5月19日の情報で、OnZoomが「Zoom Events」として、近々ローンチされると公式から発表がありました。引き続き注目。



競合企業(MSFT/Google/Skype)

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Zoomの主要ビジネス「Zoom Meetings」の競合は「Microsoft Teams」「Skype For Business」「Google Meets」などを挙げる人が多いです。


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確かに競合であり、規模(キャッシュ)で攻められる点がZoomにとっても脅威となりますが、CEOのユアン氏が在籍していた「Cisco Webex」や、「Whereby」「Calling Meeting」など、ビデオ会議サービス企業は乱立しています。


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Zoomはビデオ会議のみのサービス展開ではありませんが、やはり主要ビジネス領域は覇権を維持する必要があります。

戦国ビデオ会議業界。今後の動向は要チェックですね。


業績(Q4/2020決算)

Zoom Video Communications」は、上記で見てきた通り、クラウドコンピューティングを使用したWeb会議サービスを提供する企業です。

法人、個人にWeb会議サービスシステムを導入し、そこから発生する「サブスクリプション収入」がZoomの主な収益源となります。


サブスクリプション」とは、例えばアマゾンプライム、ネットフリックスなど月額で毎月顧客から支払いを受ける形態です。

収益形態から、非常に業績見通しがつきやすく、投資家からも未来が予測しやすくなるので好まれやすいです。


サブスク企業の重要KPIはユーザー数、NRR(Net Revenue Retention (Rate)、既存顧客の売上増減)ですね。ZMの場合はNet Dollar Expansion Rate(NDR)と呼んでいます。


さて、企業決算分析をする上で、最優先で見なければならないのは、「実績(売上高・EPS・来期予想ガイダンス)」が決算前のアナリスト予想をしっかり上回っているかどうかです(ガイダンスを出さない企業もあるので注意)。


Zoomの2020年第4四半期決算は以下の通りの結果でした。


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※YoY = year over year(前年同期比)

□ Zoomの2020年第4四半期決算:

・売上$882M、YoY+369%(アナリスト予想:$812M)。→◎
・EPS$1.22、YoY +713%(アナリスト予想$0.79)→◎
・2021年第1四半期ガイダンスは売上高$900-905M(アナリスト予想$804.78M)
・2022年度ガイダンスは、売上高$3.76~3.78B(アナリスト予想$3.52B)
・従業員10名超の顧客数 467,100、YoY+470%

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売上、EPS、ガイダンスをハイパークリア。ハイパークリアです。ウルトラハイパーグロース企業の名をほしいままにしています。

2020年(2021年度)の通算パフォーマンスは売上YoY+326%、営業マージンYoY+37.1%、フリーキャッシュフロー$1.4B。


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それでは詳細な内容を見ていきましょう。

(2021年5月19日時点株価チャート)

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■ Revenue(売上高)

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Q4-2020:売上$882M、YoY+369%増(アナリスト予想:$812M)。

市場予想を余裕で超えてきています。


売上の内訳は米州$593M、欧州$171M、Asia-Pacificが$118Mです。

欧州&Asia-PacificがYoY+687%(約8倍)と非常に伸びています。アメリカは約4倍。

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※YoY = year over year(前年同期比)

Q4-2018:$106M
Q1-2019:$122M(YoY+103%)
Q2-2019:$146M(YoY+96%)
Q3-2019:$167M(YoY+85%)
Q4-2019:$188M(YoY+78%)
Q1-2020:$328M(YoY+169%)
Q2-2020:$664M (YoY+355%)
Q3-2020:$777M(YoY+367%)
Q4-2020:$882M (YoY+369%)←New!!

