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2022年11月の記事一覧

「君たちは自分を忘れて、自分自身から逃げようとしている」(『スマホ時代の哲学』より)

『スマホ時代の哲学:失われた孤独をめぐる冒険』という書籍が、2022年11月18日に、ディスカヴァー・トゥエンティワンから発売されます! こんにちは! 京都市在住の哲学者、谷川です。スマホを持ち歩く私たちの生活について考えた、哲学の入門になるような本を書きました。 今回のnoteでは、「はじめに」のさわりを紹介しようと思います。 以下、本文の冒頭です。 「君たちは自分を忘れて、自分自身から逃げようとしている」  フリードリヒ・ニーチェという哲学者がいます。ドイツ語で本

我が家を「グエル公園」みたいにしたい #1

モザイクタイルでヤモリ柄を作っている時にふと『庭の外壁全面にモザイクタイルを貼りたい』と思い立ち、どうせなら「ガウディのグエル公園みたいにしちゃいたい」と思いついちゃったので、それを実行に移すことにしました。 (それまでの簡単な経緯はこちらをご覧ください) で、コンクリをキレイにして、タイルを注文しまして、いざタイル貼りスタートです。 まずは、下書きから。 モザイクタイルを貼る部分にチョークで書くんですけど、タイルがキレイに貼れない事態が発覚。 外構業者がポンコツでコンク

【冒頭公開】ルソー、レトロスペクティヴ——「記憶の記録化」についての試論(群像新人評論賞2021最終候補作)

ルソー、レトロスペクティヴ——「記憶の記録化」についての試論森脇透青 序 〈私〉という病 ルソーは、『言語起源論』のなかでつぎのように記している。  それゆえ、私たちは旅に出なければならない。私たちは、「いま・ここ」にいる自己の外に出ることによってのみ、すなわち想像力によってのみ、他者と連帯しうるのだから。  苦しむ他者への同一化——動物にさえ備わっている憐憫の情——は、ルソーの主著のひとつ『人間不平等起源論』の鍵概念でもあった。だが、『言語起源論』では、ルソーは別の考

オスマン帝国的聖地 エルサレム案内【後編】|イスタンブル便り

エルサレム旧市街には、目に見えない「意味」の網の目が、張り巡らされている。 一見迷路のようだが、古代ローマ時代のカルド(南北の軸線)と、それに交わる東西の中心街路を読み取ることができれば、構造が綺麗に透けて見える。この中心の四つ角を起点に、北東がイスラーム教徒、北西がキリスト教徒(カトリック、ギリシャ正教)、南西がアルメニア聖教徒、南東がユダヤ教徒、と、居住区が大まかに分かれている。 四つ角は、実際の街路の上では入り組みすぎて全体が見渡せない。だが、街路を覆う屋根の上に出てみ

【コンテンツで課題解決】 講談社、集英社のマンガ・ソリューション事業に注目

Mintoの水野です。SNS・Web3領域で漫画・アニメ・キャラクターなどをクリエイターと共に創っています。 今日はコンテンツによるビジネス課題の解決について書いていきます! コンテンツビジネスの基本は、コンテンツ会社又はクリエイターが、エンターテインメントとしてのコンテンツを提供して、お客様から対価を頂くモデルです。 漫画であれば、雑誌・コミックス・電子書籍を発行して買ってもらう。映画であれば映画館で作品を上映し、チケットを買ってもらう、キャラクターであればグッズやス

おそば屋さんのカレーを再現してみた話。

カレーはみんなの大好物。 トケイヤkitchenにもカレーのレシピがいくつかあります。 🍛カレーバリエーションたとえば定番の№1、さらりとした欧風カレー。 それに小麦粉のルウでとろみをつけた第2の欧風。 最近注目のスパイスカレーもたまに食べたくなります。 そしてなんといっても懐かしいのが、子供の頃これが当たり前だと思っていた、大阪風の混ぜカレー。 トケイヤkitchenにとっては、「#うちのカレー」投稿企画で受賞させていただいた、記念のレシピでもあります。 こうし

【イントロダクション公開】 No.168 特集「シカゴ・ブルースと出会う」

ローリング・ストーンズをはじめとしたロック・バンドはもちろん、日本のブルース・ファンからも愛されてきた「シカゴ・ブルース」を大特集した本誌No.168。マディ・ウォーターズやジミー・リードらシカゴ・ブルースを代表するブルースマンとその代表作や、日本国内で独自に組まれたLPを中心に100枚以上のアルバムを紹介した「シカゴ・ブルース」の入門書・保存版として最適な1冊です。 特集の冒頭に掲載したイントロダクションとなる一文を少しアレンジしてここにお届けします。 シカゴ・ブルース

稀代の奇書「トゥバ紀行」をかつて人生を費やしたコーヒーをはしごして読む。

旅と本は相性がいい。なぜなら、目的が一緒だから。どちらも、新しい世界を見せてくれる。最高である。 そして、移動しながらの読書はたのしい。本を読みながら、ふと顔を上げると流れていく景色。電車の窓から差し込む光。地下鉄の轟音。アナウンス。駅ごとに入れ替わっていく人たち。本の世界と、とどまらない現実世界を行き来しながら、想像が加速していく。なにものにも変えがたい心地よさ。 とりわけ旅行記はぴったりはまる。そのとき、その場所へ訪れた作者の記憶が封じ込められて、今、文字を読むごとに