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#8 Coral Reef

真夏日の今日は、ボトルが半透明の水色に輝くジンとトニックでとにかく爽やかに。ライムのほんのりのしたみどりが夏の湿り気を吹き飛ばす。

今日は色とりどりな海底の話。

サンゴ礁(Coral Reef)

実はというほどでもないが、サンゴ礁は生き物だ。

クラゲやイソギンチャクと同じ仲間だが、ゼラチン質でできているクラゲたちとは違い、石灰岩でできたサンゴが大半を占めている。

さらに実は、海底のたった1%以下しか見ることができないが、海の生態系の25%がこのサンゴ礁に頼っていると推定されている。

さらにさらに実は、赤道付近の熱帯以外にも群生している。

これだけでも、僕はサンゴ礁について無知だと思い知る。

たった1%の海底にしかいないサンゴ礁

そんなに貴重なものだったとは。

褐虫藻との共生


サンゴ礁の大半は、サンゴで構成されているが、藻類である褐虫藻と一緒に暮らしている。

このルームシェアというのか居候というのか、パートナーシップの関係性は、サンゴの生命線をつなぐ重要なものだ。

なぜなら、栄養の乏しい海中において不可欠な栄養素を運んでくれるからだ。

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具体的には、褐虫藻はたんぱく質を構成するためのアミノ酸を供給する。これは、褐虫藻が、海中に溶けた硝酸塩やリン酸を分解した結果生み出されるものだ。サンゴにとって、海中に溶けたこれらの物質を直接摂取することはできない。

さらに、光合成によってできた糖と脂質も送ってくれる。

大盤振る舞いのお人よしかと思いきや、シビアな生物界。交換の関係性の中で成り立っている。

褐虫藻が光合成するための無機物(窒素やリン)は、サンゴからもらっている。サンゴは動物プランクトンをせっせと食べ、有機的な窒素とリンを摂取し、これらの物質が豊富な排出物を出すことによって、褐虫藻に恵みを差し出している。

カラフルな理由

サンゴにはカラフルなイメージが強い。緑やピンク、紫など、多くの人を魅了してきた。

これは、サンゴが色素を持つためだ。

光が十分に入らない深い海で生き抜くための工夫でもある。

透明なサンゴに色素が宿ることで、反射板のような機能をもつ。光の色や強さを、深くにいる褐虫藻たちに送ることができるのだ。

見事な連携プレーだ。

すごい話とちょっと悲しい話

だが近年、サンゴの白骨化が著しいという悲しいニュースをよく耳にするが、この白骨化を防いでいるのも褐虫藻の活動のひとつだ。

光合成のために二酸化炭素を吸収することで、サンゴの石灰質を透明に保つことができる。この証拠に、サンゴ礁の多い海の酸性度は平均より低い。

白骨化すると、光のバトンパスがうまくいかないくなり、この連携が失われる。

連携プレーは一つでも欠ければ成り立たない、大変センシティブなものだ。

それだけ複雑な仕組みを用いなければならないほど、もともと海中で生きるということが難しいことだとわかる。

その環境がよりシビアなものになっているという事実には、胸が痛くなる。本当に痛いのはサンゴや褐虫藻であるだろうが。

美しいサンゴにまたいつか会えるのだろうか。

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