青野氏のお雑煮ツイートについて

 サイボウズの社長青野氏が選択的夫婦別姓に関して、Twitter上で次のような発言をしました。

 青野氏はこのようなことを言っていますが、本当のところはどうなのでしょうか?

 まず、夫婦同氏制度は文化を元にした制度です。何度も別の記事で解説してきましたが、明治から存在した、夫婦で同じ家の名前を名乗るという慣習により成立しました。

*詳しくは下の記事をご覧ください。

 また、司法も過去に

婚姻を始めとする身分関係の変動に伴う氏の変更を含む氏の在り方が,決して世界的に普遍的なものではなく,それぞれの国の多年にわたる歴史,伝統及び文化,国民の意識や価値観等を基礎とする法制度(慣習法を含む。)によって多様であること(甲8の18頁から24頁まで。なお,そもそも氏を持たない国も存在する。)


(下のリンクより引用)と判断しています。

*下の記事もご覧ください。

 制度は制度、文化は文化と必ずしも言い切れる訳ではありませんし、文化を元に成立した制度も存在するのです。

 次は、日本のお雑煮文化について検証してみましょう。青野氏は餅の形と味噌の色にのみ言及していますが、丸餅の中にもあんこ入りの餅があったり、味噌入りの汁以外にもすまし汁があったりします。また、海鮮を入れる地方など、具も多種多様です。

*下の記事参照


 青野氏はこのように主張していますが、通常お正月は核家族だけでなく親戚一同で迎える家庭が多いでしょう。伝染病の影響があるとはいえ、人の移動や交流が活発な現代社会では、親戚が様々な地域出身の人から構成されることはしばしばあります。こうした場合に各地域のお雑煮を用意することは非常に手間がかかるでしょう。配偶者に限らず、作り手の負担を考えずに「俺はこの雑煮を食べたくないから別のも用意しろ」と数種類お雑煮を作らせるのも考えものです。したがって、基本的に各家庭で用意するお雑煮は統一せざるを得ません。

 なお、ある親戚の家で地元のお雑煮を食べることができなかった人でも、実家では地元のお雑煮を食べることができます。地元でない親戚の作り手に無理を言って各地域のお雑煮を用意してもらわなくても、自分の実家で地元のお雑煮を食べることができますし、様々な地域にある親戚の家でその土地で代々受け継がれてきたお雑煮を食べることができます。その方が各地域の文化を壊すことなく多様性を感じることができるのではないでしょうか?