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お月様

私は本を読むことが好き。多分。好きなんだと思う。
断定できないのは、この7年くらい、特にここ4年、読めてなかった自覚があるからです。本当に好きなら忙しくても読むのかも。

好きなジャンルはミステリーとノンフィクション……だと思っていたけど大きな出来事のない日常系の物語も好きです。心に残るのは物語だから、私が自覚していないだけできっと物語が好き。

好きな物語は「カラフル」「博士の愛した数式」「ファーストラブ」。有名どころばかりですね。
ちなみにミステリーなら「赤い指」はわかりやすく大切なことを教えてくれる。「八日目の蝉」「豆の上で眠る」「リバース」は切なさが好きです。


新年になってからある程度落ち着いているので、本を読みたくなって 久しぶりに本に没頭している。大学図書館って物語もおいてるんだね。

本を読むと自分の知らない世界に行けるから好き。今いる世界が嫌だとは思わないけど、逃げられることは救いだと思う。
現実世界で頑張っている人に励まされるように物語の中の人に励まされている。一緒に幸せになっている。勇気をもらっている。


『月の立つ林で』という本を読みました。これまた有名どころ。
時間があったのもあるけど、文体が読みやすくて、気が付いたら一気読みしていた。こんなに時間を忘れて本に集中したのっていつぶりなんだろうってくらい。

私は一度読んだ本をすぐに読み返すことはほとんどない。記憶の限りそれをしたのは「カラフル」だけ。そのあと「カラフル」は私の周り中に広められ、初めて読んだ時から10年以上たった今でも好きな本として一番にあげられる。

今回人生で2度目のそれをした。
昨日読み終えて、今日2周目をしている。それも心に残った言葉を書き留めながら。
なくしたくない、忘れたくない言葉がたくさんだった。心が温かくなるお話だった。
感じたことを感じたままに置いておくことはできないから、消えてしまうのもまた趣なのかなと思っていたけれど、それにしてもまだこの物語とお別れしたくなくて、あと一週間は持っているつもり。

全5章、1章1人、5人の目線から書かれた物語。
どの話も始めは「周りは自分のことを分かってくれない」といったようなわだかまりから始まる。でも、共通のポッドキャスト番組を聞くことによって、周りの人との関りによって大切なことに気づいていく。

温かい言葉がたくさん。2周するとさらに。一つ一つの言葉に救われる。



そのなかで一番自分を救ってくれたのがこのセリフ

「叶えなかったらダメなのかな。夢を持ってるっていうことそのものが、人を輝かせるんじゃないかな」

月の立つ林で(ポプラ社)

この章の主人公は夢を持って上京した。でも、その夢は大成しなかった。
細々と続けていても、なかなか報われないし、やっとつかんだと思ったチャンスはなくなってしまう。
「誰もが報われるわけではない」「才能のある人はやめてしまったのに、自才能のない自分は続けている」「自分はこんなはずではないのに」こんな描写がリアルで自分と重なる部分があった。


上のセリフは、主人公の地元の友達がかけてくれたもの。
私も叶わなかった夢を持っているし、今持っている夢も叶わないかもしれない。でもそれでも、叶えなくても夢に向かって頑張ってる人ってキラキラしてるんだ。って救われた。
うまくいかなくても不格好でも、等身大の自分を愛してあげたいな。



そういえば、受験期の辛いとき、夜まで勉強して帰ると帰り道に月が見えていた。満月だとずっと月を見ながら帰れるんだ。
月っていいね。今日も月を見ながら帰ろう。

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