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冷静に、YoY+369%とどういうことなのでしょう。トレンドの中心でしっかり成長している企業というのは、このような決算になるのですね。

そもそもですが、Covid-19前からすでに非常に高い成長率を残しています。


このような成長率を誇っていても、巣篭もり需要が顕在化するまでは比較的静かな株価の値動きだったことを考えると、企業の価値と株価は常に連動するものではなく、株式市場の需給に合わせて投資をする大切さを思い知らされますね(短期目線の話です)。


■ EPS(1株当たりの当期純利益)

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Q4-2020:EPS$1.22、YoY +713%(アナリスト予想$0.79)。

売上に続き、こちらも超余裕でクリアです。


EPS予想は「Yahoo Finance」で取れます。アナリストは保守的に予想を出すため、決算企業はこれを超えなければ市場から好感されません。


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Zoomの過去EPS(non-GAAP)とYoYの推移は以下の通りです。


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Q1-2019:$0.03(YoY +400%)
Q2-2019:$0.08(YoY +300%)
Q3-2019:$0.09(YoY +800%)
Q4-2019:$0.15(YoY +275%)
Q1-2020:$0.20(YoY +567%)
Q2-2020:$0.92(YoY +1,050%)
Q3-2020:$0.99(YoY +1,000%)
Q4-2020:$1.22(YoY +713%)←New!!

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とんでもないですね。YoY+1,000%以上は初めて見ましたし、Covid-19前から+800%成長とかしてて意味不明です。これからのリモートワーク長期トレンドの中、どれくらいの数字を残していくかがとても楽しみな企業ですね。


■ 営業CF/フリーキャッシュフロー

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Q4-2020:営業キャッシュフロー$399.4M(YoY+993%)、フリーキャッシュフロー$377.9M(YoY +1,321%)。


企業KPI

■ Net Dollar Expansion Rate(NDR、売上継続率)

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NDRは既存顧客の売上を前年比で維持できているかを計る指標です。

Zoomは11期連続で130%を上回っています。化け物ですね。


Zoomを導入した企業が解約どころかさらに課金(アップデートや他サービス追加)を続けているという、Zoom addicted状態です。薬漬けですね。

Covid-19の追い風前から130%を上回っていますが、これがワクチン普及後にどうなるのか見極めたいところです。


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需要の先食いしきってしまっているのか、それとも、まだまだ需要は残っており、社会的に「Work From home」が根付き、もはやその働き方が主流になるのか。

これが確信できたところでZMの株価はTo The Moon する気がしますね。つまりは、6月1日の決算のガイダンス、9月1日の実績とガイダンス。この辺がZM株の2021年の山場になると思います。

特にNDRと次のRPOは注目していくべきでしょう。この2つの指標が一番将来の利益を読めます。

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■ Revenue under Contract(RPO)


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RPOは受注残です。売上に計上される予定の契約になります。

Deferred Revenueは会計上まだ売上に計上していない分です。Unbilledはこれから納品する分です。契約は結んでいます。


Q4-2020:Unbilledは$867M(YoY+132%)、Deferred Revenueは$883M(YoY +283%)。


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もうこの時点で2021年6月1日のQ1-2021決算の実績は良い数字を出してくることはわかりきっています。NDRとRPO、そしてガイダンスに全力注目しましょう。

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■ 大口顧客数

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過去12ヶ月の売上が10万ドル以上の企業の顧客数は1,644社(YoY+156%)に到達。

Q4-2020の新規獲得顧客数は355社でした。


■ 従業員10名以上の企業の課金顧客数


Q4-2020:467,100社に到達(YoY+470%)。


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■ Zoom Phone採用社数

10,700社に増加です。前年同期は2,900社、YoY+270%。


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Mass Market(従業員数1,000人以下の会社)が60%。

Up Market(従業員数1,000人以上の会社)が40%。Up Marketの顧客を増やすと収益は跳ね上がります。


規模の大きい会社にZoom Phoneはしっかり受け入れられていることがわかります。


財務状況(資本配分/自社株買い/M&A)

■ 資本配分


Zoomは2021年1月に15億ドルの公募を実施しました。公募価格は$340。2021年5月18日現在は株価は$309。公募価格である$340を下回ってしまっています。

