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【3分で読める世界史】アルメニア人が伝えたコーヒー

今日はイスラーム世界のウィーン包囲から、少し時間を遡ります。

舞台はフランス、主役はアルメニア人です。



今回も中公新書の『コーヒーが廻り世界史が廻る』を片手に

コーヒーから見た世界史をお届けします。

12世紀に東ローマ帝国の攻撃によりアルメニア王国が滅ぼされると

アルメニア人は世界中に散らばりました。


しかしその明晰な頭脳を駆使し

各地で商人として活躍

独自のネットワークを構築します。


この経緯は、ユダヤ人とよく似ていますね。


そんなアルメニア人は、商才に優れていましたので

イスラーム世界で人気だったコーヒーに、いち早く目をつけます。


そしてアルメニア人のパスカルという男が

フランスのサン・ジェルマンで開催されている市に

コーヒーの模擬店を出店します


「異国で人気のコーヒーが飲める」として、模擬店は大繁盛。


「これはいける!」


模擬店で資金を作ったパスカルは、正式にカフェをオープンしました。


しかしカフェは流行らず・・・・・・


市のお祭り騒ぎのなかでは、売れましたが、落ち着いて店で飲むと

その味はまだまだだったためと言われています。


その数年後、またアルメニア人のマリンバが

今度はフランスのフェルー通りにカフェを開きます。


「一旗あげてやる!」


そう意気込んだマリンバでしたが、やはり流行らず・・・・・・


店を売ってしまいます。


ここでアルメニア人が伝えたコーヒーを商業ベースに乗せる

新たなプレイヤーが登場します。


ペルシャ人のグレゴワールです。


グレゴワールはマリンバのお店で働いており

マリンバが店を閉める際に

「この店を売ってください」と申し出ました。


グレゴワールはお店で働いている頃から

「ここでは場所が悪い」と考えていました。


イスラーム世界のイスファハーン出身のグレゴワールは

カフェは「公共の議論の場」と知っていたのです。


マリンバのカフェを転売したグレゴワールは

劇場の前という立地に、新しいカフェをオープンします。


目論見は当たっていました。

劇場での演目を批評する場として、カフェは大繁盛。

それ以来、劇場とカフェはセットになったとも言われています。


アルメニア人が持ち込んだコーヒーが、ようやく日の目をみたのです。


いかがだったでしょうか。


フランスの庶民に徐々にコーヒーが広がっていく様子が

少しでも想像できたなら嬉しいです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!とても嬉しいです。 もしサポートいただけたら書籍を買って、世界史記事に厚みをくわえます!