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【セクガク2020】開催報告書

 『ーここで自分になる 性の文化祭ー セクガク2020』を無事開催したことをご報告いたします。全国からたくさんのユースが運営に結集し、国内の有力アクティビストおよび国内外のメーカー様からご協力いただきました。総来場者数は、オンライン・オフラインあわせてのべ500名超が参加。ゼロから立ち上げた初開催のイベントにもかかわらず、多くの方にお越しいただけたことに感謝が絶えません。

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 今回は「文化祭」をコンセプトに、複数のさまざまな企画を同時に行うイベントとして開催しました。
 母体組織もなく、ゼロからスタッフおよび資金を集める必要性に加え、新型コロナウイルスの流行や東京オリンピックの延期など、想像を超える厳しい情勢の中で企画準備を進めるには、大きな困難が伴いました。しかし、このような状況の中でも、「性のせいで苦しむ人をなくすため、さまざまなテーマで性について触れられる機会を創出したい」という共通目標のもと、多くの仲間が集まりました。日本全国の中学生・高校生・大学生を中心に、70人以上の性に関するアクティビストが参加・協力してくれたことには代表として感謝が絶えないばかりか、性を巡る日本の環境を良くしよう!というユース世代のエネルギーの高まりを確信しました。

 最後になりますが、過去開催実績もない、無名の企画に対してご協力・ご賛同いただいた企業・団体・個人様には、心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
 

 また、何度も打ち合わせ・調整をしてくださったオフライン会場のアーツ千代田様には、大変お世話になりました。

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セクガクは、「学びたい人が学び、動きたい人が動ける」空間を作りつづけることを目標に、10年後の2030年まで、2年毎に開催していく所存です。次回は2022年の開催を予定しております。引き続き応援よろしくお願いいたします!

<セクガク2020の企画一覧>

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<各企画の報告>

1.「性」の視点から考える「スポーツ」(オンライン)

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【企画概要】
「スポーツ」と「性」に関する課題について、これまで関心を持っていなかった人をターゲットに設定。アスリートと専門家(医者・研究者など)を招き、「性」に対する無関心や、無意識に抱いてきた偏見・抵抗感などに気が付くきっかけとし、一緒に考える機会を提供する講演型イベント。

【登壇者(五十音順・敬称略)】
下山田志帆(サッカー選手)
藤山新(スポーツとジェンダーに関する研究者)
宮本由記(産婦人科医・スポーツドクター)

【参加人数】オンライン40名

【参加者からの声】

自分自身プレーヤーとしてスポーツに関わっていて、その中で感じていたモヤモヤを様々な視点からすっきりさせることができた(16〜20歳)
登壇者のバランスが良く、いろいろな角度からのお話を聞くことができた(31〜40歳)
基礎的なことから当事者の具体的な悩みまで、要点を知ることができました。(41〜50歳)


2.ヒューマンライブラリー~性を知って生を知る~(オンライン)

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【企画概要】
ユース世代をターゲットに、普段間接的にしか知ることのできない様々なセクシュアリティをもつ学生に対して、参加者が性に関する生きづらさや困難についてお話を聞いたり、質問したりすることで、他者や自分自身に対する理解を再度深める対話型イベント。

【登壇者(五十音順・敬称略)】
Ako
いな
お茶漬け
せん
たかと
多田
まお
まほろん
みお

(個別具体的な内容をお話いただく際、「本」すなわち話し手の心理的安全性を担保するために匿名性が高くなっております。全国から申し込んでくださった学生です。)

