菅原聖也 | 人生に役立つ心理学を伝える講師

研修講師、ビジネスコーチとして、レジリエンス、ポジティブ心理学、ウェルビーイング、心理…

菅原聖也 | 人生に役立つ心理学を伝える講師

研修講師、ビジネスコーチとして、レジリエンス、ポジティブ心理学、ウェルビーイング、心理的安全なチーム創り、リーダーシップなどお伝えしています。スクー授業、日本ポジティブ心理学協会の講座にも登壇しています。よりよい人生を送るために役立つ心理学の理論や実践法をご紹介します。

最近の記事

「喧嘩するほど仲がいい」って本当??

私たち夫婦は結婚してから丸18年、結婚前の付き合いも含めると丸19年になります。そしてこの19年間、実は一度も喧嘩をしたことがありません。昔から「喧嘩するほど仲がいい」と言われますが、それが正しいとすると私と妻は最高レベルに仲が悪いことになります。ただし自分でいうのもなんですが、私たち夫婦は恐らく相当仲がいいです。そんな私だからこそ、あえてこのテーマについて心理学の研究も引用しつつ考察してみたいと思います。 そもそも「喧嘩するほど仲がいい」の根拠は何でしょうか?それは「自分

    • 「悲しみ」を乗り越える

      今回は「悲しみ」の乗り越え方について書きたいと思います。というのも、ちょうどここ1週間くらい私自身が悲しみを抱く出来事を経験し、しばらくの間やる気の出ない状態が続いたからです。そのストーリーも紹介しつつ書いて行きたいと思います。 なお『「失恋」からの立ち直り方とレジリエンスの高め方』というテーマで以前取材を受けたことがあり、その時お話した内容がこちらに掲載されています。こちらも「悲しみ」を乗り越える話となりますので、ご興味ありましたら一読頂けると嬉しいです。 さて、私がここ

      • ポジティブな感情って実はすごい!

        前回の記事『ネガティブな感情はあなたの「敵」か?』ではネガティブな感情の大切さについてお話しました。今回はポジティブな感情についてお伝えしたいと思います。 皆さん、ポジティブな感情はどのような時に感じるでしょうか?例えば目標を達成したときの充実感、人から感謝されたときの嬉しさ、気のおけない仲間たちとお酒を飲んだときの楽しさなどがあると思います。このようにポジティブな感情が湧いている時はそれだけで幸せな状況であり、気持ちもリフレッシュされてストレスも少ない状態であると思います。

        • ネガティブな感情はあなたの「敵」か?

          ネガティブな感情、例えば怒り、悲しみ、不安などが湧いてくる時、皆さんはどのように感じるでしょうか?多くの人にとって嬉しい状況では無いと思います。また怒りによって人と喧嘩してしまう、不安によって夜寝られないなど、それらの感情によってネガティブな結果が引き起こされることもあると思います。 このように考えるとネガティブな感情って人間にとって不要なものでは無いだろうか?私たちにとって「敵」ではないのか?と思うかもしれません。しかしそんなことはありません。ポジティブな感情だけではなく

        「喧嘩するほど仲がいい」って本当??

          「笑わない男」はなぜ笑わないのか?

          先日、録画されたある心理学のウェビナーを視聴しました。マインドリーディング、つまり人の心を読むことについての講座で、7つの感情(幸福、恐れ、嫌悪、悲しみ、驚き、軽蔑、怒り)から表出される顔の表情は性別、年齢、人種に関わらず全世界共通であり、人の表情から心を読みとれるという話をされていました。 この基本的な感情が全世界の人に共通で表情も共通しているという話、これまでは感情研究では確かに常識とされてきたのですが、実は科学の進歩もあり近年の研究で覆される結果が示されるようになってい

          「笑わない男」はなぜ笑わないのか?

          それは心の不調? それとも身体の不調?

          ノースイースタン大学のリサ・フェルドマン・バレット特別教授の著書『情動はこうしてつくられる ~脳の隠れた働きと構成主義的情動理論~』に、私がとても興味をもった話が紹介されていました。その話を要約しつつ引用します。 バレット氏ご自身がひどく疲れている状態で病院へ行ったときに医師から「落ち込んでいますか?」と尋ねられ、「落ち込んではいませんが、つねにひどく疲れています」と答えたところ、医師から「落ち込んでいることに自分では気づいていないのでしょう」と言われたそうです。医師として

          それは心の不調? それとも身体の不調?

          「折れない心」を育む3つの視点

          前回の記事『「しなやかな心」で変わる世界に適応する』ではレジリエンスで重要な「説明スタイル」を紹介し、そしてウィズ・コロナの世界に適応していくための説明スタイルの活用についてお伝えしました。一方、前回の記事でお伝えした通り説明スタイルは「折れない心」という意味で非常に役に立ちます。そこで今回は「折れない心」をテーマに、皆さんご自身あるいは皆さんの周りの人たちにも見かけるような、身近な事例を引用しつつ説明スタイルをより深く理解して頂こうと思います。 前回の復習となりますが、ま

          「折れない心」を育む3つの視点

          「しなやかな心」で変わる世界に適応する

          7都府県に対して緊急事態宣言が発令されてからおおよそ10日間が過ぎました。さらに全国に対して発令されることも決まりました。5月6日まで私たち一人ひとり意識を高めて感染予防をしていく必要があります。一方で、5月6日までに大きく収束できたとしても終わるわけではなく、専門家の方が書かれたこちらの記事より新型コロナウイルス(以降、新型コロナと略します)のワクチンが開発され普及に至るのは2022年になると想定されます。それまでは警戒をしつつ生活をしていくことになります。 ワクチンの普

