ズキュウウゥン!!!『荒木飛呂彦の漫画術』
ほぼ毎日読書をし、ほぼ毎日「読書ログ」を書いています。68冊目。
ジョジョシリーズでおなじみ荒木飛呂彦が、こんなに書いたら「僕にとっては、正直、不利益な本」になってしまったというほど、創作の考え方やテクニックをこれでもかと明かしたのが本書。
マンガ家志望者向けに書いたというが、おそらく創作にかかわるすべての人にとって興味深い内容だし、有益だろうとも思う。
あのジョジョの世界がどのように作られていくのか、創作の秘密が惜しげもなく披露される。バーン!
荒木飛呂彦は、自分は天才ではないと冷静にみつめ、そんな自分がいかにして連載を掴みとり、続けてきたか。どのようにして王道漫画(そう、ジョジョは王道漫画なのだ)を書いてきたのか。そして、どのように長期にわたる連載を続けてきたのか。これらの「企業秘密」を、事細かに説明している。
編集者や読者の心をつかむ為の導入の描き方、王道漫画の基本四構造としてあげている「キャラクター」「ストーリー」「世界観」「テーマ」の作り方。絵の描き方。そして実際に漫画を描く実践編。
しかも、実際の原稿や打合せノート、ネームなどもふんだんに掲載しながら説明してくれる。なんという大盤振る舞い。
いっそ漫画家をめざしちゃおうかな? と思ってしまうほど。
興味深いところだらけでッ、綺麗にまとめてお伝えするのが難しいッ!
荒木飛呂彦は、ストイックで、冷静で、漫画という表現を、長期間にわたり徹底的に考え抜いて描いている。(それが出来る人の事を天才と呼ぶのだと思うけどね)
やっぱりな、と、思ったのは連載を続ける事について書いている部分。膨大な時間と体力を消費しながら連載を続けるために「一定のリズムで漫画を描き続けることは何よりも大切だ」と説く。
村上春樹もイチローもルーチンの大切さを強調するが、やはり習慣化が大事なのだ。
そして、もちろん、誰もが知りたい荒木飛呂彦の特徴的な絵についても、どのようにしてジョジョの絵柄生まれたのか、どうしてこのスタイルなのか、詳細に説明されている。
僕の絵の特徴を一言で言えば、「ポージング」ということになるのでしょうが、
これは、リアリティを求めながらも、シンボル化を求めた結果だという。
爪に刺された針の絵から痛みを感じるリアリティと、一目で誰の漫画なのかわかる雰囲気を出すためのシンボル化。この両立が売れるためには絶対必要と考え、得た絵柄だ。バーン!(二度目)。
ジョジョの連載直前、西洋美術に、特にベルリーニ作品など、西洋の素晴らしい彫塑美術に多く触れることで、素晴らしいポージングは人の記憶に残ると気が付いた。その経験から、
人体骨格の限界まで追求したポージング
により、荒木飛呂彦の絵というものが出来上がった。うん、もう、絶対に荒木飛呂彦だとわかるものね。
また、ジョジョの世界観を作るうえで重要なのが「波紋」や「スタンド」といった超能力の存在だが。これも
絵の本質的な役割は、見ないものを可視化して伝えることだ
という考えから生まれたもので、各キャラクタの能力
「早く動く」「遠くまで行く」「自動的に遠くまで行く」「遅く動く」「呪う」「時を止める」「時の中を動く」「心の中を読む」「未来を予知する」「電気になる」「磁石になる」「重力に逆らう」「老化する」「魂を手に入れる」「直す」……
といった超能力をシンボル化した結果が「スタンド」なのだ。
とまぁ、漫画家向けの指南書という側面で書かれた本ではあるのだけど、創作をするものにとっても、ジョジョ好きにとっても、この本はバイブルになりうる。
とうことで、創作が好きな人、マンガが好きな人、ジョジョが好きな人にとって必読の1冊だ! 読もう! ジョジョも読もう!
本書を読んでいると、なにかしらクリエーティブなことがしたくなる。
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