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江戸季節そばの魅力7月 「更科そば」

7月を迎えると俄然、更科(さらしな)そばを手繰り(たぐり)たくなる。 夏が似合う白いそば。そばの実の芯の粉で打つ白いそばです。

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上記は更科堀井総本店の『さらしな』です

そばの実は外皮に近いほど色が濃くそばの香りが強く、たんぱく質(グルテン)を多く含む。それとは逆にそばの実は中に近いほど白くそばの香りは 弱くなり、たんぱく質(グルテン)は少なく代わりにでんぷんを多く含む。ゆえに更科そばの味は「そばの香り」は少ないものの上品な香り、ほのかな甘み、そして独特のどごしが特徴となります。

さらしなこ『更科粉』とは、ソバの実の芯の、ほぼでんぷん質だけでできている部分のみを挽いた粉。一番粉をさらしな粉と称することが多いが、厳密には、製造方法が異なり、色が真っ白で、ホシ(ヘタの部分の粉砕物)が1つもなく、香りがほとんどない純度の高い一番粉をさらしな粉といいます。具体的には、ソバの外皮を取り除く「挽き抜き」の工程で、五つくらいに割れた「上割れ」を選び、石臼の上下のすき間を気持ちあけて軽く挽き、ふるいにかける。こうして製粉されたさらしな粉、色物の変わりそばに最適で、ユズや抹茶など混ぜ込む材料の色や香りが生きてきます。

『更科』に伝わる独自製法によって作られてきた。現在も老舗更科の看板商品は一番粉(さらしな粉)を使った白いさらしな(御膳)そばです。

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上記は築地さらしなの里の小せいろ三色そば(二八、さらしな、変わりの三種)のさらしなそばです

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上記は永坂更科布屋太兵衛の御前(さらしな)そばです

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上記は麻布永坂 更科本店の三色そば(手前が御膳そば、中央が茶そば、奥が卵切り)です

「更科」という屋号のそば屋の近くには大名屋敷や有力寺院があり、  「更科」はそこに出入りしていたそうで、「更科」のそばは高級そばとして人気があったとのこと。さらしなそばを「御前(ごぜん)そば」とも呼ぶのはその名残りとみられます。江戸時代「更科」の相手客は、武士、僧侶、豪商だったようです。主に下町で町人たちを相手客としてきた『薮』との違いはこのへんにあると思います。

さらに更科一門には「季節の変わりそば」というものもあり、現在も   蕎麦好きを楽しませています。

それは「さらしなそば」に四季折々の素材を混ぜ込んだそば。素材それぞれの「色」と「香り」がはっきり現れる。江戸中期より更科一門独自の技術として100種類ほど伝えられてきたもの。そば屋の品書きは年中変わることなく変化が少ないので、主人の「遊び心」も加えて考えられたといわれます。

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今回のお蕎麦屋さん❶(上記)更科堀井総本店

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今回のお蕎麦屋さん❷築地さらしなの里

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今回のお蕎麦屋さん❸永坂更科 布屋太兵衛

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今回のお蕎麦屋さん❹麻布永坂更科本店

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