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ウェルビーイングを促す深夜食堂スキームの活用

大学院で
「倒産社長のウェルビーイング」
というテーマで2年間研究をしてきました。
無事に修論を提出でき、卒業を待つ状況です。

特に挫折体験からの精神的立ち直りに向けた
具体的方法論について探索的に色々とやってきました。

その過程の中で、

「ナラティヴ」という自身の体験を他者に語ることで、
その体験の意味を更新・再生成していくというプロセス・概念
を知る機会がありました。

<<ナラティヴ>>とは

・ 語り手の経験や体験した出来事を、時系列的に、連続性を持つ形で並べ、つなぎ合わせ、意味づける行為であり、それを語ること
・ 語り手(作者)と聴き手(読者)による対話を通じ、共創的に意味が紡がれ、絶えず変容し続ける、生成的(generative)なもの

臨床心理の世界では有名な概念で、
実際の医療行為にも活用されています。

そんな頃、我が家では
子供が寝ついた後に「深夜食堂」を好んで鑑賞し、
そのヒューマンドラマに心を温めてもらっていました。

深夜食堂のキャッチコピーはとても興味深く、
端的にこの作品の価値を伝えてくれています。

小腹も心も満たします。

繁華街の路地裏にひっそりと佇む “めしや”。
営業時間は深夜0時から朝の7時ごろまで。
人は「深夜食堂」って言ってるよ。

性別も、年齢も、境遇も異なった
さまざまな客が店を訪れては、
カウンターで生まれる小さなドラマ。

忘れられない味、そろってます。

「心を満たす」「忘れられない味」...

一見すっと流してしまうのですが、
ボーッとテレビを眺めながら思ったんですよね。

・なぜ、深夜食堂は心を満たすことができるんだろう?
・忘れられない味って、なんなんだろう?

作品を見ていると、
「マスター」「料理」、そしてカウンターに座る「個性的なお客さん」
との相互的な対話が織りなす空間が特徴的です。

「この様々な要素に加え、新宿という土地性が
複雑に且つ有機的に絡むことで
そのコミュニティに関わる人々の心を満たしているのだろうか...」

と考えました。

そこで今回は、

深夜食堂はいかにして、人の心を満たしているのか?

をリサーチクエスチョンとし、
作品の考察を行い、
人々の主観的幸福感、つまりウェルビーイングの実現に向けた
ヒントの抽出
に試みたいと思います。

まず最初に、
作品を構成する重要要素は

・マスター
・料理
・エピソードの主人公(お客さん)

です。

作品を通して、
多様な登場人物との偶発的な対話と食事を通じて
各話の主人公の悩みや課題が溶解していくストーリーが
多くを占めています。

そこで、今回の検証項目は次の通りです。

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1. 料理と主人公の関係性
 ・主人公が好んで注文するメニューとその背景・文脈に関する
  描写について考察する
2. 深夜食堂による課題解決
 ・主人公かが抱える課題・悩みに対して、深夜食堂、つまり
  料理とオーナーがどのように解決に貢献しているかを考察する

作品内でこの2点がどのように描写され、示唆されているかを
見ていきたいと思います。

その上で、
第1部 全10話を視聴し、
上記2点に関する項目について情報を抽出し、
分類・整理を行いました。

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・料理名
・主人公
・料理と語り手との関係性
・主人公の課題
・解決策(提供価値; 料理 or マスターによる貢献)

これらを分析することにより、
この作品を通じて得られたインサイトとして

・この作品は、ナラティヴ・アプローチをエンタメとして描いたもので、 臨床医療の世界でも活用が可能であること
・我々が日々生活する中で、主観的なウェルビーイングを獲得する
 方法論として有効である

ということが分かりました。

今回は本考察のご案内のみです。
次回以降、2つのポイントについて
ご紹介ができればと思います。

半分冗談として、
酒の肴として読んでもらえたら嬉しいですw

それではまた!

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