【参加人数】オンライン40名

【参加者からの声】

様々な体験のお話を聞くことができて、自分のこれからの将来の参考にできるかなと思った(16〜20歳)
自分にとっての「居場所」とはなんなのかを考えさせられました。また、自分の性別や周りの評価にとらわれない生き方をしたいと思いました。(16〜21歳)
自分の生き方に、選択肢が増えたようで嬉しかった。誰かと話したり、コミュニケーションをとるとき、フィルターを通してその人を見るのではなくて、一個人として見ることが大切だと学べた。普段から気になったことは自分で調べていきたいし、今回のような、直接交流できる機会があれば積極的に参加していきたい。本の方々、企画普段ネット記事などの媒体を通してしか触れられない話や、その方の個人的なエピソードを直接聞くことができて良かったです。とても良い時間で体感あっという間でしたので、もっとお話しできればなお良かったの方々、色んな方に感謝です。ありがとうございました!(16〜20歳)
普段ネット記事などの媒体を通してしか触れられない話や、その方の個人的なエピソードを直接聞くことができて良かったです。とても良い時間で体感あっという間でしたので、もっとお話しできればなお良かった(21〜30歳)
それぞれの本の方がセクマイとして悩みを持ったところから、自分に合ったやり方で行動を起こしている事に感動しました。固定概念をどう変えていくのか、無知であることが誰かを傷付けているのでは?違いを認め合いつつ、特徴だけでその人を見ない。など心に残る言葉がありました。(51〜60歳)
オンライン開催はネットの不具合などあり、スタッフの方は大変だったと思いますが、地方に住む者にとってはとてもありがたい企画でした。ネットながらも交流が持て、本の方と身近にいる感覚でした。とても楽しい時間でした。ありがとうございました。(51〜60歳)

3.子どもほしい?ほしくない?

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【企画概要】
子どもをもつことに関して迷いや不安がある20歳前後の若い世代がターゲット。様々な形で子供との関わりをもつ幅広い立場のゲストを招き、人生について多様な選択肢を紹介することで、自分の将来について考えを深めてもらうとともに、よりあたたかい社会に向けて出産・育児に関する現状と課題を知り、現在あるいは将来自分には何ができるか・どういう社会にしていきたいか考えてもらうきっかけを提供する対話型イベント。

【登壇者(五十音順・敬称略)】
梅原啓次(大阪市里親会会長)
平本沙織(拡張家族コミュニティCiftメンバー・子連れ100人カイギ実行委員長)
三戸麻子(国立成育医療研究センター医師)
miraco(みらい子育て全国ネットワーク)

【参加人数】オンライン40名

【参加者からの声】

「家族」の多様な形や考え方を学ぶことができた。私の中にも結婚等に対するイメージの変化があった。「今は今のために使う」このような考え方はあまりしてこなかったので新鮮でした。(16〜20歳)
司会進行がスムーズで、何もストレスを感じませんでした。登壇者も様々な立場の方を呼ばれていたので、一方的な価値観の押しつけにならず安心した。どの登壇者の方も話しやすくて良かったです。(16〜20歳)
これまで考えたことなかった視点をもらえたので。子育てについて、前より具体的なイメージを持てました!(21〜30歳)
親世代として参加しましたが、最近子どもを持つことに疑問を持っていた(実際2人の子育て中ですが)ので、いろんな価値観のお話しを伺えて、嬉しく思いました。なぜ子どもを持つことが疑問かという理由はうまく言語化できませんが、公共的な仕事をしたい、公共に資する個人でありたいという自分の理想と、子どもというプライベートの強度の強い破壊力のある存在(めちゃくちゃ可愛いです)ができて、そのギャップに戸惑いのようなものを覚えていました。ブレイクアウトルームセッションで「子育てを社会化したい」という発言を伺い、新しい可能性のようなものを感じました。ありがとうございます。このような既存の価値観を見直すきっかけ作りをされている活動素晴らしいと思います。子ども達も数年後、セクガクに出会えるといいなと思いました。(41〜50歳)

4.「性」研究の最前線(オンライン)

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【企画概要】
「専門的な話を聞いてみたい!」「研究者の話を聞いてみたい!」と思っている人をターゲットとした、性に関する若手研究者が自分の研究内容をベースに講演するイベント。

【登壇者(五十音順・敬称略)】
門下祐子(筑波大学 人間総合科学学術院 博士後期課程)
武内今日子(東京大学大学院 人文社会系研究科 社会学博士後期課程)
服部恵典(東京大学大学院 人文社会系研究科 社会文化研究専攻 社会学専門分野博士課程)
松田和樹(東京大学大学院 法学政治学研究科 総合法政専攻基礎法学コース博士課程)
元橋利恵(大阪大学大学院 人間科学研究科 助教)

【参加人数】オンライン120名

【参加者からの声】

性に関する迫った内容を研究者の立場から聞けて、非常に勉強になった(16〜20歳)
新たな発見と、今までの自分の振り返りができた。Xジェンダーの話がとても興味深かったです。(16〜20歳)
女性向けAVの研究、法哲学による婚姻制度の考察、性教育の最前線について深めることができた(21〜30歳)
性に関していまどういう研究がなされているかを知ることができた(31〜40歳)
日本社会における性に対するタブー感を払拭するために,若い人向けの性に関するイベントを頻繁に開催していってほしい。(41〜50歳)

