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4.3.3 アフリカのイスラーム化 世界史の教科書を最初から最後まで


イスラーム教が広がる前のアフリカ


確認できる中でもっとも古いアフリカ人の国は、ナイル川上流にヌビア人の建てたクシュ王国(前920年頃〜後350年頃)だ。
現在のスーダンにある。


エジプトの文明の影響を受け、独自のピラミッドも建設し、前8世紀(今から2800年ほど前)にはエジプトの王朝を滅ぼしてしまうほどのパワーを持った。
その後、アッシリア帝国がエジプトを占領すると、ナイル川の上流に撤退。
その後、都をメロエにうつしたクシュ王国はメロエ王国(前670年頃〜後350年頃)とも呼ばれ、やはりピラミッドを建設。
鉄器の製造もおこなっていた。

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ナイル川の下流との貿易だけでなく、紅海との貿易でも栄えたけど、4世紀にはエチオピア高原でおこったアクスム王国(紀元前後頃〜12世紀)によって滅ぼされてしまう。

この王国はナイル川や紅海を通る物流ルートを支配し、インド洋にも手をのばして栄えた。
ユダヤ教徒などさまざまな商人が行き交う中、キリスト教を国の宗教と定めたことでも知られる。
ヨーロッパで主流となっていった教義とは異なる特徴を持つエチオピア正教は、現在でもエチオピアの人々の信仰を集めているよ。

なお、エチオピアのカッファ地方はコーヒーの原産地としても有名だ。


イスラーム教が西アフリカに広まった


西アフリカはサハラ砂漠が広がる乾燥地帯。そんな荒涼とした砂漠を突っ切って流れる大河 ニジェール川には、古くから商人たちの住む街がつくられた。

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サハラ砂漠の岩塩を、南方の金(きん)と交換する塩金貿易で栄たガーナ王国(7世紀頃〜13世紀半ば頃)もそのひとつ(ガーナといっても、現在のガーナという国はこの王国にちなんで付けた名前であり、直接的な関係はない)。マンデ人の一派の建てた国だ。

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しかし、モロッコから攻めてきたイスラーム教徒たちにより1076年(または1077年)によって大打撃を受けることに。

その後は、ニジェール川周辺でもイスラーム教徒の住民が増えていくことになったよ。


そんな中、1240年にはおそらくマンデ人の別の一派によってマリ王国(1240年〜1473年)が建てられる。
トンブクトゥという都市には西アフリカ一帯の商人があつまり、大にぎわいとなった。
イスラーム商人が多く滞在したので、市内には泥でできたモスクも建てられている。

マンサ=ムーサ(在位1312〜37)という王様は、各地を豪華なキャラバンで立ち寄りながら、メッカに巡礼し、その名をとどろかせた。


1464年にはソンガイ王国(1464年〜1591年)が現在のマリにあるガオという都市を拠点に建てられ、周辺の民族を従えて強大化。
マリ王国と同じくイスラーム教を保護した。

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モスクにはアラブ人の有名な学者も招かれ、トンブクトゥは一躍アフリカにおけるイスラームの学問の中心地となったよ。



イスラーム教徒は東アフリカの港町に居着いた


アフリカ大陸の北東部(上が北の地図では右上)には、角のように突き出た半島がある。いわゆる「アフリカの角」だ。

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「アフリカの角」のインド洋沿岸には、古くからアラビア半島やイランから商人がやって来て、モガディシュ(現在のソマリアの首都)のような港町が作られた。



10世紀以降(今から1100年ほど前)になると、モガディシュよりもさらに南に、マリンディ

モンバサ(現在のケニアにある島)、

ザンジバル(現在のタンザニアにある島)、

キルワ

といった港町もつくられるようになる。港町にはイスラーム教徒の支配者も現れた、インド洋海上交易の”西の終点“として発達。内陸からは象牙や奴隷、金などが輸出され、インド洋周辺各地の物産が輸入された。



中国とつながっていた東アフリカ


たとえばそのなかには、中国産の陶磁器も含まれる。重量のある陶磁器は、船のかさを増し、バランスをとる役割も果たしていた。

中国の陶磁器の出土分布(https://journals.openedition.org/afriques/1836?lang=en)
西アジアからアフリカにかけて輸出された陶磁器の生産地(推定)(同上)



スワヒリ語の誕生


アラブ人の商人が殺到したおかげで、現地の商人がカタコトのアラビア語を自分たちの言葉と混ぜて使うようになった。
これが現在ケニアやタンザニアで話されているスワヒリ語のルーツだ。

ジャンボ!という挨拶で有名だね。



アフリカ南東部にも国家が成立


なお、キルワよりもさらに南方でも、象牙の輸出と綿布の輸入の貿易ルートを握った支配者が、11世紀(今から1000年ほど前)にモノモタパ王国を建国している。
この王国は19世紀頃まで繁栄が続き、王都ジンバブエには「石の家」(大ジンバブエ;グレート=ジンバブエ)と呼ばれる巨大な石像建築が多数建てられたよ。

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