引受はJPモルガンのみ。他の証券会社はFIREされたんでしょうか。


Zoom Announces Proposed Offering of Class A Common Stock

SAN JOSE, Calif., Jan. 12, 2021 (GLOBE NEWSWIRE) -- Zoom Video Communications, Inc. (NASDAQ: ZM), a leading provider of video-first unified communications, today announced that it has commenced an underwritten public offering of $1.5 billion of shares of its Class A common stock. In connection with the proposed offering, Zoom expects to grant the underwriter a 30-day option to purchase up to an additional $225 million of shares of its Class A common stock at the public offering price, less underwriting discounts and commissions. All of the shares in the proposed offering will be sold by Zoom. The proposed offering is subject to market and other conditions, and there can be no assurances as to whether or when the proposed offering may be completed, or as to the actual size or terms of the proposed offering.


■ M&A

公募増資で獲得したキャッシュで今後M&Aも視野に入っている可能性があります。現段階では特に実行していません。


FY-2021(2022年度)ガイダンス


■ Q1-2021:


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

・売上:$900 - 905M
・Non-GAAP EPS:$0.95 - $0.97
・Non-GAAP Operating Income:$295 - $300M
・Non-GAAP Weighted Average Share Count:$307M

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


■ FY-2021(2022年度):


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

・売上:$3,760 - $3,780M
・Non-GAAP EPS:$3.59 - $3.65
・Non-GAAP Operating Income:$1,125 - $1,145M
・Non-GAAP Weighted Average Share Count:$311M

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


$ZMのCANSLIM考察

「CANSLIM」は成長株発掘法の著者、ウィリアム・オニール氏の成長株の見極めに用いられる判断指標です。


オニール氏の理念は以下です。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

・CANSLIMを満たすかどうかで真の成長株かどうかを見極める。
・株価チャートで売買のタイミングを測り大きな利益の獲得を狙う。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


CANSLIMとは以下の頭文字です。これら全てを満たすと「大化け株」となります。(満たしていなくても有望銘柄として売買はOK、投資家の技量が試される)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

C(=Current Quarterly Earnings=当四半期のEPSと売上)

A(=Annual Earnings Increase=年間EPSの増加、高いROE水準)

N(=New Products, New Management, New Highs=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値)

S(=Supply and Demand=株式の需要と供給)

L(=Leader or Laggard=主導銘柄か、停滞銘柄か)

I(=Institutional Sponsorship=機関投資家による保有)

M(=Marker Direction=株式市場の方向)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


また短期投資・中長期投資などと投資手法を分けず、「正しい銘柄を正しいタイミングで売買する」としています。

短期投資か長期投資かという選択はほぼないはずだ、ということです。


良い銘柄はそもそも売り時を与えてくれず、そのまま何倍株になると言っています。

まずは、CANSLIMを通して、Zoomはオニールが定義する「大化け株」と言えるのかどうかを見ていきましょう。


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筆者が行った判定結果は以下の通りでした。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□

C:◯
A:◯
N:X
S:△
L:X
I:△
M:△

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


ここまで実需を満たし、化け物決算を出し続けている会社は、「大化け間違いなしでしょ!」と思ってしまいますが、オニール流の銘柄選定法ではそうはいきませんでした。全てが◯の最高の企業を探さなければなりません。


ここまで厳しく銘柄を見るのは、米国株銘柄は6,000以上もあるのだから、最高の銘柄を探すべきである、ということですね。

ただし、大化け株ではなくともZoomは有望銘柄であるといえる水準だと思います。値動きの趨勢が上を向いた時を狙い澄まして、投資をしていっても良い銘柄として筆者は捉えています。


(2021年5月18日時点の株価チャート)

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■ C(=当四半期のEPSと売上) ◯


C(=Current Quarterly Earnings)を見ていきます。

ここでは以下の2つを判定します。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?

⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?


当四半期のEPSが前年同期比で大きな伸び率を示しているかどうかを見ます。最低目標は25〜30%です。より保守的に見るのであれば40〜500%です。


ZoomのQ4-20のEPSはYoY+713%でした。ぶっちぎりでクリアです。


⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?


