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【テレワーク】 WEB会議ファシリテーションの秘訣をプロファシリテーターに聞きました!

■ WEB会議でのファシリテーションをうまくやるには?

テレワークにシフトし、WEB会議をする頻度が劇的に増えていますが、テレワークにおけるマネージャーの意識調査によると、「WEB会議でのファシリテーションをどのようにしているかを知りたい」という声が、関心のあるテーマの3位という結果がありました。

今回は、管理職・マネージャー向けに、「WEB会議でのファシリテーション」を効果的に行うには?というテーマについて秘訣をまとめます。

まとめるにあたり、株式会社ENERGIZEでコンサルタントをしている高橋新平さんにご協力をいただきました。高橋さんは、クライアントの会議において、4月だけでもWEB会議を20回以上ファシリテーションしており、社内でもその腕前は高いと評価されています。

■ プロファシリテーター Profile:
高橋新平氏。ENERGIZE Groupのコンサルタント。
2015年に早稲田大学を卒業し、ダイキン工業株式会社に新卒入社。その後2017年にENERGIZEに入社。以来、年間約250本以上の会議をファシリテーションしながらコンサルティングに従事。
4月からは緊急事態宣言も踏まえ、担当10社のクライアントのミーティングは全てWEB会議に切り替えており、最大60名のWEB会議のファシリテーションも行なっている。

私自身も、4月になりWEB会議で10人以上集まる会議をファシリテーションしました。仕事柄、この10年で、何千回も会議をファシリテーションしてきている経験も踏まえ、WEB会議版のコツをまとめます。

今回、まとめたファシリテーションの秘訣は次のとおりです。

■WEB会議ファシリテーション その1:そもそもファシリテーションとは

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そもそも、「ファシリテーション」とは何でしょうか、その役割は?

●ファシリテーション:
会議・ミーティング等の場で、発言や参加を促したり、議論の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートする事。それにより、組織の活性化、協働を促進させる。

WEB会議では、人数が多くなるほど、議題の進行を仕切る人がいないと停滞したり、参加者も発言のタイミングが難しくなったり、進めづらい性質があります。

そのためWEB会議では、よりファシリテーター役の人の腕が問われます。

チームのマネージャー・管理職の人はチームミーティングを行う中で、ファシリテーションスキルの必要性を今まで以上に感じているのではないでしょうか。

WEB会議の場合、スタート前に、誰がファシリテーター役をやるか?明確にした上で進めるのが重要になり、準備が大切です。
(特に、5人以上で、議論したり、意思決定するタイプの会議の場合)

先日、高橋さんが準備していた、あるクライアントとの1時間のWEBミーティングのアジェンダを紹介します。

この時、参加者は5名でした。

<あるクライアントとのミーティングの事前準備の実例>

■ 目的
私達の持っている情報や原則をもとに、P社様のマネジメント方法に関する
新しいアイデアや観点や視座を提供すること

■ ゴール
セルフマネジメントの社内ウェビナーの日程調整

■ アジェンダ
▽ オープニング
・アイスブレイク
(自社テレワーク対応はどのように進めているか?)
(緊急事態宣言の延長の方向性、どのように対応しようとしているか?)
・今日のミーティング設定の御礼と承認
・前回のセルフマネジメント組織勉強会(3月)に参加してみてどんな感想を得たか?
・今日のミーティングの目的をお伝えする

▽ メインディスカッション
・テレワークになってみて一番うまくいっていることは何か?
・テレワークになってみて一番課題に感じていることは何か?
・上記に対する事例や他社さんのFACTのシェアをもとにディスカッション
(with コロナ、after コロナ対応をどのように進めようとしているか?これをチャンスにどう進化できたら最高か?)

▽ クロージング
・今日のミーティングでどんな発見や学びがあったか?
・社内ウェビナーのご案内と日程調整
・ミーティングでお時間をとっていただいたことへの御礼

このように、「会議・ミーティング等の場で、発言や参加を促したり、議論の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートする」ためにも、

ファシリテーターは、会議の明確な目的・ゴール・議論の流れを準備しておくことが重要です。

●WEB会議ファシリテーションの秘訣 その1
ファシリテーターを事前に明確にし、ミーティングの準備段階で、
 ①目的
 ②ゴール(成果物)
 ③アジェンダ(議題)
  3-1 オープニング
  3-2 ディスカッション
  3-3 クロージング
を用意する

■WEB会議ファシリテーション その2:WEB会議のメリット・デメリット

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・WEB会議のメリットは何か?

