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映画『グリーン・ライ 〜エコの嘘〜』を観て。

ステイホーム、かなりエンジョイしている。

ちょっとだけ凝った料理を作り(今日はブランチに激うまフレンチトーストを作ってしまった)、ときどき海で泳いだり(奄美は現在気温31度)、読書したり歌ったり家族や友達と電話したり農作業したり映画観たり、意外と良い。すっごく良い。

ところで、昨日、フードロス分野で活躍する先輩からのお誘いで、仮設の映画館というシステムを初めて利用し、2018年に公開された『グリーン・ライ 〜エコの嘘〜』という映画を観たので、印象に残った場面を一つ、メモっておこうと思う。


この映画は一言で言うと環境問題系のドキュメンタリーっぽいもの(ドキュメンタリーとしてはツッコミどころ満載なので、あえて)。パーム油、水質汚染、電気自動車などの問題をテーマに監督と専門家が現地へ赴き、現状を自分たちの目で確かめ、当事者や有識者にインタビューするという構成。その中でもメインテーマであった「パーム油」について書きたい。

私たちが普段食べているほとんどのお菓子や加工食品、洗剤やシャンプーなどの日用品には「パーム油」というアブラヤシの木の実からとれた油が使われている。油を使っている商品にはほとんどパーム油が入っていると思っても良い。しかしそれらは、インドネシアなどの熱帯気候の国々の森林伐採の犠牲の上で成り立っている産業である。この映画では、近年流行りの「サステイナビリティ(持続可能性)」というキーワードに疑問を投げかけている。

「森林伐採」などと聞くと、誰もがネガティブなイメージを抱くと思う。では、実際に被害者である国はどう思っているのだろうか。

映画の中で、映画監督と環境問題ジャーナリストの二人はインドネシア・バリ島で開かれたパーム油の会議に出席する。そこでの大臣のスピーチが印象的だった。

「現在インドネシアの繁栄に大きく貢献しているのが、パーム油産業です。200億ドルという金額は巨額と言えます。今は結束の時です。NGOはオランウータン保護のため規制をかけようとしています。産業の従事者は2000万人、非難するのはわずか数十人です。我々が最優先すべきなのは国民の豊かになることです。(拍手)」

つまり、自国の熱帯雨林破壊、森林伐採よりも、それによって生み出されるお金、雇用の方が大切だということである。光合成をしてくれる木が切られたり焼かれたりすることによって、二酸化炭素が増えたり、動物たちの住処が失われたり、健康被害が出たり、地球に悪い影響があるのは、もちろん周知の事実であるが、それは、そこで働く労働者が今日の夕飯のおかずを買うためのお金よりかは、現実的ではないのだ。実際にこのスピーチの後に盛大な拍手があった。

このシーンを見た時、私は自分の経験の中のあるシチュエーションと似ていると思った。これまで日本語教師をしてきたときに、ずっと思ってきたことだ。以前書いた「日本語教師」という仕事。でも触れたが、学習者であるアジア諸国の学生は、留学生ビザで来日しているのにも関わらず、学校に出席するだけで、勉強せずにアルバイト中心の生活を送っているのが一般的。日本語学校には最長で2年間通えるので、真面目に勉強すれば、かなり日本語は上達するはずである。将来的に日本の企業に就職できたり、日本語がわかることで、帰国後も就職の幅が広がる可能性が高い。どちらにせよ、それなりに良い給料が払われる。もちろん教師である私たちは口を酸っぱくしてこれを学生たちには伝えている。しかし、学生たちは勉強そっちのけで毎日働きまくる。週に28時間労働なんてルールを守っている学生を見たことがない。彼らの月給は日本語教師のそれを優に上回るのだ。

先の見えにくい将来よりも、今日明日のアルバイトに精を出す。そして、故郷の家族に毎月多額の仕送りをすることが、彼らにとって、いま、一番大切なことなのである。これは、インドネシアで森林伐採という仕事に従事している労働者と通ずるものがあると思う。すべて目の前の利益を優先してしまうのだ。


未来で何が起こるかなんて、そのときになってみなければ誰にもわからない。ただ、目の前の小さな選択が、将来の大きな損失につながることもあるということは忘れたくない。

かくいう私も、パーム油のことは知っているし、なるべく避ける努力はしてきたが、大好きなチョコレートを止めることはやっぱり難しい。まずは、100円の板チョコを、300円のパーム油フリーのフェアトレードチョコレートに変えてみようと思う。味も遥かに良いから満足感もあるし、大切に食べるから量も減らせるかも。それに、外出自粛中の今、あまりお金を使わなくなっているので、そこにお金をかけても良いのではないかと考えている。小さいことかもしれないけど、何もやらないよりずっと良い。とりあえず、やってみよう。

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