次に売上の伸びを見ていきます。直近3四半期で25%以上伸びていますので、こちらも余裕でクリアですね。確認しなくてもわかります。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

※YoY = year over year(前年同期比)

Q4-2018:$106M
Q1-2019:$122M(YoY+103%)
Q2-2019:$146M(YoY+96%)
Q3-2019:$167M(YoY+85%)
Q4-2019:$188M(YoY+78%)
Q1-2020:$328M(YoY+169%)
Q2-2020:$664M (YoY+355%)
Q3-2020:$777M(YoY+367%)

Q4-2020:$882M (YoY+369%)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴EPS、⑵売上双方クリアしているので、C(=Current Quarterly Earnings)は「◯」です。文句のつけようがありません。


■ A(=年間EPSの増加、高いROE水準) ◯


ここでは以下の2つを判定します。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?
⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?


年間EPSが過去3年連続で増加しているかどうか、増加率が25〜50%以上の銘柄かを見ていきます。

2年目のEPSが下がっている銘柄は除外されます。

Zoomの過去の年間EPSを見ていきます。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

2017年(参考):$-0.01
2018年:$0.06(YoY+600%)
2019年:$0.35(YoY+483%)
2020年:$3.34(YoY+854%)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


EPSは3年連続で増加しています。文句のつけようがない成長率でZoomは突き進んでいます。


⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?


ROEが最低でも17%を超えているかどうかをチェックします。

ZoomのROEは最新の情報で28.64%です。安心のクリアです。


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(Yahoo Finance Statistics)


⑴EPS成長、⑵ROE共にok。A(=Annual Earnings Increase)は「◯」ですね。


■ N(=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値) X


N(=New Products, New Management, New Highs)を見ていきます。

株価が驚くような上昇を見せるには何か新しいもの(収益増加率を加速的に伸ばす原動力)が必要です。


Zoomは目下「Zoom Phone」、そして「OnZoom」に取り組み中です。

「Zoom Phone」は既存の会社にある電話を置き換えるという試みであり、オフィス電話市場も支配すれば、TAM(Total Addressable Market)も拡大(2024年まで$23Bドル)し、まだまだ企業成長の余地が出てきます。


「OnZoom」は、歌手グループや芸術家などがその場でライブをサクサク始められる機能などを取り揃えた、イベント特化のビデオシステムです。

こちらも、現在はYoutubeで発信しているアーティストをOnZoomに誘導する未来が来るかもしれません。


ZoomのN(=New Products, New Management, New Highs)は当たり前のごとく「◯」にしたいです。しかし、Nを◯にするには、正しい株価ベースを抜けて新高値をつける必要があります。


以下は5月18日付けのチャートです。

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2020年10月を天井に、また2021年2月、3月のハイパーグロース株を中心とした大きな調整が被弾し、株価は低迷しています。


ここから反発し、しっかりと過去の高値の$588.84を超えるタイミングまで待って投資を実行するのがセオリーになってくるでしょう。

昨年大きく上昇したハイパーグロース銘柄であるため、ナンピン買いをする場合はそれなりの覚悟が必要になります。


但し、先導株は最も早く下落し、最も早く上昇する習性があります。Zoomは先導株です。直近の5月13日より前日比プラスで引けており、ここからどれだけの資金が入ってくるかは注目です。


判定をまとめると、現状、ZoomのN(=New Products, New Management, New Highs)は「×」です。


■ S(=株式の需要と供給) △


S(=Supply and Demand)を見ていきます。


Sは以下の複数項目があります。一つずつチェックしていきます。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)
⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。
⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。
⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)


例えば、発行済株式数が5,000万株ほどの比較的供給量の少ない銘柄ならある程度の買いが入ります(その分リスクも隣り合わせです)。

Zoomの総発行株式は236.28百万株です。

(2021年5月18日時点)

