続・時代劇レヴュー㉟:愛と野望の独眼龍 伊達政宗(1995年)

タイトル:愛と野望の独眼龍 伊達政宗

放送時期:1995年1月1日

放送局など:TBS

主演(役名):柴田恭兵(伊達政宗)

原作:山岡荘八

脚本:塙五郎

TBSが毎年元日に放送していた「新春大型時代劇」の第九弾で、タイトルの通り、「独眼竜」の異名を持つ伊達政宗の半生を描いた作品で、多くの政宗を主人公にした作品がそうであるように、本作も山岡荘八の『伊達政宗』が原作である。

シリーズの終盤に製作され、また当時はテレビ時代劇も衰退期に差し掛かった時期に作られたせいか、シリーズ中唯一放送時間が三時間の作品であり、また本作で一旦このシリーズは中断し、一年開けて1997年に放送された「竜馬がゆく」をもってシリーズは終了している(これ以降、現在に至るまでTBSは元日はもとより正月三ヶ日の特番として時代劇を放送していない)。

とは言え、このシリーズの「売り」の一つだった豪華キャストは健在で、里見浩太朗(伊達輝宗役)、松方弘樹(豊臣秀吉役)、山城新伍(徳川家康役)、十朱幸代(保春院役)と、東映の時代劇では常連の面々がずらりと名を連ねている。

また、若年層の視聴者を取り込む意図か、政宗の少年時代役に堂本剛、豊臣秀頼役に、放送の直前にTOKIOとしてメジャーデビューしたばかりの長瀬智也など、当時の若手ジャニーズタレントを起用している(ちなみに、この前年の「大忠臣蔵」には、TOKIOとしてデビュー直前の松岡昌宏が大石主税役で出演している)。

主演の政宗役には、本シリーズの第一作目でも主演を努めた柴田恭兵を再起用し、山岡の原作同様、政宗を「へそ曲がり」でありつつも太平を願う武将として描いている。

脚本は、本作では前年に続いて二度目の起用である塙五郎が務めており、物語は政宗と母・保春院の愛憎半ばする母子関係が主軸になって展開し、政宗の初陣から始まって、大坂夏の陣を経て、政宗が保春院を仙台に迎え入れて両者が和解する所(ただし、史実で保春院が仙台に迎えられるのは大坂の役直後ではない)で物語は終わっている(そのためか、里見浩太朗や松方弘樹などの時代劇の大御所を抑えて、配役クレジットは十朱幸代がトメである。ただし、十朱幸代は同シリーズの常連で、過去に二度トメを務めた経験があるが)。

父・輝宗の横死、人取橋の戦い、小田原での秀吉との対面、葛西・大崎一揆での大芝居など、政宗の生涯の名場面は余さず盛り込まれているが、三時間と言う放送時間のせいか、一つ一つのシークエンスがかなり雑と言う印象がある。

また、同シリーズの他の作品同様、史実との相違がかなり多く、伊達成実が出奔したまま帰参しなかったり(かつ出奔の時期も史実と異なり、小田原攻め直後に政宗が抵抗なく会津領を明け渡したことに対する不満が原因)、葛西・大崎一揆を蒲生氏郷の領内で起こった出来事とした上に「百姓一揆」と表現していたり、関ヶ原の戦いの時点で上杉景勝が越後を治めていることになっていたり、あるいは原作では政宗の盟友であった柳生宗矩が政宗を陥れる策謀を巡らせたりするなど、挙げればきりがない(偶然であろうが、蘆名義広が蘆名盛氏と混同されていたり、慶長出羽合戦において政宗が自ら上杉軍を蹴散らして最上家を救ったりと、かつて「時代劇レビュー⑤」でも取り上げた、1993年テレビ朝日放送の「独眼竜の野望・伊達政宗」における史実の相違と同じような描写も見られた)。

後、これは個人的なイメージであるが、キャストの中では片倉景綱役の石立鉄男だけがどうもミスキャストと言うか、景綱があまり目立たず、またさほど知将らしく描かれていないので、その点では不満が大きい。

豪華キャストを生かして三時間で政宗の半生をコンパクトにまとめてはいるものの、前述のようにかなり省略が多いため、今ひとつ物足りなさが残る作品である。

従来通り五時間くらいの長時間の作品であれば、また違った印象であったかも知れないが。

本作はVHSの頃からずっとソフト化されておらず、現在は気軽に視聴出来ない作品であるが、同シリーズ中で、ソフト化されていないのは「大忠臣蔵」と本作の二作品だけなので、何かソフト化出来ない事情でもあるのだろうか。


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日本国内の石塔・石造物に関する記事と、歴史ドラマ・映画のレヴューを中心に書いています。