5.男「性」を問い直す(オンライン)

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【企画概要】
これからの時代を築くユース世代をターゲットに、これまで築かれてきた伝統的な男性像(※ジェンダーロールや男性規範を内面化させた強い男性)から外れた当事者たちとの相互トークを通じて、現在の男性像と社会構造を問い直す講演型イベント。

【登壇者(五十音順・敬称略)】
ぜろ(学生団体DAISY副代表・NPO法人ピルコンフェロー)
當山敦己(ここいろhiroshima共同代表)
星野貴泰(日本思春期学会理事・看護師)
マサキチトセ(ライター・YouTuber)

【参加人数】オンライン50名

【参加者からの声】

男らしさ、女らしさなど、社会の根底にある人々の意識が様々な問題を生み出していることを学べた。こういう話が聞きたかったです。今日は素晴らしいイベントをありがとうございました!(16〜20歳)
共感と気付きばかりで充実していて、登壇者の方のお話も面白かったです!(21〜30歳)
バブル期に流行った3Kが、未だに理想の男性像とされているという事がトークでもチャットでも多く話題になっていたが、実際はほんの一部の人の考えとしか思えない。メディアが作った男性像をどう変えていくか、そのためにどんな行動があるか…という方向の話をもっとしたかった。(51〜60歳)


6.プライベートパーツのお勉強~昼の部~(オンライン)

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【企画概要】
あらゆるバックグラウンドを持った学生たちをターゲットに、社会・教育・家庭それぞれの場で活躍する講師を招き、現代の日本社会における性教育の不足を補う「理想の性教育」のかたちとして、プライベートパーツにまつわる幅広い性の内容について学び・共有する体験型イベント。

【登壇者(五十音順・敬称略)】
▽講師
今井伸(泌尿器科医)
シオリーヌ(性教育YouTuber・助産師)
にじいろ(元養護教諭)
▽生徒
ひなた(東京高専性について考えるサークル代表・トランス高専生)
ゆら(女子校に通っている15歳)

【参加人数】オンライン50名

【参加者からの声】

自分が知っていた知識とのすり合わせもできたし、知らなかったことも今日新しく学べてとても勉強になった。女性なので自分の体のことは何となく調べていてもパートナー(男性)のパーツのことはなかなか人にも聞けず知る機会がなかったので男性側女性側ともに知れてよかった!(16〜20歳)
広くいろんなジャンルからお話を聞けて、とてもよかった!学校で流して欲しいぐらい!(21〜30歳)
まだまだ知らなかったことやそうか!と思うことがたくさんありました。(41〜50歳)

7.プライベートパーツのお勉強~夜の部~(オンライン)

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【企画概要】
真面目な研究からエロ面白いネタまで、幅広い性の話に関心の高い大人をターゲットに、性風俗やAV業界で働くアクティビストたちや専門家を招き、なかなか人に聞きづらい男性器・女性器にまつわる幅広い知識を身につけ、性に関する事象について考えるきっかけを作る講演型イベント。

【登壇者(五十音順・敬称略)】
▽ゲスト
今賀はる(手コキ研究会代表・現役風俗嬢)
福元和彦(TENGAドクター・泌尿器科医)
森林原人(AV男優)
▽モデレーター
岡野めぐみ(SEX界のフィクサー・思春期保健相談士・セクガク2020代表)中島梨乃(性教育プロデューサー・セクガク2020運営メンバー)

【参加人数】オンライン70名

【参加者からの声】

内容がディープで良かった。さらに、冒頭でここで扱う「男・女」の定義について明確に立場表明をしてくれたので、安心して聞くことができた。(16〜20歳)
なかなか聞けないアダルト業界の内部事情や専門家の先生の意見も伺えて非常に勉強になった。これを機に性に関する様々なイベントに参加してみたいと思います!(16〜20歳)
参加してすごく良かったなと思いました。性に関して、私自身すごく知識が乏しくて、苦手意識が強かったのですが、自分のためにもこれから勉強していきたいなと思いました。企画・運営、本当にありがとうございました!(21〜30歳)
森林さんが最後に仰っていましたが、このイベントに参加している、または主催している方が若い人、軒並み女性が多いことに驚きました。で、その若いご意見を伺えたことは非常に貴重で参考になりました。(51〜60歳)