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Zoomの浮動株の数を見ていきます。

大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましいです。企業として株価上昇に対する努力への期待度を示します。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

・Shares Outstanding(総発行済株式数):236.28百万株
・Float:(浮動株式数):208.7百万株
・浮動株比率:88.3%

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


Zoomの時価総額は2021年5月18日時点で921.25億ドル(約9.2兆円)なので「大企業」です。

同社の浮動株比率は88.3%(つまり残りは11.7%)。経営陣が保有している株式比率が1-3%を大きく上回っているため、会社として、株式を持って本気で経営をしていることを示し、非常に好感が持てます。「◯」です。


⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。


上記「財務状況」の項目でも触れましたが、オニール流の「自社株買いをしている企業が望ましい」という点については、 Zoomは満たしていません。アップルペイパルのように積極的な自社株買いを行う方針は出していません。

「×」です。


⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。


次に、総資本に対する負債比率の低い企業かどうかを見ていきます。

過去2-3年で負債比率が減少していれば、利息支払い費用が削減されEPS向上が見込まれます。


特にIPOしたばかりのグロース株は収益が小さいため、この利息費用のインパクトが大企業に比べて大きいので、しっかり見ておく必要があります。


[BALANCE SHEET]

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(2021&2020 Zoom Video Communications, Inc.Consolidated Balance Sheets(Unaudited, in thousands)

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(2020&2019)



■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

■ 2020年(2021年度)

総資本:5,297.993 million
負債:1,437.226 million
負債比率:27%


■ 2019年(2020年度)

総資本:1,289.845 million
負債:455.902 million
負債比率:35.3%


■ 2018年(2019年度)

総資本:354.565 million
負債:202.452 million
負債比率:57.1%

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


簡易的ではありますが負債比率は2018年から2019年にかけて減少しており理想的な状況です。これもまた、「◯」です。


⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)

最後に、直近の出来高についてです。

(見難いのでクリックして拡大推奨)

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ZMの直近3ヶ月の出来高推移


Zoomは2020年10月19日に最高値$588.84をつけ、その後は11月のファイザーショック(ワクチン効果発表)、2月〜3月の小型株調整、5月に駄目押しの株式市場の下落で株価は最高値より55%下落($270)まで到達しました。


アメリカの製薬大手「ファイザー」は、開発中の新型コロナウイルスワクチンの臨床試験について、「90%を超える予防効果がある」とする暫定的な結果を発表しました。アメリカの製薬大手「ファイザー」がドイツの企業「ビオンテック」と開発しているワクチンはアメリカをはじめとした各国で最終段階となる臨床試験を行っています。(引用:ファイザー 新型コロナ ワクチン「90%超の予防効果」と発表


しかし、5/11(出来高4.08M/株価+4.08%) , 14(出来高4.36M/株価+6.11%)の出来高が急増しています。

ここからまだZoomは「先導株」として、ハイパーグロース銘柄の中で一抜けで株価上昇をしていくのかどうか、観察を続けるべきだと思います。


※オニールの成長株発掘法では、「市場を先導してきたすでに株価が好調に推移している企業が更なる上昇軌道を描く。」としています。



■ L(=主導銘柄か、停滞銘柄か) X

業界内で最高の業績を記録しているかどうかを測る「L(=Leader or Laggard)」を見ていきましょう。

ここでは業界内上位2-3銘柄に入っているかどうかを判断します。


これは、レラティブストレングス指数が80〜90代かどうかで判断をします。

レラティブストレングス指数とは、ある特定の銘柄の値動きを市場の残りの銘柄の値動きと過去五二週間にわたり比較するものです。 各銘柄に1~99の数値が割り当てられ、高ければ評価が良いと判断されます。


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2021年5月18日時点のZoomのRS Rateは29でした。

