東北地方の石造物⑳:岩法寺五輪坊五輪塔(石川基光供養塔)

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名称:巌峯寺五輪坊五輪塔

伝承など:石川基光供養塔

所在地:福島県石川郡玉川村岩法寺 五輪坊


前九年の役の後に石川の地に土着した大和源氏の源有光は、陸奥石川氏の祖であり、以降石川氏は鎌倉・室町時代を通じて石川の地を領有し、戦国時代末期の当主石川昭光(伊達政宗の叔父)が奥州仕置で改易された後、伊達氏の家臣となり、伊達一門の筆頭として角田一万二千石を領した(角田石川氏)。

現在福島県石川郡玉川村に所在する巌峯寺(地名は「岩法寺」と表記する)の参道には、「五輪坊」と称される小堂があり、その内部には二代石川基光(有光の子で「元光」と称した時期もある)の供養塔が納められている。

この基光供養塔の五輪塔は、平安時代末期の治承五年銘があり、これは在銘の五輪塔としては四番目に古いもので、重要文化財に指定されている。

現在空風輪が欠損しているが、完形であれば二メートルに及ぶ大型塔である。

銘文には石川基光を供養するために造立されたことが明記されており(造立者はその子の石川光義と推定される)、造立年の古さと合わせ、造立趣旨が判明している点でも非常に貴重な石塔である。

石川氏は平泉の奥州藤原氏のもとに伺候していた豪族の一人で、この石塔の造立には平泉の石塔の影響があったことが指摘されているが、事実この五輪塔も、平泉の五輪塔に見られるような露盤を火輪に持つ。

また地輪が低く、火輪の反りが急な初期五輪塔の特徴をよく備えており、また非常に重量感と風格のある塔である。

なお、この五輪塔が納められている覆屋には、普段は鍵がかかっており、格子越しにしか拝観出来ない(鍵は玉川村教育委員会が管理しているが、常時貸し出し可能がどうかは不明)。

私はもう十年以上前に、たまたま五輪塔の調査に立ち会ったために、堂内で五輪塔を見ることが出来た。

この写真がその時に撮影したものであり、古いPCに写真データが入っていたためにこれまで見つけられず、今回ようやく掲載した次第である。


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