8.Feel Goods ポップアップギャラリー(オフライン)

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【企画概要】
アダルトグッズに馴染みのない人をターゲットに、日本国内にてラブグッズを扱う複数の企業のご協力のもと、アダルトグッズについて発信するコンシェルジュによる自分に合うグッズやメーカーへの出会いの機会を提供する展示型イベント。

【ご協力いただきました個人・企業(五十音順・敬称略)】
コンドームソムリエAi
(株)アートメディア(findom)
(株)ウーマ(ラブピースクラブ)
(株)ジャパンエンターテイメント(ホットパワーズ)
(株)トータル・メディア・エージェンシー(タマトイズ)
(株)トライ(信長書店)
(株)ナチュラルプランツ(LCラブコスメ)
(株)ミライカラーズ
相模ゴム工業(株)
ジェクス(株)
パインズインターナショナル(株)(アネロスジャパン)
fermata(株)
不二ラテックス(株)
リグレジャパン

【参加人数】オフライン50名

【参加者からの声】

コンドームにこんなに素材・サイズがあったのは知らなかった。比較できてよかった。(16〜21歳)
「ローション」の存在は知っていたけど、成分の違いや用途の違いについては知らなかったので参考になった。(16〜21歳)
テレビCMの演出方法の影響で、経血が青色だと思っている人がいる。この経血の表現方法が、フェミニズム的手法で展示していると思った。(21〜30歳)
オナホールの硬さがオーダーメイドで変えらえるのはすごい技術力だ。(31歳〜40歳)
いわゆるアナルプレイには抵抗があったけど、こういったトレーニング兼オーガズムを得られるアイテムなら、試してみたいと思った。(21〜30歳)
魔法ステッキみたいなバイブが可愛くて興味を持った。こんなデザインもありなんだと思った。(21〜30歳)
レズビアン用の、ユニセックスな見た目のペニバン「ファンタスティックネオ」は、LGBTQフレンドリーでいい商品だと思った(21〜30歳)
セクシャルファンタジーと結びついた香り製品が海外の方にはお土産として人気との情報を伺い、日本のアニメ漫画カルチャーとむすびついた需要もあるのかな、と新たな発見もありました。 (21〜30歳)
友人と参加しましたが、とても楽しかったです。コンドームのお土産も、なかなか色んな商品をいっぺんに手に取ることがないので嬉しかったです!いったいどんな風に運営しているのか、が気になり、自分も関わりたいなーと思いました!(21〜30歳)

【展示の内容】
日本国内にてラブグッズを扱う複数の企業様からグッズを提供していただき、ギャラリーを、U-18ゾーン・R-18ゾーンの2セクションに分けて展示。
●U-18ゾーン
セクシャルウェルネスや安全な性生活を送るための全年齢対象のグッズを展示。
●R-18ゾーン
セルフプレジャーやセックスライフをより豊かにする成人向けのグッズ、および新たな快感や知的好奇心を発掘できるような特殊な成人向けのグッズを展示。


9.Makeup Your Mind(オフライン・オンライン両方)

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【企画概要】
普段自分らしい装いがしない・できない方をターゲットに、メイクのプロフェッショナルを招き、普段できないような特別なメイクを体験することで、普段の自分や新しい自分の良さを実感してもらう体験型イベント。

【登壇者(五十音順・敬称略)】
テマンダ(ドラァグクイーン)
MANAMI(トータルビジュアルプロデューサー)

【参加人数】オンライン100名・オフライン20名

【参加者からの声】

今までメイクをした事がなかった自分が、いきなりプロに完成度の高いメイクをしていただけるとても良い機会でした。お金ができたら、いずれ自分でメイクしてみようと思えました。(メイク体験者)
メイクが仕上がったときのモデルさんの美しさを見て、自分の「こうなりたい」「好き」に合わせてメイクやファッションを楽しむのに性別は関係ないなとしみじみ思いました。また、男性の肌にも合うスキンケア用品やメイク道具が紹介されていて、参考になりました。(21〜30歳)
ときにメイクは特定の「性」のあり方を人に押しつける鎖になってしまう。でも使い方によっては自分の「性」の可能性を広げる翼にもなる。この企画は、僕にメイクが持つこの両義性を考えるきっかけを与えてくれました。(21〜30歳)

<協賛・後援・賛同団体一覧>

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作成日 2021年3月11日
セクガク実行委員会

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