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江戸季節蕎麦の魅力4月『花巻(はなまき)そば』

花巻は蓋付そば、蓋を開けると湯気と一緒に、海苔の香りが漂います。蕎麦の香りと、浅草海苔の香りを楽しむ、江戸伝統の粋な種ものです。

かけそばに焼き海苔をのせ、薬味はおろしワサビが決まりでネギはつけない。海苔の香りとそばの味を楽しむ趣向。安永(1772~81)ごろからある古い種もの。(新島繁 蕎麦の事典より)                                    

なぜ海苔(浅草)で花巻きそばかというと使われた浅草海苔が『磯の花』と呼ばれていたからとか、焼き海苔を蕎麦の上にまき散らす様子が花のように見られたからとの諸説あります。

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江戸時代の頃は、潮の満ち引きで空気に晒された浅草海苔を板海苔にしたものが使用されており熱いかけそばにのせると海苔が程良くほぐれ、蕎麦に絡んで海苔の風味とそばの味が楽しめたようです。

海苔が黒く光り、蕎麦との一体感からなかなか美しい見た目の蕎麦。海苔の香りと蕎麦の風味を味わう蕎麦です。

海苔の香りとそばの味を楽しむのが目的であり、薬味にネギは禁物、薬味を使用する場合にはワサビを用います。

ネギやかまぼこも入れずにワサビのみを風味付けに使ったごくシンプルなものですが食材の持ち味を生かしたものです。

意外と提供しているお店が少ないのが残念です。

東風25


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