東北地方の石造物㉕:舘五輪塔


名称:舘五輪塔

伝承など:沢井氏の墓?

所在地:福島県石川郡石川町沢井舘


石川町の沢井は、石川氏(河内源氏源頼遠を祖とする)の支族である沢井氏の居館があった場所であり、小字の「舘」はそれに由来する。

その沢井氏の館跡には沢井氏の墓とされる五輪塔があり、元来その場所には菩提寺の宝界寺があったと言う。

現在も表記違いの「宝海寺」があるが、五輪塔へは同寺からではなく、その南方の民家脇の道が登り口に通じている。

県道11号線から南に入り、下沢井集会所の近くに五輪塔の案内板があり、そこからしばらく民家脇の道を進み、山道に入って向かって右側に百メートルほど登った所に五輪塔がある(山道は整備されていないので極めてわかりにくいが、私が行った時には事前に石川町の生涯学習課文化振興係の方に案内を請うた)。

五輪塔脇にある石川町教育委員会設置の説明板には、鎌倉時代末から南北朝時代の形式とあるが、火輪と地輪の形からするに、室町時代中期以降の作と考えられる。

水輪の形がやや細長い所からすると、あるいは戦国時代まで下るかも知れない。

百八十㎝ほどの大型塔であることや、火輪の形などは茨城県の筑波山麓に見られる戦国期の五輪塔に似ている所もある。

空風輪は当初とは別石で、火輪と水輪のサイズも微妙に合っていないので、あるいは火輪も別石かも知れない。

伝承よりは新しいかも知れないが、福島県中通りでは数少ない中世の五輪塔の事例と言える。


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