びしん

✈での『旅作り』が生業でした。内外の様々な食を経験。1級フードアナリスト、フードアナリ…

びしん

✈での『旅作り』が生業でした。内外の様々な食を経験。1級フードアナリスト、フードアナリスト協会認定講師、ジャパン・フード・セレクション審査委員、外国人向け食分野専任講師、日本箸教育講師、江戸ソバリエ協会・江戸蕎麦研究会会員、総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者。

最近の記事

東京にある明治時代に創業の老舗お蕎麦屋さん

お蕎麦屋さんは江戸から地方に広まったと言われます。その東京の老舗お蕎麦屋さんについて今回は明治時代に始まり今でも営業している店を創業順に並べました。以下をご覧ください。 ➀1869(明治2)年 創業 室町砂場 中央区日本橋 ➁1869(明治2)年~1878年 創業 川むら  荒川区西日暮里 ➂1872(明治5)年 創業 虎ノ門大坂屋砂場 港区西新橋 ➂1872(明治5)年 創業 神田浅野屋 千代田区内神田 ⑤1880(明治13)年 創業 かんだやぶそば 千代田区神田

    • 江戸時代『節分そば』とは『年越しそば』。2月3日には蕎麦を食べませんか。

      節分』と言えば『豆まき』、そして関西一部地域の風習が今や全国に広がった『恵方巻き』などがありますが、江戸時代の『節分』には蕎麦を手繰(たぐ)る習わしがありました。またこの節分に食べる蕎麦を『年越しそば』と呼んでいました。何故でしょうか? それは、旧暦では二十四節気というものがあります。この二十四節気でいうところの新年とは『立春』の前日である『節分』にあたります。ゆえに江戸時代の人にとっては『節分』が年越しとなりますので『節分』に食べる蕎麦を『年越しそば』と呼んでいました

      • 江戸季節蕎麦の魅力12月『鴨南蛮(かもなんばん)そば』

        1年にわたり『季節そばの魅力』を探りつつ味わって来ました。『そば』にもしっかりと日本的な季節感がある事が再認識でき、その美味しさも改めて強く感じることができました。さあ、1月からアップしてきた『季節そばの魅力』の最後となる12月は『鴨南蛮(かもなんばん)』を取り上げます。 お蕎麦屋さんのメニューによく出てくる『南蛮』とは何のことでしょうか? 江戸時代にネギのことを『南蛮』と呼びそれがお蕎麦屋さんでは現在にまで受け継がれています。またネギのほかにトウガラシやカボチャなどを指

        • 江戸季節そばの魅力11月『おかめ(阿亀)そば』

          かまぼこ・しいたけ・青菜などの具を入れたかけそば。具の並べ方がおかめ(阿多福)の面に似るところから『おかめ(阿亀)そば』と言います。 ただ最近では、これらの具が無造作に置かれたり、また無意味に使われている傾向が強く、店によって内容が違います。 <そもそもいつ、どこで生まれたものなのでしょう?>  それは幕末の頃、江戸下谷七軒町(現在の東京都文京区根津)にあったそば店『太田庵』(明治時代に廃業)が創製したそばの種物(具材をのせたそば)で、この店屋号も『おかめ太田庵』であ

        東京にある明治時代に創業の老舗お蕎麦屋さん

        • 江戸時代『節分そば』とは『年越しそば』。2月3日には蕎麦を食べませんか。

        • 江戸季節蕎麦の魅力12月『鴨南蛮(かもなんばん)そば』

        • 江戸季節そばの魅力11月『おかめ(阿亀)そば』

          江戸季節そばの魅力10月『松茸(まつたけ)そば』

          今月は毎年、9月下旬頃から10月にかけてお蕎麦屋さんに登場する秋一番の季節商品『松茸そば』を紹介します。訪問したのは芝大門・更科布屋、 ここでは1,800円(税込み)で提供しています。この店の価格は、季節限定商品としてたくさんの人に味わってもらいたいという気持ちが強く感じられる価格だと私は思っています。 松茸がそばつゆとしっかりなじみ、まさに秋味。 『松茸そば』とは 温めたそばに海苔(四つ切り)を敷き、形の良い松茸を割いて乗せ、たっぷりとつゆを張る。香り、味わいともに秋

