よく、「あ、ここに橋を架けたい」と思う。
運転中、あるいは地図を見ながら、川などで隔てられた土地同士を結んだら何が起こるか想像するのが好きだ。
橋がひとつ架かれば、向こう岸の人たちは通勤通学の経路を変えるだろう。病院や買い物に行く店も変わるかもしれない。
こちら側の人たちも、今までよく知らなかった川向こうの魅力に気づくはずだ。
インタビューの仕事をする時も、似たような想像をする。
私の仕事は、人と人との「間(あいだ)」で生まれる。
他者同士は基本的に、すんなりと分かり合えるものではない。
伝えたい相手との間に流れる川は、幅も流れの速さもそれぞれで、両岸に高低差があることもしばしばだ。この記事も例外ではなく、自力で越えられる川は案外と少ない。
そこに何とかして、橋を架けようとする。
まずはインタビュイー(語り手)と私との間に、そして届けたい相手(読者)との間にと、あれこれ頭を悩ませながら橋を架ける。結果として不恰好な橋になることも多いのだが、手抜き工事だけはしないように心掛けている。
大事なことは、橋が架ける目的を見失わないことである。
目指すのはあくまで、
両岸の人たちの明るい未来なのだ。
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