          「しなやかな心」で変わる世界に適応する

          あなたの気分が現実を歪んで見せる

          皆さんは新型コロナウイルス(以降、新型コロナと略します)について様々な媒体から情報を得ていると思いますが、どのような媒体を活用しているでしょうか? テレビではニュースやワイドショー、インターネットではマスコミが発信する情報のほかSNSより情報を得ている人も多いと思います。今回の記事ではネガティブな情報に触れ過ぎることにより現実が歪んで見えてしまうことがある、そしてその結果人間関係を悪くする恐れがあるという話を、心理学の研究をもとにお伝えしたいと思います。 ノースイースタン大

          あなたの気分が現実を歪んで見せる

          現実的楽観は人生の厚底シューズ

          ここ最近は否が応でも新型コロナウイルス(以降、新型コロナと略します)のニュースを見かけます。東京圏のロックダウンも現実味を帯びて来ている状況ですし、気持ちが落ち込んでしまうことも多いと思います。私は日本ポジティブ心理学協会(以降、JPPAと略します)などで講師としてレジリエンスをお伝えしています。レジリエンスは「折れない心」とか「逆境力」と理解されることが多いですが、それに加えて「適応力」や「変化対応力」といった力でもあります。新型コロナとの戦いは未だ先が全く見えず、長期戦を

          現実的楽観は人生の厚底シューズ

          「心のしなやかさ」を手に入れるトレーニング法

          前回の記事では最後に「思考に目を向ける、無意識に近い思考を意識化するための実践法がありますので、それは改めて(予定では次回に)紹介したいと思います」とお伝えしました。予告した通り実践法として「心のしなやかさ」を手に入れるためのトレーニング法をご紹介したいと思います。なお続きとなりますので、まだの方は前回の記事を読んでから今回の記事を読んで頂ければと思います。 ただし、トレーニング法をご紹介する前に「心のしなやかさ」を手に入れるとどのように自分を変えることができるのか、そのイ

          「心のしなやかさ」を手に入れるトレーニング法

          思考に目を向けて「心のしなやかさ」を手に入れる

          同じような出来事があっても、人によって湧いてくる感情が違います。そして選ぶ行動も違います。 例えばこのような出来事 出来事 「今度のお客様へのプレゼンを君に任せたいと上司から言われた」 XさんとYさんの反応 Xさん:「これはチャンス!」と感じて、一生懸命準備をしてプレゼンに挑もうとする Yさん:強い不安を感じて、「自分には無理です! 先輩お願いします」と自分でプレゼンすることを避けて先輩へお願いしてしまう このように同じ出来事でも人によって反応が違うのはなぜでしょうか?

          思考に目を向けて「心のしなやかさ」を手に入れる

          「私は○○である」を緩めると生きやすくなる

          今回の記事からしばらくは、自身のものの見方や考え方、そして心にフォーカスしてお話したいと思います。キーワードは「心のしなやかさ」。自分自身を知り「心のしなやかさ」を身につけることはレジリエンスを高め、よりよい人生を送ることにつながります。 ※レジリエンスという言葉を知らなくてもこの記事は読んで頂けるように書いていますが、「レジリエンスとは何か」に興味ある方は、私が登壇したスクー授業のログミーさんによる書き起こし記事で簡潔に説明していますのでこちらをご覧ください(https:

          「私は○○である」を緩めると生きやすくなる

          「自分を不幸にする自己暗示」から抜け出す

          皆さんは何か苦手意識を持っていることはあるでしょうか? 私は今では講師という仕事をしていますが、4年くらい前までは人前に立って話をすることがすごく苦手でした。7年前の転職活動中に面接で「何か苦手なことは?」と聞かれたとき最初何も思い浮かばなかったのですが、少し考えて唯一思い浮かんで答えたことが「人前に立って話をすること」でした。人前に出ると鼓動が早くなり、手や足が少し震えることもありました。その時の記憶があるため今でも少し苦手意識を持っています。 さて、皆さんが苦手意識を持

          「自分を不幸にする自己暗示」から抜け出す

          冷静にチャレンジと向き合って自分を成長させる

          前回の記事では「「危機回避の習性」を自覚すると行動を変えることができる」というお話をしました。そして最後に「次回は、冷静に行動を選択することを支援するツールをご紹介したいと思います」と締めました。危機回避の習性を自覚しているだけでも以前より冷静になれると思いますが、ツールという実践法を使うと取り組みやすくなると思いますのでぜひご活用ください。 ではさっそくツールの話をしたいと思います。皆さんにとって不安や恐怖心を感じるようなチャレンジなことを目の前にしたときに、「成功したと

          冷静にチャレンジと向き合って自分を成長させる

          「危機回避の習性」を自覚すると行動を変えることができる

          前回の記事の最後に「人はそもそも失敗したくないと考える習性を持っています」という話をしました。そしてそれを自覚すると行動を変えることができるようになります。今回はその話を詳しくお伝えしたいと思います。 まず初めにこちらの問いを考えてみてください。 (問) あなたはコイン投げのギャンブルに誘われました。 ・裏が出たら、あなたは100ドル払います ・表が出たら、あなたは150ドルもらえます このギャンブルは魅力的ですか? あなたはやりますか? この問いは、プリンストン大学の

          「危機回避の習性」を自覚すると行動を変えることができる