          江戸季節そばの魅力10月『松茸(まつたけ)そば』

          江戸季節そばの魅力9月『月見そば』

          鶏卵の黄身を溶かずに円形の黄身のままに盛り付けたそばが『月見そば』 今年(2021年)の※中秋(ちゅうしゅう)の名月は9月21日火曜日ですが、それにぴったりあった『季節そば』それが今回取り上げる『月見そば』です。月見の風情をどんぶりの中に見立てたもの、先人たちの粋な遊び心が感じられるそんな一品です。 皆が良く知っている品ですが、改めて『月見そば』についてにて調べてみました。因みに※中秋とは秋の真ん中のこと、空気が澄んでいて空がきれいに見える。 蕎麦の事典(新島繁)に

          江戸季節そばの魅力9月『月見そば』

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          江戸蕎麦めぐり

          東京(江戸)の食文化を担うお蕎麦屋さんを老舗を中心にダイジェストで紹介しました。

          江戸蕎麦めぐり

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          江戸季節そばの魅力8月「磯雪(いそゆき)そば」

          皆さん、写真のおそば、ご存知ですか? 和風カルボナーラ? 実は『東京の郷土そば』と言えるものですが、残念ながら東京でもあまり 見られなくなりました。 閉店してしまった老舗・池之端の薮そばがルーツだと聞いていますが卵を 黄身・白身を一緒に泡だて、そばの上にのせたものです。 それを盛りそばのようにつけ汁にて手繰(たぐ)る。想像されるように泡立てた卵、そば、つけ汁がとても良いバランスで口の中に入っていきます。 気短な江戸っ子には程よく短時間で手繰れた一品、その蕎麦を『

          江戸季節そばの魅力8月「磯雪(いそゆき)そば」

          江戸季節そばの魅力7月 「更科そば」

          7月を迎えると俄然、更科(さらしな)そばを手繰り(たぐり)たくなる。 夏が似合う白いそば。そばの実の芯の粉で打つ白いそばです。 上記は更科堀井総本店の『さらしな』です そばの実は外皮に近いほど色が濃くそばの香りが強く、たんぱく質(グルテン)を多く含む。それとは逆にそばの実は中に近いほど白くそばの香りは 弱くなり、たんぱく質(グルテン)は少なく代わりにでんぷんを多く含む。ゆえに更科そばの味は「そばの香り」は少ないものの上品な香り、ほのかな甘み、そして独特のどごしが特徴となり

          江戸季節そばの魅力7月 「更科そば」

          江戸季節そばの魅力6月 「笊(ざる)そば」

          6月となりさっぱりとした喉ごしの良い『笊(ざる)そば』の      シーズンを迎えました。 ところで『笊(ざる)そば』の定義、ご存知ですか?            よく言われる『もりそば』との違いは単にもみ海苔の有無だけなのでしょうか? 先ずは『蕎麦の事典(新島繁)』によると 本来は竹ざるに盛るからこの名がついた。海苔をかけるのは明治以降の現象で『ざる』すなわち『海苔かけ』ではない。本来はなにもかけずに、ワサビを添える。またもり汁よりややコクのある『ざる汁』を用いた。 

          江戸季節そばの魅力6月 「笊(ざる)そば」

          江戸季節そばの魅力5月 茶そば

          茶そばとは、蕎麦に抹茶を練りこんで茶の風味を出す、鮮やかなグリーンの色合いとお茶の上品な香りが持ち味の蕎麦。 白雪(更科)粉をベースに全体量の2~3%の抹茶を打ち込む(ところによつてまちまちではあるが)、変わり蕎麦と言われるものの代表格です。 毎年、新茶の時期を迎えて提供する店が増えます。 5月の気候に合った、清涼感のある茶そばの緑が食欲をそそります。 「茶そば」は「変わりそば」の一種で、江戸の中期頃最初に考案されたといわれています。 白いさらしな粉を製粉する技術が発

