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美意識の行方は?メイク中の彼女が見ていたものとは

とある日
私が電車に乗り込むと真っ先に目に飛び込んできたのは、優先席に座り手鏡片手にメイクをする30代前後の女性だった。

こういう光景はたまに見かけるけど、この日は久々で少々面食らった。
うぉっ!と。

私が目撃した時、彼女はちょうどアイラインを引いているところだった。

その姿を見た私は、彼女の目指す美意識ってどこにつなっがているのだろう?とぼんやり思った。

自分をきれいに見せるためにメイクをするのだろうけど、他人にその姿を晒すことは美しくないとは思わないのかと。

あるいは、自分のテンションを上げるためにメイクをしているとしても、周りの他人のテンションは下げてしまっているのではないかと…。

彼女がどういう目的でメイクをしているかは分からないし、どんな事情があるかも知らないけど、電車内でメイクせざるを得ないのだろう。
そうでなければ他人の目がある公共の場で敢えてメイクをすることはないのではないか?と思ってしまった。
まぁ正直、彼女に対して好ましい感情は出てこなかった。

けれど少しの違和感が自分の中にあったので、自分を省みた。

私はこてこて日本人的思考や自分の価値観でしか考えられてないのでは?
彼女をジャッジするのは違うでのではないか…と、メイクを続ける彼女を背にして私は出口わきに立って降車駅到着までぼんやりと考えた。

考えを巡らせた結果、自分が引っかかっていることの行先がなんとなく分かった。

それは、彼女は手鏡を覗きながら一体どこを見ているんだろう?ということだ。

そこに実際に存在している彼女自身の顔を見ているんだろうか?
それとも、彼女の意識自体がその場所から遠く離れたものに向いているんじゃないか?という考えだ。

その時ふと
竹原ピストルのおーい!おーい!!の歌詞を思い出した。

確かなぼくはここにいるけれど
確かなぼくはどこにいるんだろ
ぼくはここにいるけれど
ぼくはどこにいるんだろ

おーい!おーい!

竹原ピストル/おーい!おーい!!

自分の中でやっと腑に落ちた。

降車駅に着くと乗換のための移動に意識が向き、彼女のことは頭から消えていた。

難しいことが言いたいわけじゃない。
ただこんなことを思っただけ。
ただ、それだけ。


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