今度のカルロは読みやすい 『すごい物理学入門』(カルロ・ロヴェッリ)
ほぼ毎日読書をし、ほぼ毎日「読書ログ」を書いています。455冊目。
物理学の話題は面白い。大変に面白い。
しかし、難しい。
量子論を含まない古典物理学の範囲は、普通の人類でも頑張ればなんとかなる。相対性理論も頭に汗を少しかけば概要は頭に入るし、物理現象としてイメージを持つことも出来ている気がする。しかし、話題が量子論の話題になってくるとちんぷんかんぷんになってしまう、なんて方が多いと思う。
まさに私がそうだし。
そんな、サイエンスは大好物なんだけど、最新トピックの理解が出来ていないと悩む方に、物理学の難解な話題を平坦に紹介し、物理学を通して世界を見る事の楽しさを教えてくれるのが本書となる。
著者はカルロ・ロヴェッリ。
そう、あのカルロ・ロヴェッリ。この名前を聞いてピンとくる方は、例の青い本と格闘した方だろう。そう、『時間は存在しない』でサイエンスファンやSFファンを煙に巻いた天才物理学者だ。
あの青い本、大変でしたね。
いろいろな方が絶賛するものだから、どれひとつ私も読んでやろうかと手に取った読者を苦しませたあの文章は、天才物理学者というのは常人とは違う思考プロセスを持っているのだろうという確信を持たせるものでしたね。
(『時間は存在しない』自体は面白いから頑張って読んでみて)
さて本書。書店で見かけ、タイトルでなんとなく買いをし、自宅で著者の名前を再確認したとき、例の青い本と格闘した事を思い出し、あちゃーっとなってしまったのだけど。でも、実際に読んでみたら実に平坦で読みやすく、かつ楽しい物理学随筆集となっていた。
なんと、するする読める。しかも、面白い。
いや、まぁ、読みやすいとはいえ、やっぱり著者はカルロ・ロヴェリなので独特な節回しは健在なんですが。
章立ては以下の通り、全七回の講義録という形。
第1回講義 世界でいちばん美しい理論
第2回講義 量子という信じられない世界
第3回講義 塗りかえられる宇宙の構造
第4回講義 落ち着きがない粒子
第5回講義 粒でできている宇宙
第6回講義 熱が時間の流れを生む
最終講義 自由と好奇心
世界の中心だと傲慢にも信じていた人間が、実は途方もなく大きな世界のごく一部でしかない事に気がつかされるまでのプロセスを一度に体験させてくれる構成。
本国イタリアではもちろんのこと、世界中で売れまくっているようで、それも納得の面白さなんですよ。ちょっと翻訳がわかりにくい気もするけど、何かしらのサイエンス本を読み通した経験が有れば問題なく楽しめると思う。
おすすめです。
「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。