1ヵ月で20回以上のWEB会議経験を経て、高橋さんが言うには、大きく3つあるそうです。

●WEB会議のメリット
① WEB機能により生産性を上げやすい
② 記録を取り、共有しやすい
③ リアルより心理的安全性が高まる

1つめ、生産性を上げやすいと言うことについて、

「WEB会議で自分の意見を一度チャット機能に書いてもらう、というファシリテーションをしていますが、チャットに書き込む時は、一度意見を言語化しないといけないですよね。つまり、リアル会議の中だと言語化されていないものを喋るという事があると思うんですけど、チャット機能を使うと、一度文章としてまとめてからアウトプットしなきゃいけないので、会議の生産性を上がりやすいと感じています。」

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実際に、ENERGIZE社内で会議をした時のZOOM画像です。画面共有で、左側に議題のスライドがあり、中央で全員の顔が見れ、右にはチャットで各自の意見が投稿され、シェアすることができます。3つを同時に一つの画面で見ながら進められるのはWEB会議ならではの機能ですね。

「また、WEB会議だと"全員で1つの話題について話す"ということがあって、リアル会議だと数人が会議と関係ないことを話す、という事も起きますが、WEB会議では横同士のクロストークができないので、全員で同じ話題にフォーカスでき、生産的に進められます。」

と言います。

「他にも、参加者から意見を集めたい時、画面共有したスライドに直接書き込みながら進めるやり方もあります。こうすることで、全員が一つの議論に収集でき、出た意見もその場で記録も取れます。」

こちらが実際の例です。

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「あとは、事前準備をしておかないとWEB会議の場合うまくいかない事が多いので、事前準備のクオリティーが上がります。」
(こちらは、その1で実際の準備の例を紹介した通りです。)

メリットその1の「会議の生産性を上げやすい」をまとめると

●WEB会議では、
1) 全員の意見をチャット機能等で集めやすい
2) 全員が一つのテーマについて話せる
3) 事前のアジェンダクオリティが必然的に上がる

という3つの側面から、会議の生産性が挙げやすいということです。

・2つ目のメリット、記録を取り共有しやすいとは?

「私はよくZoomのレコーディング機能を使っています。ボタン一つで録画をする事ができ、会議の様子をそのまま欠席者へ共有できます。また画面共有機能を使いながら、議論の内容をグーグルスライドやスプレッドシートに直接書き込み、会議後はそのリンクをそのまま全員に共有すれば議事録になります。このような進め方をすると、リアル会議の時に起きがちな、「前回どうだったっけ?」問題がなくなります。」

・3つ目のメリット、リアルより心理的安全性が高まるとは?

「WEB会議だとリアルに比べて、心理的安全性が対面より高くなると感じています。どうしてそう感じたのかというと、普段リアル会議では発言をあまりしない人も、WEB会議になって発言量がすごく増えたからです。リアル会議だと、参加者は無意識にその場に存在する上長などの圧を受け、場の空気を伺いがちです。WEB会議だと、自分の環境にいて、顔色をうかがったり、場の独特の雰囲気というものを感じにくいので、発言しやすいのだと思います。また、WEB会議だと参加者全員の顔が同時に見られる、というのも心理的安全性に繋がると考えています。」

とのことです。

・一方、WEB会議のデメリットは何か?

これも3つあげられます。

●WEB会議のデメリット
① 参加者の温度感が読み取りにくく、言いたいことを言いそびれる人がいる
② 参加者の集中力が切れやすい
③ インターネット回線・雑音など、参加者の環境によって進行の障害がある

これらに対して、ファシリテーターとしてどんな工夫をすれば良いのでしょうか?

次に高橋さんが実際に工夫していることを紹介します。

■WEB会議ファシリテーション その3:参加者の意見を引き出す方法

参加者の温度感が読み取りにくく、言いたいことを言いそびれる人がいる。という事に関して、

・高橋さんはどのように参加者の意見を引き出しているか?

