見出し画像

#9 サンゴの健康診断

一日中じめっとした空気に包まれていたが、愛媛にいる友人が送ってくれた夏みかんのおかげで、心に晴れ間ができた。

これでもかというくらいに力を込めて絞る。しぼりたての透明な恵みは、ジンとオレンジリキュールを合わせよう。久しぶりにシェイクした、夏らしい一杯。

サンゴの健康診断

ダイバーは、サンゴが白骨化しているかなどを観察してサンゴの健康状態を確かめていた。

健康診断は、見かけだけではなく細胞レベルでも行われる。

具体的な方法は、「色素」が関係している。

(色素の他の役割は前回「Coral Reef」でちらっと書いています。)

色素は日中、サンゴを緑や赤に染めているが、日が沈んだ暗闇の中、ブルーライトを当てるとこれらの色素の多くはビカビカに光る。つまり蛍光色だ。(記事トップの写真)

この特徴によって、ダイバーはサンゴの骨格の周りにある組織数を数えたり、サンゴ礁に新たにやってきたサンゴを見つける。

生物医学的な面では、これらの蛍光色素はタンパク質なので、細胞や組織を分子レベルで検査するのに役立つ。まさに精密検査だ。

話がそれるが、生きた細胞内の分子が観察できるようになったのは、蛍光顕微鏡の発明によるが、実は発明の背景にこの蛍光なたんぱく質が寄与している。ちなみに、光学顕微鏡の発明は、多大な功績によってノーベル化学賞を受賞している。

こうした生物医学的な精密検査によってわかったのは、

蛍光色を保持するサンゴは、健康なサンゴ礁に比べて破壊されたサンゴ礁の中によく見つかるということだ。

他にも、機械によって傷つけられたり破壊されたサンゴの中には、枝のように見える部分の先端が青くなる事例も見つかっている。

変色のメカニズム

サンゴが有害性を検知した結果、組織を増大させることによって中和させようという働きだ。

この変色は、人があざや発疹などで皮膚の色が変わる生理学的な現象と似ていると考えるとわかりやすい。

変色したサンゴはなかなか奇妙である。怖いもの知らず(それほど怖くない)な方は、ぜひ写真を検索してみてみてほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?