          江戸季節そばの魅力5月 茶そば

          江戸季節蕎麦の魅力4月『花巻(はなまき)そば』

          花巻は蓋付そば、蓋を開けると湯気と一緒に、海苔の香りが漂います。蕎麦の香りと、浅草海苔の香りを楽しむ、江戸伝統の粋な種ものです。 かけそばに焼き海苔をのせ、薬味はおろしワサビが決まりでネギはつけない。海苔の香りとそばの味を楽しむ趣向。安永(1772~81)ごろからある古い種もの。(新島繁 蕎麦の事典より)                                     なぜ海苔(浅草)で花巻きそばかというと使われた浅草海苔が『磯の花』と呼ばれていたからとか、焼き海

          江戸季節蕎麦の魅力4月『花巻(はなまき)そば』

          江戸・季節そばの魅力 3月白魚(しらうお)そば

          江戸に春を告げる白く可憐な魚『白魚』を使った種物が『白魚(しらうお)そば』です。 江戸時代の隅田川は水が清く、『白魚』の名所でした。『白魚』は白色透明で全長10cmほどの細長い優美な魚でサケ目シラウオ科に分類されます。『白魚』は隅田川の名物でしたが『白魚』漁の中心は河口の佃島でここで獲れた『白魚』を毎年将軍家に献納するのが恒例になっていました。(『白魚』の頭が葵の御紋に似ていた)、小さな『白魚』を一尾ずつ数えて売買していて高級魚の扱いでした。『白魚』は別名『トノサマウオ』、

          江戸・季節そばの魅力 3月白魚(しらうお)そば

          江戸の商家では雛(ひな)祭りの翌日 3月4日に蕎麦を食した

          今年も雛(ひな)祭り(3月3日)がもうすぐです。雛(ひな)祭りにイメージされる食べ物、それはちらし寿司やハマグリのお吸い物、ひなあられ、桜餅ぐらいでしょうか? そんな雛(ひな)祭りにお供えし、手繰(たぐ)る蕎麦の習慣が18世紀中ごろの江戸にあった事をご存知でしょうか? この江戸時代から始まった風習の雛(ひな)そばですが、蕎麦は長く伸びるので家運や寿命が長く伸びるということで大変縁起が良いとのことで蕎麦を供えて願をかけたそうです。 どんなそばを供えたのかと言うとお蕎麦屋さ

          江戸の商家では雛(ひな)祭りの翌日 3月4日に蕎麦を食した

          『本日の「献立」からお選びください』は間違い?

          訪問した飲食店で「献立」の使い方に違和感を感じる場合がたまにあります。果たして「献立」の意味、その正しい使い方は?また「お品書き」という言葉もありますがそれは同じ意味なのか?はたまた違いがあるのか?  この件、明らかにしましょう。  広辞苑第七版によると 「献立」(こんだて)とは? 料理の種類や順序の予定を立てること。またその種類や順序。 簡単に言えば出てくる料理が決まっている時に使われ、客が選べるのではなく、提供する側が決めるもの 「品書き」(しながき)とは?

          『本日の「献立」からお選びください』は間違い?

          江戸の蕎麦は『趣味食』であり『間食』でした

          現在では、主食として『蕎麦』でお腹を満たすという行為は全く不思議な事ではないですし、ありがたいことに『東京』には色んなお蕎麦屋さんが存在しますので、その日のニーズに合った店を選ぶだけで欲求を満たすことができます。 でも、江戸時代中頃の『江戸』で『蕎麦』は現在と同じニーズにあったでしょうか? 実はこの時代、地方から職を求める人が多数江戸に流入してきて人口が増えました。そのほとんどが『職人さん』でした。その当時の『江戸の職人』はたらふく食べると力仕事に差し支えるといって一度に

          江戸の蕎麦は『趣味食』であり『間食』でした