チャットに全員同時に意見を入力するように促しています。例えば、「今からおよそ2分ほどで、○○についてのアイデアを、チャットに書き込んでください」と言うと、全員が意見をアウトプットする事ができます。参加者が30人程のWEB会議でも、この方法だと2分で全員分の意見が出せます。投稿してもらった後には、投稿した順に上から発表してもらいます。」

「また、このようにスライドを用意し、そこに意見を書き込んでもらうのも一つです。」

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「グーグルスライドに表をあらかじめ用意しておき、参加者の名前も書いておきます。グーグルスライドは同時編集ができるので、リンクを共有して、各自にその場で書き込んでもらってから、発表してもらいます。こうすると、議事録もそのまま残せるメリットもあります。」

また、実際にWEB会議で、意見を引き出す時、どんなフレーズを使っているか?聞いてまとめました。

●意見を引き出す、ファシリテーションのフレーズ集
・今から○分ほどで、全員チャットに書き込んでください。
・それでは、チャットの上から順番に発表してください。
・発言がある方は挙手をお願いします。
・「我こそはシェアしたい!」という方は、手をあげてください。
・〇〇さんのアイデアに乗っかって発表したい方はいらっしゃいますか?
・○○さん、どう思いますか?(あえて名指しすることも)
・ここまでで、質問したいことがある人はいらっしゃいますか?
・ここまでで、他にディスカッションしたいテーマがある人はいらっしゃいますか?

このように、ファシリテーターから積極的に意見を引き出すような促しをすることも大切です。

■WEB会議ファシリテーションその4:参加者の集中力を保つ工夫

WEBで60分以上の会議をするときは特に、参加者の集中力が切れやすいと言われています。

・参加者の集中力を保つ為に、どんな工夫をしているか?

高橋さんが言うには、

「『スライド変えるので、皆さんちょっと待ってもらって良いですか?』と言って5秒待機する。こんな場面ありますよね。これが、WEB会議での集中力を劇的に低下させるんです。なので、スライド内で全部完結するように準備しておきます。『次PDFファイル出すのでちょっと待ってくださいね』とか、そういう間を作らない。PDFを見るならそれをスクリーンショットしてスライドに貼っておくとか、動画はスライドに埋め込んでおくとか。そういう工夫をしています。」

「また、参加者には、常に矢面に立っている意識を持ってもらうように工夫しています。」

・矢面に立つとはどういう事か?

「いつ自分に話題を振られるかわからない、という緊張感ですね。その為に、ファシリテーターとして、ランダムに発言を求めるパートを随所に入れています。アイデアを求める時に、『このあと、ランダムに当てますのでその人に発表して頂きます』などと言うと、全員が矢面に立ちます。」

「また、質問する時は、「〇〇さん」とお名前を呼んでから質問さするようにしています。誰かが質問してから、「あれ?それ私に聞いていますか?」というやり取りはよくあります。必ず対象を明確にしてからコミュニケーションを取る事が大切ですね。」

●参加者の集中力を保つ為ための工夫
① 画面切り替えを少なく、必要資料は全て1つのスライド内で完結するように準備する
② この後、ランダムに当てると宣言してから進める。
③ 変な間を作らないように、質問は、誰に聞いているかを明確にする。

という3つのポイントがあります。

・最後に、

「参加者を楽しませる為に、ちょっとした面白いZoomのバーチャル背景なども用意しています。そういう小ボケも大切です(笑)」とのこと。

各自、いろいろなバーチャル背景を用意していますが、今まで私が見た中で秀逸だったものを、本人の許可も得て紹介させていただきます。

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このように、背景に個人的な情報を書いておくと、社内だけでなく、社外の方とWEB会議するときにも、アイスブレイクや信頼構築になります。WEB会議ならではの機能を使った工夫になりますね。

以上、WEB会議でのファシリテーションをうまく行うには?というテーマで、特にWEB会議特有の特性に対してフォーカスして紹介しました。

テレワークで、WEB会議が増える中、これらの工夫がお役に立てれば幸いです。

引き続き、テレワーク、マネジメント関連の記事を書いていきますので、永井祐介を「フォロー」頂ければ幸いです。

■ 参考情報:テレワーク関連ウェビナー


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