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2021年2月の記事一覧

広告は私たちに微笑みかける死体/ふだんづかいの倫理学/もう一度読む山川倫理 *「広告とは何か?」正解はないのだけど、自分の中に軸を持ちたい。ベネトンの広告デザイナーの本と倫理の本から。

2000年代どんな音楽が流行ってた?【US編前編】

2月12日にリリースされたPale Wavesのアルバム『Who am I?』が先行リリースの時点で2000年代のリバイバルだと音楽好きの間で大きな話題となっている。 前作とは大きく変わった、Avril Lavigneなどを彷彿とさせるサウンドと曲調は、幼少期を2000年代を過ごした僕ら世代にとっては懐かしさを覚える。 実際にフロントマンのHeatherも1995年生まれと、同世代として同じような音楽を聴いてきた影響もあるように感じる。 20年周期で音楽はリバイバルされて

著者が語る:フォン・ノイマンの天才すぎる生涯―― マッド・サイエンティストの素顔とは?

1957年2月8日、ジョン・フォン・ノイマンは53年の生涯を閉じた。つまり、本日はフォン・ノイマンの「命日」であり、「63回忌」ということになる。 彼の生涯と思想については、2月16日に『フォン・ノイマンの哲学』(講談社現代新書)を上梓する予定である。その「はじめに」は、次のようにして始まる。 20世紀を代表する天才のなかでも、ひときわ光彩を放っているのが、ジョン・フォン・ノイマンである。 彼は、わずか53年あまりの短い生涯の間に、論理学・数学・物理学・化学・計算機科学

「もっと、もっと」ではなく「ちょうどよさ」の時代へ

「僕は『エレガンス』という言葉を "人に迷惑がかからない範囲の『ちょうどよさ』"と解釈している」。 この定義を聞いたとき、これまでエルメスに感じてきた心地よさの一端が理解できたような気がした。エルメスのアイテムは、主張しすぎることなく持ち主に寄り添う。声高にブランドを叫ぶことなく、モノの上質さによって見る側の心を爽やかにさせる。 中原淳一は、装いの意味は他人への配慮が大前提だと言った。 「身だしなみの本当の意味は、自分の醜い所を補って、自分の姿がいつも他の人々に快く感じ

ブンガクのことば【0072】

Xの森は窓から三丁ばかり離れた右手の方に在った。ずんずん開けて行く大都市のはずれに一廓、ここばかりはそのままに保存されている或る旧大名屋敷の後庭となっていたところ。太古のような老樹の森林。そのXの森の中に一棟、森の老樹と同じような古色を帯びて立っている小さな茶室──今は茶室として使われていない。只、取残された昔のかたみとして、なかば朽ちている軒が、かすかに樹間を通して外から気味悪く窺われていた。──が焼けるのだと、窓の下をわめいて行きちがう人の声々で知った。 ぱしゅ、ぱしゅ。