銘柄検討を実施する大前提となる80の数字を大きく下回っています。


Zoomは残念ながら、L(=Leader or Laggard)は「×」です。


■ I(=機関投資家による保有) △


I(=Institutional Sponsorship)を見ていきます。

株価を押し上げるには大きな需要が必要です。投資信託、年金基金、ヘッジファンド、保険会社など。機関投資家に保有されている銘柄であるかどうかが非常に重要になります。


また、その機関投資家は高いリターンを出す優秀な組織体(ファンド)なのか?という点も大切です。


見極め方として、最近の四半期で保有する機関投資家の数が着実に増加しているか、株主数が著しく増加しているか。

また株主となった機関投資家は誰なのかまで詳しく調べます。

「優秀なファンドが大人買いしているか」を満たさなければならないのでかなり高度な判定です。


まずはZoomの機関投資家保有株数の直近の動きです。2021年3月末までの動きを見ていきたいところです。


スクリーンショット 2021-05-19 11.02.54

(引用:Fintel「Institutional Ownership and Shareholders」)


2020年末まで機関投資家の保有は増加していましたが、2021年になり減少しています。資金が抜けています。


参考までですが、以下はMarketSmithで確認できる、ZMに投資をしている機関投資家(ファンド)の数です。一応、こちらは増加傾向にあることが確認できます。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

Jun-20:956
Sep-20:1,238
Dec-20:1,456
Mar-21:1,595

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


但し、ファンド数が増えても、優秀なファンドが買っていなければ、その銘柄は有望ではありません。


直近の株主は以下の通りです(Yahoo Finance:Holders)。名だたる投資ファンドが未だにZM株を保有し続けています。


Top Institutional Holders(機関投資家ZM保有上位)

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Top Mutual Fund Holders(投資信託(ファンド)ZM保有上位)

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ベンチマークを超えるリターンを超えることが使命とされるのがアクティブファンドです。

以下超一流の4ファンドにZoomは投資をされています。「Morgan Stanley Inst Fd Inc-Growth Port」は同じくハイパーグロース銘柄である「OKTA」にも投資をしています。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

□ ファンド名(保有数良順)・・・10year Performance(Before Tax)

ARK ETF Tr-ARK Innovation ETF・・・46.27%(5 years)

Morgan Stanley Inst Fd Inc-Growth Port・・・21.77%

Vanguard U.S. Growth Fund・・・17.61%

Morgan Stanley Insight Fund・・・22.88%

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


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ARKKが売られる局面なもんだから、ZMよりOKTAの方が心理的には買いやすいのかも(笑)

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直近四半期(1-3月)で機関投資家の保有数量が減少していますが、現在の上位株主から、優秀なファンドにも購入されていることが確認できます。I(=Institutional Sponsorship)は「△」という判定になりますかね。難しいところです。


■ M(=株式市場の方向) △


M=Marker DirectionはZoom株に関わらず全銘柄に関わることです。

「強気相場」であればハイパーグロース株を積極的に買っていっても良いとされています。2021年5月18日現在は売り圧力アリの強気相場です。株式相場から資金が抜けています。


その根拠は週刊レポートで確認してください(毎週末に定期更新)。

米国株式市場:今週の合戦の振り返り!


2021年5月18日時点の株価チャート

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10月に天井をつけ、2月〜3月の大型調整後(ハイパーグロース全般のマルチプルコンストラクション)で大きく一度下げました。その後も株価は低迷中です。

直近5月13日から徐々に資金は入ってきているように見えますが、まだまだ様子見レベルだと思います。


6月1日の決算でいつも通りモンスター決算をしっかり出し(この点は微塵も心配はいらないと思います)、機関投資家の大きな買いを確認、そして過去最高値を超える瞬間に掴みにいきたいところです。(もしくは、底値から30%程度上昇し、適切なベースを作り上抜けする場面も狙い目です、$350近辺で株価が揉み合ってくれると理想的)

長い道のりかもしれませんが、リモートワークのトレンドを、ワクチン普及によるCovid-19終了後も継続できるのかどうかを証明したタイミングで大相場をつける可能性もあります。


目が離せない企業です。


そんじゃーね!←

-完-

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